3行まとめ
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相場の信号が黄色から赤へ変わりました。ただし壊れたのは中身だけです。
先週決めておいた4つの条件のうち2つが成立しましたが、どちらも市場の内側を測る指標です。株価と VIX は静かなままで、主要4指数とも週足の支持線を1本も割っていません。 -
今週は 9/16(水) の FOMC 一点に集中します。
2026年で初めての利上げが、ドットプロット付きで日本時間 9/17(木) の未明に確定します。もう一つの主役は原油で、サウジの代替パイプライン停止により WTI は $100 台へ乗せました。 -
配分の変更は XLV 15% → 13% の1本だけです。
リスク資産は 56% から 54% へ下げます。総量を絞ったのではなく、防御役として働かなくなった1本を外す、質の入れ替えです。
今週のアクション
今週のモデルは、株式・コモディティを 54%、現金・短期債を 46% とします。能動的に動かすのは XLV を 15% から 13% へ 2pt 減らす 1本だけで、減らした分は現金へ回します。
以下はモデル配分例です。実際の売買判断は、各自のリスク許容度、税務状況、保有銘柄を踏まえて調整してください。
先に、今週の主役になる3つの指標
この記事で繰り返し出てくる3つを先に押さえておくと、あとが速く読めます。
- 値上がり銘柄比率 — 米国市場の全銘柄のうち、上昇トレンドにある銘柄の割合。最も早く動く先行指標です
- 200日線上の比率 — S&P 500 のうち、200日移動平均より上にある銘柄の割合。相場の土台の広さを示します
- 50日線上の比率 — 同じく50日移動平均より上の割合。もっと短い期間の勢いを見ます
いずれも「指数がいくらか」ではなく「何銘柄が上げているか」を測ります。今週はこの3つが揃って弱くなりました。
先週決めておいた条件は、こう発動しました
| 日付 | 何が起きたか | モデルの執行 |
|---|---|---|
| 9/9(水) 引け | 5年債 4.60% の終値上抜け、値上がり銘柄比率 15.52% 割れ、200日線上の比率 64.0% の2日連続割れが同時成立 | 9/10(木) 寄りで 61% → 57% (コア 23→19、現金 39→43) |
| 9/11(金) 引け | 金先物 (GC) が 4,415.0 を終値2日連続割れ (9/10 4,407.30 / 9/11 4,408.90) | 9/14(月) 寄りで GLD 12% → 11%、現金 43→44%。リスク資産 56% |
今週の出発点は 56% です。ここから XLV を 2pt 削って 54% にします。
今週の配分
カテゴリ合計は コア 19% / 防御 20% / テーマ 15% / 現金 46% です。
| カテゴリ | ETF | 前週 | 今週 | 変化 | 実行タイミング | 意図 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| コア指数 | SPY | 12% | 12% | 0% | 執行なし | SPX 7,656.98 は支持線 7,636.4 のすぐ上。削る価格の根拠がない |
| コア指数 | QQQ | 1% | 1% | 0% | 執行なし | NDX は直下に支持線がなく空白。戻すのは強気シナリオの条件成立後 |
| コア指数 | DIA | 6% | 6% | 0% | 執行なし | Dow は既に短期線を下抜け。増やす対象ではない |
| 防御 | XLV | 15% | 13% | -2% | 9/14(月) 寄り想定 (一括) | 今週唯一の能動的な変更。週 -3.55% で11セクター中最下位 |
| 防御 | XLP | 7% | 7% | 0% | 執行なし | こちらも防御として働いていないが、既に過小で削る先がない |
| テーマ | GLD | 12% | 11% | -1% | 先週の条件により執行済み | GC 4,408.90 は支持線のほぼ線上。追加では削らない |
| テーマ | XLE | 4% | 4% | 0% | 執行なし | 買われ過ぎの状態。維持と積み増しは別の判断 |
| 現金 | BIL | 44% | 46% | +2% | 9/14(月) 寄り想定 | XLV の移転先は現金以外にない |
合計 100% (リスク資産 54% / 現金・短期債 46%)
$100K なら: コア指数 $19K (SPY $12K / DIA $6K / QQQ $1K)、防御 $20K (XLV $13K / XLP $7K)、テーマ $15K (GLD $11K / XLE $4K)、現金・短期債 $46K。
なぜ XLV だけを削るのか
今の局面で想定するリスク資産の幅は 54〜60% です。相場の信号が一段悪化したことを受けて、前週の 65〜70% から引き下げた幅です。モデルの 54% はその下限ちょうどで、下限割れではありません。
総量としては、今週さらに機械的に削る必要はありません。
