【米国株】2026年8月31日週 トレード戦略

投資戦略

3行まとめ

  1. AI の業績が金利に負けた週でした。
    NVIDIA は文句のつけようがない決算で翌日 +8.74%。その24時間後の議長講演で -4.57% まで戻され、半導体 ETF は決算をはさんで週間マイナスで引けました。

  2. 9/1(火) から 9/4(金) まで、毎日、雇用か景況の指標が出ます。
    インフレが高止まりしたまま議長が利上げを語った以上、今週の指標は「弱いほど株にプラス」という逆の読み方になります。

  3. 株の比率を 72% から 67% へ、5%下げます。
    指数は3本ともプラスで引けたのに、値上がり銘柄の比率は3ヶ月ぶりの低さまで細りました。


今週のアクション

以下はモデル配分例です。実際の売買判断は、各自のリスク許容度、税務状況、保有銘柄を踏まえて調整してください。

株式・コモディティを 67%、現金・短期債を 33% にします。前週の 72% から -5%。減らすのはコア指数とエネルギーだけで、守りの枠には手をつけません。

カテゴリ合計: コア 28% / 防御 22% / テーマ 17% / 現金 33% = 100% (リスク資産 67%)

ETF 前週 今週 変化 いつ なぜ
SPY (コア指数) 19% 17% -2% 月曜寄り想定 支えの 7,636.4 は2週続けて守られ、今週は試されてすらいない。ただし中身は痩せた
QQQ (コア指数) 5% 4% -1% 9/3(木) の Broadcom 反応後 週足は下ヒゲの方が長く押し目買いは機能。残りは決算を見てから
DIA (コア指数) 8% 7% -1% 月曜寄り想定 週 +0.531% で最も素直な上昇形だが、単独で増やす根拠もない
XLV (防御セクター) 15% 15% ±0% 執行なし 今週の最下位セクター。ただしセクター内の上昇銘柄比率は11業種中2位
XLP (防御セクター) 7% 7% ±0% 執行なし 8/28 は +0.43% と底堅い。ただし増やす決め手には欠ける
GLD (テーマ/ヘッジ) 13% 13% ±0% 執行なし 金曜に -3.24% だが週足構造は無傷。短期金利の上昇局面では逆風なので増やさない
XLE (テーマ/ヘッジ) 5% 4% -1% 月曜寄り想定 先週決めた減らし方をそのまま実行。例外条件だった原油高は起きなかった
BIL / 現金・短期債 28% 33% +5% 段階的 (大半は月曜寄り、QQQ 分は 9/3) 中身の劣化ぶんを現金へ。BIL は $91.65

$100K の場合: コア $28K (SPY $17K / QQQ $4K / DIA $7K)、防御 $22K (XLV $15K / XLP $7K)、テーマ $17K (GLD $13K / XLE $4K)、現金 $33K

なぜ 65% でも 72% でもないのか

先週の記事で「こうなったら 65% まで下げる」と決めていた条件は、実際に発動しました。ただし発動したのは中身の指標だけです。

  • 65% まで下げない理由: 想定していたのは S&P 500 が 7,636.4 を割る形でした。ところが今週の最も安い終値は 7,652.86 で、この線を一度も試していません。価格の崩れを前提にした配分をそのまま実行するのは行き過ぎです。
  • 72% に据え置かない理由: 値上がり銘柄比率は 24.95% → 19.72%、セクターの上昇比は 4対7 → 3対8 へ悪化。中身は前週より確実に弱っています。
  • だから 67%。今の局面で想定する 66〜72% のうち、下半分 (66〜69%) の内側です。前週から -5% で、段階調整の範囲に収まります。

下半分を採るのは、50日線ベースの弱いサインが出てから 7営業日目だからです。過去10年の同種25例では、この時期の「5営業日後に上がっていた割合」が 36% と最も分が悪くなります。


先週の答え合わせ — 安値で削って、高値で戻した

先週決めておいた守りの条件は月曜に点きました。ところが木曜には戻す条件まで点き、金曜にその両方が消えました。1週間で往復したことになります。

日付 何が起きたか モデルの動き
8/24(月) 引け ナスダック100 が 29,116.3 を終値割れ 8/25 の寄りで 72% → 65%
8/26(水) 値上がり銘柄比率が 22.63% を割る (22.46%) 65% のまま
8/27(木) 引け S&P 500 が 7,716.2 を上抜け、10年債が 4.708% を終値2日連続で下回る 8/28 の寄りから 65% → 76% へ戻し始める
8/28(金) 引け 戻す条件が2つとも消滅 (7,711.76 / 4.730%) 戻している途中で前提が消える

