先週の米国相場は、CPI、PPIの発表があり、CPIについては市場予想をやや下回りましたが、PPIは市場予想を超えた数値が発表された結果、金利が上昇し、株価指数はダウを除いて下落、金属価格は大きく下落しました。
原油、天然ガスは上昇が続いており、石油ガス関連銘柄の株価が上昇する一方で、半導体を中心に情報技術セクターの下げ幅が大きくなっています。また、ヘルスケア、電話通信、公益事業などのディフェンシブなセクターが比較的に強い動きとなっています。
今週は小売売上の指標発表と共に、HD、TGT、WMTなどの大手小売業の決算発表が予定されています。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
投資家センチメントは、強気の投資家が多い状況は変わっていませんが、前週と比較すると弱気が21.3%から25.5%に増え、強気が49.0%から44.7%に減少しています。
米国債10年物の利回りは+2.92%上昇しました。6月の高値を超えてきており、上昇トレンドを継続しています。
VIXは-13.05%下落しました。S&P500とナスダックの株価指数が下落している中でVIXも下落しており、通常とは逆の動きを見せています。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートです。8月に入ってから下落が続いており、-4.65%の下落で7月開始時点の始値を割り込んでいます。
ナスダックの週足チャートです。先週は-1.62%の下落で2週間連続して下げています。
ナスダックの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄は50%を割り込み下落トレンドが続いています。一旦、売られ過ぎの水準(下のチャートで-10から-20付近)まで下がり、下落から反転してくるまでもう少し時間がかかりそうです。今回の下げが強気相場の一時的な調整であれば、1週間から2週間以内で反発してくる可能性があります。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。ナスダックと比較すると8月に入ってからの下げ幅は-0.78%と小さいです。
ダウの週足チャートです。先週は+0.68%の上昇でした。株価指数の中で先週上昇したのはダウのみとなっています。
ダウの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は下落から反転を開始しようとしています。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。8月に入ってからの下げ幅は-2.73%となっています。
S&P500の週足チャートです。先週は-0.25%の下落でした。ナスダックと比較すると小さな下げ幅で踏みとどまっています。
S&P500の銘柄のうち50日移動平均線を上回っている銘柄の割合は下落トレンドとなっています。まだ反転の動きは見られません。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。8月に入ってからの下げ幅は-3.91%です。ナスダックの次に大きな下げ幅です。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は-1.56%の下落でした。2022年4月から始まったトレンドラインを7月にブレイクアウトしましたが、同じ水準まで戻ってきています。今週はこの水準から反発してくるかを監視したいと思います。
ラッセル2000の銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合は50%付近まで下落してきています。50%を割り込んで下落を継続する場合は、さらに下落が長引く可能性が高くなります。
ラッセル2000の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は下落が続いており、50%を割り込む手前まで来ています。強気相場であれば50%を小さく割り込んだ水準から反発してくる可能性があります。
コモディティの先物価格の分析
原油価格は+0.51%と小幅な上昇でした。6週間連続で上昇しています。2021年12月から2022年2月にかけての上昇に匹敵する強い動きとなっています。
天然ガスは+7.49%の上昇で、上昇トレンドに復帰しています。2023年2月の高値に到達したところで戻されています。2月の高値を超えて行けるようであれば、しばらく上昇が続く可能性が高くなります。
金は-1.49%と大きな下げ幅となっています。6月から始まった短期の上昇トレンドが終了しています。金利の上昇が止まるまでは下目線で推移する可能性が高いです。
銅は-3.84%の大きな下げ幅となっています。2023年1月から始まった下落トレンドのラインを越えられず、再度下落トレンドに戻っています。
小麦は-0.99%の小幅な下げ幅です。上昇トレンドは開始できず、レンジの動きに戻っています。
セクター分析
先週はエネルギー、ヘルスケアが強く、情報技術が弱いパフォーマンスとなっています。公益事業、生活必需品も比較的強く、ディフェンシブなセクターに資金が移動しているように見えます。
セクター毎に50日移動平均線を超えている銘柄の割合を確認すると、上昇を維持しているのはエネルギー、下落から反発し始めているのはヘルスケアと電話通信です。その他のセクターはまだ下落が止まる兆候は見られません。
エネルギーセクターの50日移動平均線を超えている銘柄の割合
ヘルスケアセクターの50日移動平均線を超えている銘柄の割合
電話通信セクターの50日移動平均線を超えている銘柄の割合
業種別のパフォーマンスを確認すると、石油ガス精製、ビジネス機器、製薬、石炭、出版、ウラン、バイオテクノロジー、公共電力が強いです。下落が大きいのは半導体、医療情報、アルミ、自動車です。
個別銘柄の動向
先週は、個別銘柄で上昇が大きかったのは、製薬(LLY、AMGN、ZTS、HLN)、バイオテクノロジー(NVO、REGN)、石油ガス精製(MPC、VLO、PSX)です。下げ幅が大きいのは半導体(NVDA、AVGO、AMD、QCOM、MU、LRCX、AMAT)、自動車(TSLA、F、LI)、中国ハイテク大手(BIDU、PDD、JD)です。
今週の戦略
エネルギー、ヘルスケア、電話通信などの一部のセクターに反発の動きが見られるものの、大型ハイテク銘柄の動きが弱く相場全体としては短期的には下目線で推移しています。スイングトレードのポジションは軽くした状態を維持しつつ、好決算銘柄を対象に短期トレードをしながらスイングトレードの銘柄の選定を進めたいと思います。
監視銘柄
力強く上昇するセクターが大きくローテーションしているため、監視銘柄も大きく入れ替えています。
監視銘柄は、決算発表後に強く上昇した後に下落せずに踏みとどまっている、もしくは上昇を継続している銘柄、今週に決算を控えている上昇トレンドの銘柄、上昇トレンドのセクターの銘柄を中心に選定しています。
監視銘柄のチャートはこちら。
今週の決算発表
今週はHD、ONON、CAH、CSCO、WMT、DE、AMAT、PANWの決算に注目したいと思います。
8/14
- MNDY
8/15
- HD
- ONON
- CAH
- SDRL
- A
- CAVA
- NU
- SE
8/16
- TGT
- TJX
- CSCO
- SNPS
- STNE
- WOLF
8/17
- WMT
- AMAT
- NICE
8/18
- DE
- PANW