それでも XLV を 2pt 落とすのは、防御目的で 15% を割いている資産が指数の4倍以上の速さで下げ、参加する銘柄が1週間で 34.56% から 14.49% へ落ち、下げ足が11セクターで最も速くなったからです。総量ではなく中身の問題です。
下げの原因は4つに分解できています。
| # | 経路 | 中身 | 来週以降 |
|---|---|---|---|
| ① | 製薬 | Novartis の臨床試験3連敗。9/8 の失敗で同社は史上最悪の -10〜11% | 一過性の可能性 |
| ② | 医療機器 | サイバー攻撃が2社の業績見通しに到達。Stryker -8.8%、Boston Scientific -4%超 | 継続中 |
| ③ | 開発・FDA | Gilead の英国 HIV 後退、Biohaven の一部臨床保留、Cooper の下方修正 | 一過性の可能性 |
| ④ | 金利 | 2年債 +26.0bp の週に、公益・不動産などの防御株も揃って下落 | 継続。FOMC 次第で増幅 |
削る根拠は②と④です。この2本は来週も生きています。一方で、薬価や Medicare のようなセクター全体に効く政策イベントは確認できていません。①②③はいずれも個別企業の話で、セクターの構造が壊れたわけではありません。だから 13% は残します。
執行を FOMC の後に分割しない理由も、この2本にあります。④は FOMC がタカ派なら悪化する経路で、結果を待って動くのは打撃を受けてから売ることです。②は FOMC と無関係に続いており、Boston Scientific 自身が公式書類で「修正後の見通しを出すのは 10/28(水) の第3四半期決算コール」と明記しています。今週も来週も、会社から新しい数字は出ません。
ただし月曜の寄りが大きく下に飛んだ場合、成行での執行は打撃を受けた後に売るのと同じです。モデル上は XLV $160.00 (9/11 終値から -3.2%) を下回る寄り値なら、執行を当日の終値付近まで遅らせる 想定とします。
値上がり銘柄比率が好転する条件
この指標が赤から緑へ変わる水準は、事前にすべて決まっています。今週抜けるべき値は次のとおりです。
| 日付 | 必要水準 | 9/11 の 13.43% からの必要幅 |
|---|---|---|
| 9/14(月) | 18.46% 超 | +5.03pt |
| 9/15(火) | 15.52% 超 | +2.09pt ← 今週唯一の現実的な窓 |
| 9/16(水) | 18.43% 超 | +5.00pt |
| 9/17(木) | 20.43% 超 | +7.00pt |
| 9/18(金) | 20.99% 超 | +7.56pt |
9/15(火) の +2.09pt は、銘柄数にして約60銘柄の増加です。届かない水準ではありません。ここを逃すとハードルは 18〜21% 台へ跳ね上がり、週内の好転は実質的に閉じます。
なお 9/10 の 12.57% から 9/11 の 13.43% への +0.86pt は、底打ちの合図ではありません。過去に同じ形が出た87件のうち、その後10営業日以内に新安値を避けられたのは 54% で、コイン投げと変わりません。
売買レベル
| 対象 | 買い/下方水準 | 上値目安 | 防衛ライン (時間基準) |
|---|---|---|---|
| S&P 500 | 7,636.4 (SPY 約 $762.24) / 7,500 | 7,833.4 (SPY 約 $781.90) | 7,636.4 を終値割れ。次の支持 7,232.1 まで5%超の空白 |
| Nasdaq 100 | 28,878.4 (QQQ 約 $702.95) / 28,245.3 | 29,735.3 → 30,839.1 | 直下に線がなく、28,200〜28,900 帯が実効的な防衛線 |
| Dow | 52,359.0 (DIA 約 $523.65) / 52,100 | 54,780.9 | 52,359.0 を終値2日連続割れ。既に短期線を下抜け |
| Russell 2000 | 2,883.0 (IWM 約 $286.81) / 2,850 | 3,082.8 | 2,883.0 を終値割れ。4指数で最も脆く、他への先行警告 |
| 米国債 10年 | 4.806% / 4.708% | 5.000% (最重要) / 5.15% | 5.000% はチャート上の最上位線。週中高値 4.992% まで接近済み |
| 米国債 2年 / 5年 / 30年 | 5年 4.60% | 2年 4.75% / 30年 5.40% | 短い年限ほど売られた週。30年 5.40% は最悪ケースの脚の一つ |
| 金先物 / GLD | GC 4,415.0 (GLD 約 $399.32) / 4,333.0 | GC 4,558.5 (GLD 約 $412.30) → 4,924.3 | GC 4,415.0 を終値2日連続割れが再成立なら、翌営業日の寄りで GLD を 10% へ |
