【米国株銘柄】アンファスター・ファーマシューティカルズ(AMPH)は良い投資先か?

企業研究

この記事では、5/23週に株価がブレイクアウトして大きく上昇を開始したアンファスター・ファーマシューティカルズ(AMPH)を紹介します。

最初に結論です。

アンファスター・ファーマシューティカルズは、直近の3回の決算でEPSの成長が加速しており、またFDAに申請していたレガデノソン注射剤の簡略新薬申請(ANDA) 5/24に承認されたことを受けて株価が反応しており、短期的には上昇が継続する可能性が高いと考えます。ただし、主力製品はジェネリック医薬品であり、非常に競争が激しい分野です。より大手の競合他社が類似した製品を開発してくれば競争力が低下するリスクがありますので、長期的に保有する場合は競合他社の動向には注意を払っていく必要があるでしょう。

 

では、早速、アンファスター・ファーマシューティカルズの事業内容を確認していきましょう。

アンファスター・ファーマシューティカルズ(AMPH)

事業概要

アンファスター・ファーマシューティカルズは、バイオ医薬品会社です。主に、ジェネリック医薬品、注射剤、吸入剤、経鼻剤、およびインシュリン有効成分(API)製品の開発、製造、マーケティング、販売をしています。

事業分野には、完成医薬品と医薬品有効成分製品の2つのセグメントがあります。

完成医薬品事業では、プリマテンミスト、グルカゴン、エノキサパリン、ナロキソン、フィトナジオン、リドカイン、エピネフリン、各種重症・非重症治療薬の製造、販売、マーケティングを行っています。

医薬品有効成分製品は、外部顧客および社内の製品開発用に、遺伝子組換えヒトインスリン原薬およびブタインスリン原薬を製造・販売しています。プリマテンミストは、エピネフリン吸入製剤で、間欠性喘息の軽い症状の一時的な緩和を目的としています。グルカゴン注射用緊急キットは、重症低血糖症の治療薬として利用されます。

製品の多くは、病院や救急医療の臨床現場で使用され、主にグループ購買組織や医薬品卸売業者を通じて契約・販売されています。

強み

アンファスター・ファーマシューティカルズの強みは、製品の研究開発、有効成分の製造、最終製品の開発およびマーケティングまでを自社で統合して行えることです。これにより、製品開発のサイクル全体において高い品質とコンプライアンス遵守を実現しています。 

製品開発方針

開発に注力する製品は、市場規模が大きく、参入障壁が高いことが重要となり、複雑な遺伝子技術が必要とされるバイオ医薬品で専売性の高いものを主なターゲットとしています。

独自の合成技術やrDNA技術が要求される製品、ナノメートルやマイクロメートルレベルの粒子エンジニアリングが必要とされ、製造工程が複雑で難易度が高いものなどが条件として挙げられています。

拠点

アンファスター・ファーマシューティカルズの拠点は、米国に4拠点、フランス、中国にそれぞれ1拠点ずつあります。

製品開発のポートフォリオ

2020年にグルカゴンの申請を取得し、2021年時点で簡略新薬申請 (ANDA) の対象が13件あり、うち4件がFDAに申請済みとなっています。

提供製品

完成医薬品は20種類を超えています。注射剤、吸入剤が主力製品で、安定した売上とキャッシュフローが期待できます。適応症は、深部静脈血栓症、喘息、オピオイド過量投与、疼痛管理、麻酔、低血糖症などです。

売上と利益の成長率

2017年から2021年にかけての売上の成長率は年率16%、粗利については22%の成長率となっています。

最近の6回の四半期毎の成長率は売上が7.7%EPSについては37%と成長が加速しています。

売上の内訳

売上の97%は完成医薬品の事業から得られています。インシュリン有効成分(API)製品の売上比率は小さいです。

2014年にはエノキサパリンが売上の50%を占めていましたが、2021年時点では売上の50%はプリマテンミスト、グルカゴン、エノキサパリン、エピネフリンの上位4製品で占められるようになり、製品の多様化が進んでいます。