往復のコストは水準で確認できます。 削る判断の起点は 8/24 終値の 7,652.86 で、週内で最も安い終値でした。戻す判断の起点は 8/27 終値の 7,730.99 で、こちらは週内で最も高い終値です。差は +78.13pt = +1.02%。安値で削って高値で戻したことになります。

原因は条件の作り方にありました。 守りに入る側は1日の終値で点くのに、戻す側にも1日で点く条件が混じっていたためです。上下どちらにも1〜2日で反転できる設計だと、横ばい相場では必ず往復します。

今週からの変更: 戻す側の条件はすべて 「終値2日連続」 を必須にし、分割して戻すのも「2つの条件が2日連続で保たれた後の翌営業日の寄りから」へ厳しくします。守る側は1日のまま残します。 誤って守りに入るコストは機会損失ですが、誤って戻すコストは実損だからです。

起きなかった条件も記録しておきます。

先週置いた条件 週内の実績
S&P 500 7,636.4 終値割れ 最も安い終値でも 7,652.86 (8/24)。一度も試していません
ダウ 52,573.1 終値割れ 最安 53,417.16
10年債 4.806% / 30年債 5.30% 上抜け 最高 4.73% / 5.23%
6.1615 終値割れ 6.659
VIX 20超が終値2日連続 最高でも 15.85

売買レベル

対象 買い・下値目安 上値目安 防衛ライン
S&P 500 7,636.4 (SPY ≈ $761.83) / 7,436.32 (週足 EMA20、SPY ≈ $741.87) 7,716.2 (SPY ≈ $769.79) → 7,833.4 (SPY ≈ $781.49) 7,636.4 を終値2日連続割れで EMA20 帯 7,436 方向
ナスダック100 29,116.3 (QQQ ≈ $708.71) / 28,245.3 (QQQ ≈ $687.51) 29,754.3 (QQQ ≈ $724.24) → 30,243.0 (QQQ ≈ $736.14) 29,116.3 を終値割れ = 今週の下値喪失
ダウ 52,752.50 (週足 EMA10、DIA ≈ $526.99) / 52,359.0 (DIA ≈ $523.06) / 51,675.70 54,780.9 (DIA ≈ $547.26) 52,359.0 を終値割れ。EMA10 との 393.5pt (0.73%) が判定の帯
小型株 (IWM) 2,883.0 (IWM ≈ $286.86) 3,023.7 (IWM ≈ $300.86) 2,883.0 を終値割れ = 今週の先行シグナル
米国債 (2年 / 10年) 低下の確認: 米2年債 4.20% / 10年債 4.600% 上昇の警戒: 米2年債 4.40%4.50% / 10年債 4.806% 2年10年差が 30bp 割れ (現在 39bp) でフラット化の継続
金 (GC) / GLD GC 4,415.0 (GLD ≈ $398.52)。移動平均が集まる 4,380〜4,560 の下端 GC 4,755.0 (GLD ≈ $429.21) → 4,924.3 (GLD ≈ $444.49) GC 4,415.0 を終値2日連続割れで 3,962.4 方向
WTI 原油 / 銅 WTI 78.46 / 銅 6.3765 WTI 88.32 → 93.50 / 銅 6.8035 WTI は 78.46 割れ、銅は 6.1615 終値割れで需要減退の証拠
小麦 (ZW) 714’2 (今週突破した多年度の上値抵抗) 784’0 で引け (週 +12.12%) 714’2 を終値で割り込めばダマシ

8/28(金) 終値: S&P 500 7,711.76 / ナスダック100 29,433.43 / ダウ 53,559.99 / 小型株 2,972.37 / SPY $769.35 / QQQ $716.43 / DIA $535.06 / IWM $295.75 / GLD $408.89 / SLV $60.02 / TLT $82.88 / BIL $91.65 / XLE $62.68 / XLP $85.45 / XLV $171.16 / URA $45.57 / VIX 14.43 / 米2年債 4.340% / 5年債 4.480% / 10年債 4.730% / 30年債 5.220% / GC $4,529.90 / WTI $83.40 / 銅 $6.659 / 天然ガス $2.888

ETF 換算は実勢値です (金と GLD は 11.079倍、固定10倍は使いません)。水平線と週足の高安は CFD の値で、公式終値と 0.01〜0.13% ずれます。割れ判定は点ではなく帯で見てください。URA と天然ガスはチャートがなく、水準を出していません。