| WTI 原油 / 銅 | WTI $95.00 / $93.50 / 88.32 | WTI $104.46 → 111.29 / 銅 6.8035 | WTI $104.46 終値上抜けで供給ショック警戒。銅 $6.1615 終値割れは需要減退の証拠 |






データ時点: 2026/9/11(金) 終値
- 指数: SPX 7,656.98 / NDX 29,368.44 / DJI 52,573.29 / RUT 2,903.94 / VIX 15.84
- 指数 ETF: SPY $764.29 / QQQ $714.88 / DIA $525.79 / IWM $288.89
- セクター・その他 ETF: XLV $165.36 / XLP $83.38 / XLE $65.14 / GLD $398.77 / SLV $58.12 / TLT $80.87 / BIL $91.50 / URA $43.53
- 金利: 2Y 4.630% / 5Y 4.780% / 10Y 4.960% / 30Y 5.350%
- コモディティ: GC $4,408.90 / WTI $100.05 / 銅 $6.548 / 天然ガス $2.82
GLD 換算は実勢の GC/GLD 11.06倍から計算しています。固定10倍換算は 10% 以上ずれるため使いません。移動平均はチャートからの目視概算なので、割れ判定には使わず幅のある帯として扱ってください。
重要イベント
| JST | ET | イベント | 重要度 | 見るポイント |
|---|---|---|---|---|
| 9/15(火) 21:30 | 9/15 8:30 | NY連銀製造業景況感 (9月) | 中 | 予想 15 / 前回 20.6 |
| 9/16(水) 02:00 | 9/15 13:00 | 20年債リオープン入札 | 中 | 前回落札 5.204% |
| 9/16(水) 09:00 | 9/15 20:00 | Trip.com (TCOM) コール | 高 | FOMC 当日の朝。アジア時間の反応が米国の寄り前に出る |
| 9/16(水) 21:30 | 9/16 8:30 | 8月 小売売上高 | 高 | 総合 +0.9% 予想。ガソリン・自動車を除くと +0.1% 予想 |
| 9/16(水) 23:00 | 9/16 10:00 | NAHB 住宅市場指数 (9月) | 中 | 予想 34 / 前回 35。分岐点 50 を大きく下回る |
| 9/17(木) 03:00 | 9/16 14:00 | FOMC 声明 + SEP (ドットプロット) | 最重要 | +25bp で 3.75-4.00% を約85-87% 織り込み。本丸は2026年末の中央値 |
| 9/17(木) 03:30 | 9/16 14:30 | Warsh 議長 記者会見 | 最重要 | 次回への示唆が出ない可能性が高く、SEP の数値の重みが上がる |
| 9/17(木) 20:00 | 9/17 7:00 | BOE 政策金利決定 | 高 | 現行 3.75%、据え置き予想。FOMC の17時間後 |
| 9/17(木) 21:30 | 9/17 8:30 | 住宅着工・建設許可 + 失業保険 + フィラデルフィア連銀 | 高 | 着工 予想 1.32M / 失業保険 209k / フィラデルフィア 予想 30 |
| 9/18(金) 22:15 | 9/18 9:15 | 鉱工業生産・設備稼働率 | 中 | 生産 m/m 予想 +0.3% |
| 9/18(金) 22:30 | 9/18 9:30 | Bowman 副議長 講演 (ロンドン) | 中 | ブラックアウト明け最初の Fed 発言。テーマはストレステスト |
| 9/19(土) 05:00 | 9/18 引け | クアドラプル・ウィッチング | 高 | 四半期の同時満期。FOMC の2営業日後という配置 |
Fed の発言はしばらく出てきません。外部コミュニケーションのブラックアウトは 9/5(土) 00:00 ET 〜 9/17(木) 23:59 ET で、FOMC の翌日も高官は話せません。市場の解釈を補正する Fed 側の発言は、最短でも 9/18(金) の Bowman 講演までなく、しかもテーマは金融政策ではありません。
EIA 週間石油在庫 (9/16(水) 23:30 JST) と日銀会合 (9/17-18、総裁会見 9/18 15:30 JST) は表から外していますが、今週の文脈では監視を推奨します。予想値の出典は FMP エコノミックカレンダー (9/13 取得) と CME FedWatch (報道経由) で、公式スケジュールとは別系統です。
決算 — 今週は2社だけ
| ティッカー | 時価総額 | 日付 (ET) | 種別と時刻 | 公式IR |
|---|---|---|---|---|
| TCOM (Trip.com Group) | $45.0B | 9/15(火) | リリース (引け後)。公式時刻未明示 | IR |