売上の97%は米国での販売によるものです。その他に、フランスと中国で製品を販売しています。

顧客

アンファスター・ファーマシューティカルズの取引先は、医薬品の大手流通業者であるAmerisourceBergenABC)、McKessonMCK)、Cardinal HealthCAH)の3社に集約されています。

競合他社

アンファスター・ファーマシューティカルズの主力製品はジェネリック医薬品です。注射剤及び吸入剤のジェネリック市場に注力する以下の製薬会社との競争に直面しています。

  • Pfizer, Inc.
  • Eli Lilly and Co.
  • Sagent Pharmaceuticals, Inc.
  • Akorn, Inc.
  • Sandoz Inc.
  • Viatris Inc.
  • Fresenius Kabi USA
  • Nexus Pharmaceuticals
  • Apotex Corp
  • Amneal Biosciences
  • American Regent Inc.
  • Hikma Pharmaceuticals USA, Inc.
  • Par Pharmaceuticals
  • Cipla USA Inc.
  • Meitheal Pharmaceuticals
  • Dr. Reddy’s Laboratories, Inc.
  • Sun Pharmaceuticals, Inc.
  • Accord Healthcare Ltd.
  • Amring Pharmaceuticals
  • Bausch Health
  • Zydus Pharmaceuticals USA Inc.
  • AuroMedics Pharma LLC
  • Teva Pharmaceutical Industries Ltd

ジェネリック医薬品業界は、先発医薬品メーカーがジェネリック医薬品子会社を設立したり、ジェネリック医薬品会社を買収することもあり、競争が激化ています。

アンファスター・ファーマシューティカルズは、総資産、売上高及び時価総額において、ジェネリック医薬品のメーカーとして国内外の多くの競合他社より規模が小さいです。

競合他社の多くは、より長期間事業を営んでおり、市場に投入している製品数も多く、資金その他の資源も豊富です。競合他社の開発により、ジェネリック医薬品や自社製品、製品候補の競争力が低下または陳腐化する可能性もあります。

製品ラインの範囲、新製品をタイムリーに開発する能力、グループ購買組織、小売業者、卸売業者および顧客との関係が競争力を保つための重要な要素になります。

基本情報

  • 時価総額: $1.77B
  • 売上:$437.8M
  • 当期純利益:$62.12M
  • Forward P/E19.40

直近の決算とチャート

2022Q1決算

  • EPS⭕️ $0.47 vs 予想 $0.36
  • 売上⭕️ $120.4M vs 予想 $113.33M(前年比17%増)

週足のチャートを確認すると、2021年11月の決算発表より上昇を開始しており2022年4月までに80%程度の上昇をしています。その後、4月中旬から一旦調整して下落していましたが、好決算の発表とFDA承認取得の報道を受けて5/23週より再度力強く上昇を開始しています。

最近のニュース

2022/5/24に米国食品医薬品局 (FDA) が、アンファスター・ファーマシューティカルズのレガデノソン注射剤の簡略新薬申請 (ANDA) を承認したことを発表しています。レガデノゾンは、十分な運動負荷がかけられない患者の放射性核種による心筋灌流画像診断(MPI)を適応症としています。

Amphastar Receives FDA Approval for Regadenoson

https://ir.amphastar.com/websites/amphastar/English/2110/news-detail.html?airportNewsID=fa7f7b74-d449-4e35-96eb-3237b40302d1

結論

アンファスター・ファーマシューティカルズ は、直近の3四半期の決算発表でEPSの成長が加速しており、またレガデノソン注射剤の簡略新薬申請 (ANDA) 5/24にFDAより承認されたことを受けて株価が反応しています。短期的には上昇が継続する可能性が高いと思います。

アンファスター・ファーマシューティカルズの主力製品はジェネリック医薬品であり、非常に競争が激しい分野です。また、競合他社と比較すると事業規模が小さいことも懸念材料になります。より資金力のある大手の競合他社が類似した製品を開発してくれば、競争力が大きく低下するリスクがあります。長期的に保有する場合は競合他社の製品開発の動向に注意を払っていく必要があるでしょう。

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