重要イベント

時刻はすべて日本時間です。今週は米国の休場がありません (次は 9/7 レイバーデー)。

日本時間 米国時間 イベント 重要度 見るポイント
8/31(月) — 8/31(月) — 主要指標なし。先週入札した国債5本の受渡日が集中 ディーラーの在庫が増える日で、需給は軽くありません
9/1(火) 22:05 9/1(火) 9:05 ET Barr 理事 講演 金融包摂のフォーラムで、55分後の指標2本に埋もれる公算
9/1(火) 23:00 9/1(火) 10:00 ET ISM 製造業 PMI + JOLTS 求人が同時刻 JOLTS 予想 7.273百万 (6月 7.359百万)。ISM は総合より価格支払指数
9/2(水) 21:15 9/2(水) 8:15 ET ADP 全米雇用報告 (8月) 中〜高 7月は民間 +44,000。8/25 公表の予備推計は4週平均で +11,750 と極めて弱い
9/3(木) 03:00 9/2(水) 14:00 ET ベージュブック 中〜高 9/15-16 FOMC の判断材料。企業が価格転嫁をどう語るか
9/3(木) 21:30 9/3(木) 8:30 ET Waller 理事 講演 + 新規失業保険 + Q2 労働生産性改定 議長講演の6日後、発言制限の2日前、雇用統計の前日という位置
9/3(木) 23:00 9/3(木) 10:00 ET ISM サービス PMI (8月) 雇用指数の 50 割れなら翌日の雇用統計の下振れを示唆
9/4(金) 21:30 9/4(金) 8:30 ET 8月 雇用統計 最重要 予想は NFP +58,000 / 失業率 4.1%。別集計は +75,000 / 4.3% で、失業率の予想が割れること自体が異例。7月実績は -23,000 / 4.1%

表は高〜中インパクトと Fed 公式カレンダー掲載分に絞り、シカゴ PMI・建設支出・EIA 在庫・貿易収支などは省きました。今週ないもの: CPI・PPI・FOMC 本会合・クーポン債の入札。予想値の出典は Reuters 調査・FMP カレンダー・ADP の予備推計で、日程を確定した公式スケジュールとは別系統です。

債券の需給: 今週はクーポン債の入札がなく、ビルだけです。前週は3日連続で入札がありましたから、長期金利には追い風になります。ただし 9/3(木) には次回入札の規模発表があり、10年債と30年債はリオープンです。規模が予想を上回れば、木曜の時点で長期ゾーンに響きます。 財務省の長期債の買い入れ倍増は 9/9(水) からで、今週はまだ実弾が入りません。

Fed 関連: 9/1〜9/6 で理事の講演は Barr (9/1) と Waller (9/3) の2件だけです。外部への発言が制限される期間 (ブラックアウト) は 9/5(土)〜9/17(木) ET、対応する FOMC は 9/15(火)-16(水)。つまり今週は Fed 高官が制約なしに話せる最後の週で、その分だけ振れやすくなります。議長は Warsh、政策金利は 3.50-3.75%。7月の FOMC は 9対3 の割れた投票で、反対した3名はいずれも 25bp の利上げを支持しました。

決算 — 火・水・木の3日に集中

銘柄 日付 (米国) 決算説明 (日本時間) IR
MDT Medtronic 9/1(火) 寄り前 9/1(火) 20:45 (発表は 19:45) IR
DELL Dell Technologies 9/1(火) 引け後 9/2(水) 05:30 IR
PANW Palo Alto Networks 9/1(火) 引け後 9/2(水) 05:30 IR
CRDO Credo Technology 9/1(火) 引け後 9/2(水) 06:00 IR
MDB MongoDB 9/1(火) 引け後 9/2(水) 06:00 IR
AVGO Broadcom (週最大) 9/2(水) 引け後 9/3(木) 06:00 IR
SNOW Snowflake 9/2(水) 引け後 9/3(木) 06:00 IR
HPE Hewlett Packard Enterprise 9/2(水) 引け後 9/3(木) 05:30 IR
NTAP NetApp 9/2(水) 引け後 9/3(木) 06:30 IR
CIEN Ciena 9/3(木) 寄り前 9/3(木) 21:30 (唯一の寄り前組) IR
ZS Zscaler 9/3(木) 引け後 9/4(金) 05:30 IR
IOT Samsara 9/3(木) 引け後 9/4(金) 06:00 IR
LULU lululemon 9/3(木) 引け後 9/4(金) 05:30 IR