| TCOM (Trip.com Group) | $45.0B | 9/15(火) | カンファレンスコール 20:00 ET → 9/16(水) 09:00 JST | IR |
| LEN (Lennar) | $19.8B | 9/16(水) | リリース (引け後)。公式時刻未明示 | IR |
| LEN (Lennar) | $19.8B | 9/17(木) | カンファレンスコール 11:00 ET → 9/18(金) 00:00 JST | IR |

Lennar は EPS $1.29 / 売上 $83.2億 が市場予想です。NAHB → 住宅着工 → Lennar コールと住宅の3点セットが FOMC の直後に並びます。10年債が 5% へ向かえば、今週最も痛むのは住宅関連です。
シナリオ別プラン
今週の重心は 9/17(木) 03:00 JST の一点にあります。月曜・火曜は指標が薄く、値動きの主因は週末の地政学ニュースと原油です。確率は筆者個人の推定値で、報道各社の記事は事実の出典であり確率の根拠ではありません。
① 中身は弱いまま、価格は支持帯で持ちこたえる (Base)
筆者推定: 38%
値上がり銘柄比率が 15% を割った過去9局面の63営業日後リターンは、中央値 +6.77% で9局面中7局面がプラスでした。中身の悪化そのものは下落を予告しません。ただし同じ9局面のうち3局面は途中で -5% 超の下げを伴い、最悪は2025年2月の -17.00% です。中央値がプラスであることと、悪い側の裾が厚いことは両立します。
トリガー (すべて満たす): SPX 7,636.4 を終値で維持 / 10年債 5.000% を終値で上抜けない / VIX 20 を終値2日連続で超えない / WTI $104.46 を終値で上抜けない / Russell 2000 2,883.0 を終値で維持
アクション: 上記の配分を据え置き。コア 19% / 防御 20% / テーマ 15% / 現金 46% (リスク資産 54%)
② 中身が底を打ち、金利と原油が頭打ちになる (Risk-On)
筆者推定: 15%
9/15(火) に値上がり銘柄比率が 15.52% を超えれば、好転の合図が出ます。9/11(金) の反発 (SPX +0.86%、VIX -11.21%、WTI -2.37%) は実在する上昇の芽です。原油が下がる道はパイプライン復旧だけではなく、オマーン仲介のホルムズ管理交渉がまとまる経路もあります。
15% に抑えたのは、強気に戻ることを止めている3つの条件がすべて成立中だからです。
- 10年債 4.708% を終値で上抜けたまま (現在 4.960%、解除まで -25.2bp)
- 30年債 5.30% を終値で上抜けたまま (現在 5.350%、-5.0bp)
- WTI $93.50 を終値で上抜けたまま (現在 $100.05、-6.55%)
信号そのものが赤から黄色へ戻るには、次の3つのうち2つが必要です。
- 値上がり銘柄比率が緑へ転換し、かつ 15.52% 以上を CSV で2日連続
- 200日線上の比率が 64.0% 以上を CSV で2日連続 (現在 57.68%、+6.32pt)
- SPX 7,833.4 超を終値2日連続 かつ VIX 17 未満を終値2日連続
トリガー (下記のうち2本以上): 値上がり銘柄比率が緑へ転換 / 10年債 4.708% を終値2日連続下回る / WTI $95.00 を終値2日連続下回る / SPX 7,833.4 超を終値2日連続維持
必須条件: 9/16(水) の FOMC 通過後の終値 (9/17・9/18) でも条件が維持されていること。したがって執行は最短で 9/21(月) の寄り想定です。FOMC 前に戻すことはしません。
アクション: コア 22% / 防御 20% / テーマ 14% / 現金 44% (リスク資産 56%)。ETF 単位は末尾の早見表にまとめています。
このシナリオでも XLV は戻しません。金利の逆風は消えても、医療機器のサイバー攻撃は FOMC と無関係に続くからです。15% へ戻す条件は「障害の収束が公式に確認され、かつ参加銘柄比率が 25% 以上へ回復すること」で、今週は満たしません。
原油の反落を前提にするシナリオなので、XLE だけは 4% → 3% へ落とします。
③ 中身の悪化が価格へ波及する (Caution)
筆者推定: 35%
このシナリオを支える材料が、今週最も多く積み上がりました。50日線上の銘柄が 33.73% しかないのに指数は52週高値から -1.75% という組み合わせは、過去10年で13日しか存在しません。ただし独立した局面は実質2つで、ここから確率は語れません。
11セクター中10が下降トレンド、5が売られ過ぎの状態です。2年債が1週で +26.0bp 上がり、割引率の上昇が先に効く一方、業績の下方修正はまだ価格に入っていません。
トリガー (下記いずれか)
| 確定のしかた | 条件 |
|---|---|