週の形は「決算の3日 → 雇用統計の1日」の2段構えです。 9/4(金) は大型決算がなく、雇用統計だけに集中します。Broadcom の市場予想は EPS $3.22 / 売上 $292.4億、8/28 終値の $368.79 は50日平均を -4.6% 下回った位置です。

掲載は時価総額 $20B 以上で公式 IR から日程を確認できたものに絞りました (lululemon のみ例外的に収録)。公式が「引け後」「寄り前」としか示していない場合、発表の時刻は推測で書いていません。Copart は FMP の表示が 9/3 ですが公式 IR に告知がないため扱いません。


シナリオ別プラン

確率は筆者個人の推定値です。合計は 100% になります。

① 横ばいのまま中身が痩せる (Base)

筆者推定: 40%

支えは、長期の底堅さを示す指標が 63.47% と上昇を続けていることと、今週クーポン債の入札がないことです。重しは 9/1〜9/4 の4営業日連続の指標配置で、「何も起こらずに終わる」とは置きにくくなっています。

続く条件 (すべて満たす): S&P 500 7,636.4 を終値で維持 + ナスダック100 29,116.3 を終値で維持 + VIX 17 を終値で上回らない + 10年債 4.60〜4.806% のレンジ内 (終値) + 米2年債 4.50% 未満 (終値)

対応: 上の配分のまま動かしません。コア 28% / 防御 22% / テーマ 17% / 現金 33%、リスク資産 67%。

② 短期金利が巻き戻して中身が底を打つ (Risk-On)

筆者推定: 22%

上振れの材料は今週の日程に4本あります。求人、ADP、失業保険、雇用統計です。7月実績 -23,000、8/28 の予備改定 -79,000 と、先行情報はそろって労働の弱さを示しています。

それでも 25% まで置かないのは、中身の底打ちがまだ見えないからです。 値上がり銘柄比率は下げの速度がむしろ加速中で、底は値の低さではなく落ちる速度が緩むことで確認されます。金利側の材料には払えても、幅の改善を前提にした上乗せには払えません。

発動条件 (下記のうち2つ以上が「終値2日連続」で成立): S&P 500 7,716.2 を終値2日連続上抜け (SPY ≈ $769.79) / 10年債 4.708% を終値2日連続下回る / 米2年債 4.20% を終値2日連続下回る / 値上がり銘柄比率が 23.0% を2データ点連続で回復1日だけの成立は今週から認めません。 先週これで往復が起きました。

カテゴリ 変更
コア 28%→32% (SPY 17→19、QQQ 4→6、DIA 7% 維持)
防御 22% 維持 (XLV 15 / XLP 7)
テーマ 17% 維持。短期金利の巻き戻しは金の追い風なので GLD は削りません
現金 33%→29%

合計 100%、リスク資産 71% が上限で、ここを超えません。実行は2つの条件が2日連続で保たれたことを確認した翌営業日の寄りから、分割で行います。

③ 利上げ織り込みが深まり中身がさらに縮む (Caution)

筆者推定: 28%

前週の 31% から -3% です。想定していた 7,636.4 の喪失が2週続けて起きず、今週は入札もないため下げました。それでも 28% と重いのは、以下が同時に重なっているためです。

  • 8/28 の値動きが消化されないまま週末を越えました。 米2年債 +14.0bp、金 -2.88%、URA -5.79% が同じ1日に起きています
  • 値上がり銘柄比率の下げが加速中で、底打ちの兆候がありません
  • VIX 14.43 に緩衝材がありません。 悪材料が出たときの上昇余地がすべて未使用です
  • 50日線ベースの弱いサインから7営業日目で、過去25例で最も分の悪い区間を通過中です

発動条件 (いずれか1つ)

  • 1日で確定 (翌営業日の寄りで対応): S&P 500 7,636.4 終値割れ / ナスダック100 29,116.3 終値割れ / 小型株 2,883.0 終値割れ / 米2年債 4.50% 終値上抜け / 銅 6.1615 終値割れ
  • 2日で確定: 10年債 4.806% を終値2日連続上抜け / VIX 17超を終値2日連続 / 2年10年差が 30bp 割れを終値2日連続
  • 日次データ: 値上がり銘柄比率が 17.81% 割れ / 短期と長期の底堅さの差が +7pt 割れ
カテゴリ 変更
コア 28%→23% (SPY 17→14、QQQ 4→2、DIA 7% 維持)
防御 22% 維持。上昇銘柄の少ない側へ逃げ込む買いはしません
テーマ 17%→16% (GLD 13→12、XLE 4% 維持)
現金 33%→39%