| 1日で確定 (翌営業日の寄り想定) | SPX 7,636.4 終値割れ / Russell 2000 2,883.0 終値割れ / 10年債 5.000% 終値上抜け / WTI $104.46 終値上抜け |
| 2日で確定 (2日確認後の翌営業日寄り想定) | VIX 20超を終値2日連続 / Dow 52,359.0 を終値2日連続割れ / 30年債 5.40% を終値2日連続上抜け |
| 日次データで2本 | 値上がり銘柄比率 12.57% 割れ / 200日線上の比率 50% 割れ / 50日線上の比率 30% 割れ |
際どい割れの扱い: 支持線からの乖離が 0.1% 以内の割れは判定不能として扱い、翌営業日の終値まで判断を持ち越します。今週 SPX は支持線の +0.27% 上にいるので、この規則が実際に効く距離です。
アクション: コア 14% / 防御 18% / テーマ 15% / 現金 53% (リスク資産 47%)。供給主導の局面なので、XLE は落としません。
④ 株と債券が同時に下げる (Tail Risk)
筆者推定: 12%
TLT $80.87 は52週安値 $80.67 のわずか +0.25% 上です。過去1年に長期債を買った人のほぼ全員が含み損を抱えており、株安のときの「債券への逃避」が働きにくい条件が既に揃っています。
原油 +9.37% に対して銅 -1.98%、天然ガス -5.21% という並びは、需要ではなく供給が押し上げたインフレを示します。供給要因のインフレは企業のコストだけが上がり、中央銀行は引き締めで対応せざるを得ないため、株式にはより厳しい構図です。
トリガー (2つの脚がそろって成立)
- 脚1 (株式の動揺): VIX 23超を終値2日連続 (26超はザラ場で確認し即時扱い) または SPX 7,232.1 を終値2日連続割れ
- 脚2 (原因の特定): WTI $104.46 終値上抜け または 10年債 5.15% 終値上抜け または (TLT $80.67 終値割れ かつ 30年債 5.40% を終値2日連続上抜け)
アクション (緊急防御モード): コア 8% / 防御 15% / テーマ 15% / 現金 62% (リスク資産 38%)。
脚1が VIX 26 超のザラ場確認で成立した場合のみ、モデル上はザラ場での即時リスク削減を検討します。
4シナリオの配分早見表
| ETF | 今週 | ① 平常 38% | ② 強気 15% | ③ 警戒 35% | ④ 最悪 12% |
|---|---|---|---|---|---|
| SPY | 12% | 12% | 14% | 9% | 5% |
| QQQ | 1% | 1% | 2% | 1% | 0% |
| DIA | 6% | 6% | 6% | 4% | 3% |
| XLV | 13% | 13% | 13% | 11% | 8% |
| XLP | 7% | 7% | 7% | 7% | 7% |
| GLD | 11% | 11% | 11% | 11% | 11% |
| XLE | 4% | 4% | 3% | 4% | 4% |
| BIL / 現金 | 46% | 46% | 44% | 53% | 62% |
| リスク資産 | 54% | 54% | 56% | 47% | 38% |
太字が今週からの変更です。強気シナリオの執行は最短で 9/21(月)、警戒・最悪シナリオは条件を確認した翌営業日の寄り想定です。
マーケット状況
| 指標 | 現在値 | 判断 |
|---|---|---|
| WTI 原油 | $100.05 (週 +9.37%、週内高値 $104.46) | 地政学プレミアムではなく、輸送路そのものの喪失。下がるには攻撃停止か復旧という出来事が要る |
| VIX | 15.84 (週 +9.0%、週内終値の最高 17.84) | 週レンジの 78.6% が上ヒゲ。イベント週の入口として低すぎる = ヘッジが安い |
| 10年債 / 5年債 | 4.960% / 4.780% (週 +18.0bp / +24.0bp) | 週足は押し目を作らない大陽線。5.000% を超えると上に参照できる抵抗がなくなる |
| 2年債 / 30年債 | 4.630% / 5.350% (週 +26.0bp / +11.0bp) | 短い年限ほど売られた。金融政策の期待そのものが修正された形 |
| 200日線上の比率 | 57.68% (生値) | 水準は「狭いラリー」の範囲で危機ではない。問題は速度で、8営業日で 13.6pt 低下 |
| 50日線上の比率 | 33.73% | 今週最も弱い数字。過去10年の下位13% 圏 |
| 値上がり銘柄比率 | 13.43% RED (385/2,867銘柄) | 15% 未満は弱い帯。ただし2026年の最安値は 3/20 の 8.78% で、今回は約5.4か月ぶりの低さ |
| S&P 500 / Nasdaq 100 | 7,656.98 / 29,368.44 (週 -0.80% / -0.59%) | 指数の静けさは安定ではなく相殺の結果。Healthcare -4.70% と Energy・Technology の上昇が打ち消し合った |