合計 100%、リスク資産 61%

GLD を削って XLE を残す理由: この場面は短期金利主導の利上げ織り込みで、そこでは金が下がります。実例は今週出ました。米2年債 +14.0bp の日に GLD は -3.24%。一方 XLE は 8/28 に +0.63% と上げた数少ないセクターで、週足 EMA20 比 +8.07% は全資産で最強の構造です。

④ 金利ショックが株へ本格波及 (Tail Risk)

筆者推定: 10%

悪化を示す条件がどれも1週間では届きません。VIX 23 までは +59.4%、週足 EMA20 までは -3.57% あります。

きっかけがあることは振れ幅を広げますが、方向までは決めません。 今週の指標が弱ければ、それは利上げ回避として株にプラスに働きます。

発動条件 (2つとも満たすこと): S&P 500 7,436.32 を終値で割れ ——かつ—— VIX 23超を終値2日連続。7,436.32 は週足 EMA20 で、目視の計測とは 9pt 前後ずれるため 7,420 未満の終値 (SPY ≈ $740.24 未満) で確定とします。VIX 26.00 超のザラ場の値は、上記に関わらず即時扱いとします。

きっかけの見分け方

  • (a) 金利経路: 10年債 4.806% を終値2日連続上抜け、かつ米2年債 4.50% 超
  • (b) インフレ再燃経路: 30年債 5.40% 超を終値2日連続、かつ金 GC 4,755.0 の終値奪回金の方向がこの2つを分ける決定的な目印です
  • (c) 供給ショック経路: WTI 88.32 終値上抜け から 93.50 へ

対応 ((a) と (c) の場合): 緊急防御として、コア 15% (SPY 11 / QQQ 0 / DIA 4) / 防御 22% (XLV 15 / XLP 7) / テーマ 16% (GLD 12 / XLE 4) / 現金 47%。合計 100%、リスク資産 53%。実行は2つの条件を終値で確認した翌営業日の寄りから分割で行い、VIX 26 超のザラ場の値が出た場合はザラ場でのリスク削減を優先して検討します。

(b) の場合だけは GLD を増やします。 金が実質金利ではなくインフレヘッジとして買い直される場面だからです。コア 15 / 防御 22 / テーマ 18 (GLD 14 / XLE 4) / 現金 45。合計 100%、リスク資産 55%。

注意: 長期国債 ETF (TLT $82.88) は (a) のヘッジになりません。 週足 EMA10 83.41 と EMA20 84.46 をともに下回り、下降の構造が続いています。守りは現金・短期債 (BIL $91.65) 45〜47% と XLV 15%、XLE 4% で組みます。

確率合計: 40% + 22% + 28% + 10% = 100%


マーケット状況

指標 現在値 見方
VIX 14.43 (8/28) 今週一番の異常です。 政策の見通しが1日で書き換わった金曜に、恐怖指数はむしろ低下。5営業日連続の低下で、3ヶ月で見て下位1.5%の低さです
米2年債 (今週の主役) 4.340% (週 +10.0bp、うち 8/28 単日 +14.0bp) 金利上昇の駆動源が長期側から短期側へ移りました。10年債だけを見ていれば、今週の金利イベントは検出できません
10年債 / 30年債 4.730% / 5.220% (週 -1.0bp / -5.0bp) 長期ゾーンはむしろ低下。10年債が 4.708% を上回っているあいだは、強気側へは戻しません。次の節目は 4.806%
市場の底堅さ (長期) 63.47% (8/28 CSV) 健全を維持し、前週 63.02% から上昇。10ヶ月前と比べて上にいる銘柄の割合なので、数週間の停滞では割り込みません
市場の過熱 (短期) 72.17% (8/28 CSV) 買われ過ぎ圏をわずかに下回る。長期との差は +8.70pt で -1.12pt 縮小。外挿では交差まで約8週間
値上がり銘柄比率 19.72% (8/29 CSV、日次更新) 先行指標。弱い圏 (15-25%) の下方へ深化し、2026-06-05 以来の低さ。下げの速度が加速中で、底打ちの合図は出ていません
S&P 500 7,711.76 (週 +0.487%) 週足は上ヒゲの長い迷いの形。上は 7,833.4 まで +1.58%、下は 7,636.4 まで -0.98% と狭く挟まれています
ナスダック100 / 半導体 29,433.43 (週 +0.425%) / SMH $553.11 (週 -1.30%) 下ヒゲ 446.8pt が上ヒゲ 300.9pt を上回り、押し目買いは機能。中身はソフトウェア +5.34% 対 半導体設備 -4.75%
ダウ / 小型株 53,559.99 (週 +0.531%) / 2,972.37 (週 -1.508%) 小型株の引け方が今週一番重要なシグナル。終値がそのまま今週の安値で、4指数で唯一の陰線
金 (GC) / GLD $4,529.90 (週 -3.220%) / $408.89(8/28 単日 -3.24%) 週間の下げの89%が金曜1日に集中。それでも EMA5 403.20・EMA20 400.63 の上で週足構造は無傷
銀 / 銅 / WTI / ウラン SLV $60.02 (-4.38%) / 銅 $6.659 (週 +1.09%) / WTI $83.40 (週 -3.67%) / URA $45.57 (-5.79%) 金曜は貴金属が一様に売られ、実需で動く銅はほぼ無傷 (-0.45%)。景気要因ではなく金利・通貨要因の証拠です

金利は短期側だけが動いた

8/28 の1日の動きを年限別に並べると、きれいな単調配列になります。これは利上げ織り込みの教科書的な形です。

年限 8/28 の1日 今週合計
米2年債 +14.0bp +10.0bp
5年債 +10.0bp
10年債 +6.0bp -1.0bp
30年債 +3.0bp -5.0bp

2年10年差は週次で 50bp → 39bp。2年30年差も 103bp → 88bp へ縮みました。ただしフラット化そのものは今週始まったことではありません。 今週を分けたのは、縮んだ幅が前週の倍になったことと、その原因が明示的な政策金利のシグナルだったことです。

中身の指標を誤読しないための3点

  1. 長期と短期の物差しが逆を向くのは矛盾ではありません。 200日移動平均は過去の蓄積を測り、50日線と値上がり銘柄比率は今の資金の流れを測ります。劣化は必ず短期が先です。
  2. 50日線の弱いサインは、単独では売りサインになりません。 過去10年で同じ配置は25例あり、42営業日後に上がっていた割合は 76% (基準の 82% とほぼ同じ)、下落幅の中央値も -2.13% です。
  3. ただし今は、その25例が最も弱い区間を通過中です。 サインが出た 8/20 から7営業日目。これが今週、比率を下半分に置く直接の理由です。

8/29 のデータには留保があります。 最新の 19.72% は 8/29(土) 付の行で、土曜付の更新は約2年ぶりです。前日 8/28 の 22.63% からの下げ幅も過去の同種の更新より大きいため、8/31(月) の更新で 19.72% 近辺が追認されるかを必ず確認してください。仮に 22.63% が実勢でも、今週の方針は変わりません。

バブルの警戒度は 5/15 で、警戒帯の下端です。 高得点なのは信用買い残 (7月 $1.40兆、前年比 +38.6%) だけで、価格の急騰も新規上場の氾濫も起きていません。今週警戒すべきはバブル崩壊ではなく、金利の変化と参加銘柄の縮小です。備えるのは高いボラティリティではなく、金利への感応度です。


セクター・コモディティ戦術

資産 方針 理由
金 (GC) / GLD 13% 維持 (増やさない) 週足構造は無傷ですが、金利上昇の駆動源が短期側へ移った以上、織り込みが進むあいだは逆風です。判定は 4,415.0 の終値攻防。労働指標が弱ければ反転しうるので減らしもしません
エネルギー (XLE) 5%→4% (月曜寄り想定) 先週決めた減らし方をそのまま実行。例外条件だった「WTI 93.50 の終値上抜けを伴う供給ショック」は起きていません。ただし構造は全資産で最強なので 4% で止め、ゼロにはしません
銅 / 産業金属 新規は見送り 金曜の金利ショックの影響を最も受けなかった資産 (-0.45%)。上値 6.8035 まで +2.17%。金が売られ銅が保たれた分岐は、今回が実質金利の上昇だったことを裏づけます
ヘルスケア (XLV) 15% 維持 (増やしも減らしもしない) 今週の最下位セクターで、1ヶ月でも11業種中5位まで後退。維持するのは、セクター内の上昇銘柄比率 35.65% がエネルギーに次ぐ2位だからです。 3位以下へ落ちれば見直します
ウラン (URA) / 電力 保有ゼロを継続 チャートがなく損切りラインを引けません。線を引けない対象に新規は置きません。8/28 の -5.79% はウラン固有ではなく電力テーマ全体の巻き戻しで、長期金利の上昇による再評価です