| Dow / Russell 2000 | 52,573.29 / 2,903.94 (週 -1.57% / -2.41%) | どちらも既に短期線を下抜け。Russell の 2,850 割れは他3指数への先行警告 |
| 金 GC / GLD、TLT | GC $4,408.90 / GLD $398.77 / TLT $80.87 | 「地政学なら金買い」が今週は働かず。TLT は52週安値の +0.25% 上 |
| セクター上昇比 | 3対8 | 前週の4対7から1本悪化。上昇は XLE・XLC・XLK の3本のみ |
200日線上の比率は 9/10、値上がり銘柄比率は 9/11 の CSV 時点です。どちらも日次更新で、1〜2営業日遅れて反映されます。
投機的な過熱は見当たりません。直近63営業日の SPY リターン +4.73% は過去10年の平均的な水準で、信用取引残高は6月にピークを打って7月に -5.7% です。今週の問題は過熱ではなく、上昇に参加している銘柄が急速に減っていることです。
セクター・コモディティ戦術
| テーマ | 現値 | 方針 | 理由 |
|---|---|---|---|
| WTI / XLE | WTI $100.05 / XLE $65.14 | 4% 維持。積み増さない | 11本で唯一の上昇トレンドだが買われ過ぎ。維持と積み増しは別の判断 |
| 金 GC / GLD | GC $4,408.90 / GLD $398.77 | 11% 維持 | 支持線のほぼ線上。週足の下ヒゲ 48.7% は下値の買いを示す |
| ヘルスケア XLV | $165.36 | 15% → 13% (9/14 寄り想定) | 週 -3.55% で11中最下位。原因4本のうち2本が来週も続く |
| 生活必需品 XLP | $83.38 | 7% 維持 | 参加率 6.56% で売られ過ぎ。機能していないが既に過小 |
| 銅 HG | $6.548 (週 -1.98%) | 新規建てなし | 原油が +9.37% でも銅は下落。今回の上昇が需要主導でない証拠 |
| ウラン URA | $43.53 (週 -5.49%) | 新規建てなし | ウランの問題ではなく金利の問題。現物は $90.15/lb でほぼ横ばい |
ウランについて補足します。売られたのは株だけで、9/10 に証券会社がセクターのカバレッジを分断し、買い推奨を付けられた銘柄まで含めて3銘柄すべてが -5% となりました。売上がまだ小さい企業の集まりで、金利が急に上がる週には最初に売られる種類の資産です。テーマが壊れた証拠はありませんが、FOMC がタカ派なら追加で売られます。
兼業運用ガイド
朝チェック (5分)
- 原油を最初に見る。 WTI が $95 を終値2日連続で割っているか、$104.46 を終値で超えているか
- 10年債 5.000%。 終値で超えていれば、警戒シナリオの条件が1日で1本成立します
- SPX 7,636.4 と Russell 2,883.0。 どちらも 1% 未満のマージンです
- VIX 20。 終値で超えた日が2日続いているか
- 値上がり銘柄比率の CSV (火曜は特に)。9/15(火) の 15.52% 超が今週唯一の窓です
- 月曜だけ: XLV の寄り値。 $160.00 を下回っていたら成行で執行せず、当日の終値付近まで待ちます (9/11 終値 $165.36 から -3.2%)
夜・早朝チェック (JST)
- 9/16(水) 09:00 — Trip.com カンファレンスコール。FOMC 当日の朝で、アジア時間の反応が先に出ます
- 9/16(水) 21:30 — 小売売上高。ガソリン・自動車を除いた +0.1% が実態です
- 9/16(水) 23:30 — EIA 石油在庫。今週は原油が FOMC と同格の変数です
- 9/17(木) 03:00 — FOMC + SEP。2026年末の政策金利中央値が 3.9% 前後なら打ち止め、4.1% 以上なら12月も
- 9/17(木) 03:30 — Warsh 議長 会見。次回の示唆が出ないなら、SEP の数値だけが判断材料です
- 9/17(木) 21:30 — 住宅着工 + 失業保険 + フィラデルフィア連銀。住宅3点セットの2番目です
- 9/19(土) 05:00 — クアドラプル・ウィッチング。傾いたポジションを満期の需給が増幅します
今週の注意点
決定的な瞬間は 9/17(木) の 03:00〜03:30 JST、寝ている時間に確定します。現実的な運用は、水曜の夜は普通に寝て、木曜の朝に結果を見ることです。そのとき見るべきは株価ではなく、SEP の2026年末中央値と10年債の終値です。
「赤信号」という言葉に引きずられないでください。成立した2条件はどちらも市場の内側を測る指標で、VIX 15.84・SPX 7,656.98 は条件から遠く、4指数とも支持線を割っていません。崩壊しているのではなく、中身が先に傷んで価格がまだ追いついていない区間です。この区間で先に減らせることが、こうした指標を見ている理由そのものです。