兼業運用ガイド

朝の5分チェック

  • 米2年債 4.40% / 4.50% ——今週の最優先を10年債から移します。4.40% まで 6.0bp、4.50% まで 16.0bp。低下の確認は 4.20%
  • 10年債 4.806% と 2年10年差 30bp ——10年債は残り 7.6bp。4.708% を終値2日連続で下回れば、戻しが再び視野に入ります
  • S&P 500 7,636.4 / 7,716.2 ——下は2週守られた線、上はわずか +0.06% 先。障害は水準ではなく金利です
  • 小型株 2,883.0 ——最も金利に敏感な指数の先行シグナル。安値引けの続きが出るかどうか
  • VIX ——17未満なら現状維持 / 17超が終値2日連続で守りへ / 23超が終値2日連続で一段下げ / 26超はザラ場で即時
  • 8/31(月) の値上がり銘柄比率 ——19.72% 近辺が追認されるか。見るのは水準ではなく、下げの速度が緩んだかどうかです

夜・早朝チェック (日本時間)

日本時間 予定 判断ポイント
9/1(火) 23:00 ISM 製造業 + 求人が同時刻 総合より価格支払指数。投入価格の反転上昇は9月利上げの実行可能性に直結します。物価圧力の再確認 30% / 中立 45% / 景況減速の確認 25% (筆者推定)
9/2(水) 21:15 ADP 全米雇用報告 予備推計が既に極めて弱く、雇用統計の2日前という位置。大きく外れれば債券が先に動きます
9/3(木) 06:00 Broadcom と Snowflake が同時刻 AI 設備投資への今週最大の判定。「良い決算が金利に消される」展開が2営業日前に起きたばかりです。判断は当日の寄りのギャップで。+5%以上 33% / ±3%以内 42% / -6%以上 25% (筆者推定)
9/3(木) 21:30 Waller 理事講演 + 新規失業保険 ハト派方向 30% / 中立 50% / タカ派同調 20% (筆者推定)。ハト派に読めても長期金利が下がらない可能性があり、株高が本物かは30年債で検証を
9/3(木) 23:00 ISM サービス 雇用指数の 50 割れなら、翌日の雇用統計の下振れを示唆します
9/4(金) 21:30 8月 雇用統計 大型決算のない日で、この1本に集中。弱くて株にプラス 35% / 予想近辺 40% / 株にマイナス 25% (筆者推定)
9/4(金) 05:30 / 06:00 Zscaler・lululemon / Samsara 雇用統計に先行します

今週の心得

  • 今週の指標は「弱いほど株にプラス」という逆の読み方で見てください。 インフレは12ヶ月で 3.7% と高止まりし、9月利上げの織り込みは 36% → 56〜57% へ跳ねました。強い雇用は利上げを可能にし、弱い雇用は利上げを不可能にします。
  • ただし境界があります。 失業率が 4.4% 以上へ跳ねる、あるいは NFP が -100,000 を下回るほどの弱さになると、利上げ回避のメリットを景気後退の懸念が上回ります。金利低下と株安が同時に起きたら、それがこの経路です。
  • 8/28 の値動きは追認を要します。 出来高は 25.9億株と他の日の6割程度で、薄い場での値付けでした。月曜に金利と金の動きが続くかが今週の検証点です。
  • 「条件が点いた」ことと「その条件が想定した事象が起きた」ことは別物です。 今週まさにそれが起きました。配分は条件の成否だけでなく、何が原因で点いたかで調整してください。

リスク管理

守りの中心は、現金・短期債 33% (BIL $91.65)、XLV 15%、XLP 7%、GLD 13%、XLE 4% です。リスク資産 67%は、今の局面で想定する 66〜72% の下半分。悪化を示す要素が6つに対し、改善は長期の底堅さ1つだけでした。

個別株は ATR 1.6倍で損切り。上の決算表に載せた13社を持つ場合は ATR 1.2倍へ縮め、時間外と寄りのギャップを見てから判断してください。

今週の主なリスク

リスク 想定される影響
雇用統計の上振れ、または賃金の加速 米2年債 4.50% 超と10年債 4.806% 試し。小型株・公益・不動産が先に売られ、遅れて大型株へ波及します (警戒28%の内数)
Broadcom のガイダンス未達 判定は 9/3(木) の寄り。ナスダック100 が 29,116.3 を割るギャップなら警戒の起点です
イランの再エスカレーション 予告のないザラ場イベントとして扱います。制裁強化では原油はむしろ下げており現状は織り込み済みですが、新たな軍事行動があれば WTI は $95〜110 へ跳ねる余地があります。報道は事実、確率は筆者推定です