9/11(金) の株高を「利上げを織り込んだ安心感」と読むのは誤りです。株が買われたのは原油が日中高値から下げたからで、同じ日に2年債は +7bp 売られています。株は原油を、債券は FRB を見ていました。
株安を見たら、必ず金利と原油の方向を確認してください。原油高+金利高の株安と、原油安+金利安の株安では、効くヘッジが正反対になります。TLT が働くのは後者だけで、その TLT 自体が52週安値のすぐ上にあります。
今週分かっていないことを4つ挙げておきます。サウジの East-West パイプラインの復旧時期、9/10 の30年債入札の落札結果、NVDA が週内に -4.45% 下げた固有の材料、そして URA が 9/11 に単日 -3.27% 下げた直接の引き金です。この4つを前提にしたポジションは取らないでください。
リスク管理
リスク資産 54%、現金 46%。主なヘッジは現金・短期債 (BIL $91.50) 46% に、XLV 13%・XLP 7%・GLD 11%・XLE 4% を加えた構成です。
個別株は ATR 1.6倍で損切りします。9/16(水) 引け後の Lennar を保有する場合は ATR 1.2倍へ縮め、時間外と翌朝の寄りのギャップを見てから判断してください。
今週の具体的リスク
- サウジのパイプライン復旧時期が未公表です。復旧の発表は原油にとって最大の下方リスクで、逆に長期化と追加攻撃は最悪ケースの入口になります
- SEP が12月の利上げを確定させる経路。2026年末の中央値が 4.1% 以上なら、10年債 5.00% と2年債 4.75% が同時に射程に入ります
- 医療機器のサイバー攻撃は継続中です。今週さらに悪い知らせが出る余地があり、その場合の追加削減は警戒シナリオの XLV 11% で扱います
- FOMC の解釈が Fed の補正なしに週末を越えます。9/18(金) のクアドラプル・ウィッチングが重なり、傾いたポジションを満期の需給が増幅します
パイプラインと SEP の項目は筆者推定で、それぞれ最悪ケース12%・警戒35%の枠内で扱っています。報道は事実の出典であり、確率の根拠ではありません。
上級者向けオプション補足
オプションは補助的なヘッジです。基本は現金・XLV・XLP・GLD を優先してください。プレミアムと IV は執行前に必ず板で確認してください。本記事は実際のプレミアムや IV を取得していないため、割安とは断定できません。
使うなら VIX は10月限です。VIX の9月限 (9/16(水) 満期) は満期日の朝に清算され、最終取引日は前営業日の 9/15(火) です。FOMC の発表は 9/16(水) 14:00 ET の午後なので、9月限では FOMC をカバーできません。越えるには VIX 10月限 (10/21(水) 満期) か 9/23(水) の週次限月が必要です。
株式・ETF は別の系列です。SPY・QQQ・GLD の標準月次は 9/18(金) 満期で、クアドラプル・ウィッチングと同じ日です。
| 対象 | 例 | 目的 |
|---|---|---|
| SPY プット | $735 (現値 $764.29、-3.8% OTM)、9/18(金) 満期 | FOMC + SEP + 四半期満期への指数ヘッジ |
| QQQ プット | $685 (現値 $714.88、-4.2% OTM)、9/18(金) 満期 | NDX 28,245.3 の支持線のすぐ下に置いた保険 |
| GLD コール | $410 (現値 $398.77、+2.8% OTM)、9/18(金) 満期 | 金が「有事の金」として買われ直す経路のヘッジ |
| VIX コール | 22 (現値 15.84、+38.9% OTM)、VIX 10月限 10/21(水) 満期、最終取引日 10/20(火) | イベント週の入口として VIX が低すぎるという判断 |
VIX コールは OTM 幅が +20% を大きく超えます。方向を取るポジションではなく、あくまで最悪ケース用として、サイズは最小限にしてください。
まとめ
今週のテーマは「中身だけが先に壊れた」です。先週決めておいた4条件のうち2つが成立し、相場の信号は黄色から赤へ変わりました。本シリーズでは初めてのことです。
ただし成立した2本は、どちらも市場の内側を測る指標でした。200日線上の比率が 64.0% を3日続けて割り、値上がり銘柄比率が 15.52% を割りました。不成立の2本は僅差ではありません。VIX は閾値 23 まで 5.16pt、SPX は 7,232.1 まで -4.74% 離れています (いずれも週内で条件に最も近づいた値から測った距離です)。4指数とも週足の支持線を1本も割っていません。
今週の重心は 9/17(木) 03:00 JST の FOMC + SEP に集中します。2026年で初めての利上げが、ドットプロット付きで、日本時間の木曜未明に確定します。原油は地政学プレミアムではなく物理的な輸送路の喪失で、ホルムズ閉鎖下で唯一の代替陸路だったサウジの East-West パイプラインが 9/11 に全面停止しました。