上級者向け — オプション補足

オプションは補助です。本記事は実際のプレミアムや変動率を取得していないため、割安とは断定できません。 執行前に必ず板で確認してください。

満期についての最重要の注意: VIX オプションは満期日の朝に清算され、最終取引日は満期の前営業日です。 VIX の9月標準限月は 9/16(水) 満期・最終取引日 9/15(火) ですが、FOMC の政策発表は 9/16(水) 14:00 ET の午後つまり VIX 9月限は FOMC の結果をカバーできません。 FOMC まで伸ばすなら 9/23(水) の週次限月10月限 (10/21(水)) が必要です。株式・ETF 側 (SPY・QQQ・GLD) は満期の系列が別で、今週のイベントを越える標準月次は 9/18(金) 満期です。

対象 目的
QQQ プット $680。9/18(金) 満期 Broadcom と半導体の連鎖に対する保険
SPY プット $745。9/18(金) 満期 雇用統計・ISM 2本・Waller 講演をまとめてカバー
GLD コール $430。9/18(金) 満期 インフレ再燃経路への備え。$430 は GC 4,755.0 の換算値とほぼ一致し、確認条件そのものです
VIX コール 20。9/16(水) 満期 (最終取引日 9/15(火)) VIX が3ヶ月で下位1.5%の低さにある一方、短期金利の再評価が未消化。サイズは最小限に

まとめ

今週のテーマは 「AI の業績が金利に負けた週の、その次の週」 です。

NVIDIA は売上 $962億・前年比 +106% という文句のつけようがない決算を出し、翌日に +8.74%。その24時間後の議長講演で -4.57% となりました。業績がどれだけ強くても、金利が上がれば株の評価は下がります。

そして今週動いたのは長期側ではなく短期側でした。米2年債 +10.0bp に対し、10年債は -1.0bp。 10年債だけを見ていれば、今週の金利イベントは検出できません。

だから今週から 米2年債 4.40% / 4.50% を並べて見ます。

毎朝見るのは 米2年債小型株 2,883.0 の2つ。加えて 8/31(月) に、値上がり銘柄比率の 19.72% が追認されるかを確認してください。

週の重心は 9/3(木) 06:00 の Broadcom9/4(金) 21:30 の雇用統計に集中します。指数は上がったのに中身は3ヶ月ぶりの水準まで痩せ、それでも VIX は 14.43。 このズレが埋まるのは、心配が消えるからではなく VIX が上がるからかもしれません。そう考えて備えます。

そして今週一番実務的な学びは、戻す側の条件を1日の終値で置いてはいけない、ということです。


免責: 本記事は モデル配分例・分析 であり、個別投資助言ではありません。「月曜寄り想定」「9/3(木) の Broadcom 反応後」「分割執行」等の表現は、モデルポートフォリオ上の想定執行です。実際の投資判断とロット決定は、各自のリスク許容度、ポートフォリオ事情、税務状況を踏まえてご自身でご判断ください。必要に応じて資格あるファイナンシャル・アドバイザーへの相談を推奨します。シナリオ確率は筆者個人の推定値であり、市場コンセンサスや報道機関の予測ではありません。CME FedWatch の利上げ確率は市場の織り込みで、報道各社が引用した値です。


Sources

データソース:

  • 価格・VIX・金利: 8/28(金) 終値、FMP API
  • Market Breadth 200MA / 8MA: 8/28 CSV (TraderMonty、日次更新)
  • Uptrend Ratio (値上がり銘柄比率): 8/29 CSV (TraderMonty、日次更新)
  • 決算の発表・説明時刻: 各社の公式 IR (全13件が企業管理ドメイン、3rd party 未使用)
  • Breadth のチャート画像は6週連続で未提供のため、これらの数値は CSV 単独が出典です

金融政策

経済指標・入札 (日付・時刻の確定用)

決算 IR

  • 今週13社の公式 IR は、上の「決算」表の各行にリンクしています。すべて企業が管理するドメインで、3rd party は使っていません (HPE のみ IR インデックス)。
  • 振り返り分: NVIDIA Q2 FY2027 リリース (8/26) / 同 Form 8-K

市場データ・評価 (予想値と評価の確定用)

報道ソース (事実報道。確率とシナリオ分析は筆者推定)

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