モデルはリスク資産を 56% から 54% へ下げます。変更は XLV 15% → 13% の1本だけで、総量ではなく質の調整です。下げの原因は4経路に分解できており、そのうちサイバー攻撃と金利の2本が来週も続きます。同じ理由で削り切りもしません。移転先は現金以外にありません。
最優先の行動は2つです。9/15(火) の値上がり銘柄比率を確認すること — 15.52% 超が今週唯一の好転の窓で、逃せばハードルは 18〜21% 台へ跳ね上がります。そして 9/17(木) の朝に、株価ではなく SEP の2026年末中央値と10年債の終値を見ることです。
免責: 本記事は情報提供を目的としたモデル配分例・分析であり、個別投資助言ではありません。「9/14(月) 寄り想定」「確認翌営業日の寄り想定」等の表現は、モデルポートフォリオ上の想定執行です。実際の投資判断・ロット決定は、各自のリスク許容度、ポートフォリオ事情、税務状況を踏まえてご自身でご判断ください。必要に応じて資格あるファイナンシャル・アドバイザーへの相談を推奨します。シナリオ確率は筆者個人の推定値であり、市場コンセンサスや報道機関の予測ではありません。
Sources
金融政策 (日付・時刻の確定用)
- Fed 9月イベントカレンダー
- FOMC カレンダー
- Fed 2026年 講演一覧
- FOMC ブラックアウト期間カレンダー PDF
- FOMC 議事要旨 7/28-29
- BOE MPC 日程 / 日銀 会合日程 / ECB 理事会カレンダー
経済指標・入札
- Census / OMB 2026年 リリース日程 PDF / Census 経済指標トップ
- BLS 2026年9月 リリース日程 / BLS 8月 CPI / BLS 8月 PPI
- NY連銀 全米経済指標カレンダー / フィラデルフィア連銀 製造業景況調査 / DOL 失業保険週次
- Treasury 暫定入札スケジュール PDF / TreasuryDirect 入札結果 / OPEC 公式 (9/6 会合)
決算 IR
- Trip.com Group (TCOM) — リリース: 9/15(火) 引け後。公式時刻未明示
- Trip.com Group (TCOM) — カンファレンスコール: 9/15(火) 20:00 ET → 9/16(水) 09:00 JST
- Lennar (LEN) — リリース: 9/16(水) 引け後。公式時刻未明示
- Lennar (LEN) — カンファレンスコール: 9/17(木) 11:00 ET → 9/18(金) 00:00 JST
- 今週ではないことを公式で確認: FedEx (次回 10/28) / General Mills (9/23) / Darden Restaurants (9/24)
満期カレンダー
- Cboe 2026 オプションカレンダー PDF (Equity/ETF 標準月次 9/18(金))
- Macroption VIX Expiration (VIX 標準月次 9/16(水)、10月 10/21(水))
- Cboe VIX オプション仕様 (朝の清算、最終取引日は満期前営業日)
データソース
- 価格・金利: 2026/9/11(金) 終値、FMP API
- Market Breadth CSV — 9/10 基準、日次更新
- Uptrend Ratio CSV — 9/11 基準、日次更新
- Sector Summary CSV
- 経済指標コンセンサスは FMP エコノミックカレンダー (9/13 取得)、利上げ確率は CME FedWatch (報道経由)。FINRA 信用取引残高
報道ソース (事実報道。確率・シナリオは筆者推定)
- 原油・地政学: CNBC / Al Jazeera / Bloomberg / The Japan Times / IEA 月報
- 金利・株式・金: Yahoo Finance / CNBC (PPI) / CNBC (ECB) / CNBC (金)
- FOMC / Warsh: CNBC / Investing.com
- ヘルスケア 一次資料 (SEC 提出書類): Boston Scientific 8-K (SEC EDGAR)
- ヘルスケア 報道: Bloomberg (Novartis) / STAT / MedTech Dive (Stryker) / MedTech Dive (BSX 解説)
- Stryker には対応する SEC 提出書類がなく報道のみ、Boston Scientific は EDGAR に一次資料があります。この差が、XLV の判断根拠の強さの差です
- ウラン・原子力: 24/7 Wall St. (9/10)
シナリオ確率は筆者推定です。報道ソースは事実確認用であり、確率予測の出典ではありません。

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