先週の米国相場もボラティリティが高く、関税関連のニュースで大きく上下する相場が続きましたね。
特に米国債の長期金利が大きく上昇して年初から続いていた下落トレンドが明確に終了したことが相場の転換のきっかけになりそうです。
特に大型ハイテク株が力強く反転してナスダックは週間で7.7%と大きく上昇しました。コモディティの中では特に金が強い上昇トレンドを継続しています。
短期的なトレンドは転換の兆しが見えてきているものの、中期的なトレンドはまだ下目線で推移していますので、過度に強気になりすぎず、トレード対象の銘柄を選別しながら、シグナルが出た銘柄からポジションを追加していきたいと思います。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
この記事の図解まとめはこちらのリンクから。
先週の振り返り
相場環境
米国債10年利回りは+12.42%の上昇で4.497%まで急上昇しています。2025年1月から始まっていた下落トレンドのラインを上抜けています。
VIXは月曜に60付近まで急騰した後に週末に向けて下落し、最終的に37.55まで下がっています。30を下回るところまで下落すれば株式相場が落ち着く確率が高まります。
マーケット・ブレス指数で中期的なトレンドを確認すると、まだ下落トレンドを継続しています。10日移動平均線で確認すると、まだ反転のシグナルは出ていません。
上昇トレンド銘柄の比率による短期的なトレンドを確認すると、チャートの色が赤(下落トレンド)から灰色(トレンドなし)に変わっており、下落トレンドを終了して上昇トレンドを開始しようとしていることが分かります。今週に上昇トレンドに転換する可能性がありそうです。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートを確認すると、4月は非常に長い下ヒゲをつけて月間の騰落率は-2.84%のところまで戻しています。このまま4月を終えられれば5月以降に反転して上昇していく可能性が高くなります。
ナスダックの週足チャートです。先週は一週間で7.70%の上昇で、前の週の大きな下落の70%程度は取り戻している状態です。まだ下落トレンドが終了したわけではありませんが、今週に上昇を継続できればトレンドが転換する可能性が高まります。
ナスダックの高値-安値銘柄数は先週に大きく回復し、-65まで戻って来ています。トレンドが転換する兆候が見られます。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。ナスダックのチャートと同様に非常に大きな下ひげをつけています。月間の騰落率は-4.03%まで回復しています。
ダウの週足チャートを確認すると、先週は過去2年間で最大の出来高を記録して+5.03%の強い上昇でした。前の週の大きな下落は取り戻せていません。
S&P 500の分析
S&P 500の月足チャートです。他の指数と同様に大きな下ひげをつけて月間の騰落率は-4.23%まで戻しています。
週足チャートを確認すると、ダウと同じく過去2年間で最大の出来高を記録して+5.92%の上昇となっています。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。2022年の弱気相場の底を試すような動きをした後に戻しています。株価指数の中では最も回復が鈍く、月間の騰落率は-7.67%までしか回復しておらず、やや出遅れています。
週足チャートを確認すると、先週は+2.14%の上昇でした。他の指数と比較すると明らかに強さがありません。過去の下落からの回復の際にはナスダックが上昇を始めた後にやや遅れて買われ始める傾向がありましたので、今回もそのような反応をするのかもしれません。
コモディティの分析
原油は55付近まで下落した後に強く反発して61.43まで戻しています。週間のパフォーマンスで見ると-1.36%で終えています。長期的な下落トレンドを継続しています。
天然ガスは先週は-8.08%の下落でした。20移動平均線を割り込んでおり、2024年9月から始まった上昇トレンドが終わりそうな弱気なチャートです。
金は先週は+6.89%の上昇で前の週の高値を上回っています。関税騒動で株価指数や債券がボラティリティの高い動きを繰り返している中、金だけは強い上昇トレンドを保っています。
銅は先週は大きく下落して始まり、一時は2024年後半の底値の4.0付近まで下落しましたが、週の後半には大きく上昇して4.5付近まで戻り、+2.75%の上昇で終えています。
セクター分析
先週は不動産とエネルギー以外は強く上昇しました。特に情報技術と素材が強い動きです。過去1ヶ月で見ると、ディフェンシブと公益事業だけがプラスで、特に下落が大きいのはエネルギーです。
業種別のパフォーマンスを確認すると、先週先物の価格が大きく上昇した金鉱株が最も強く、その他には再生電力、半導体、銀などが続いています。パフォーマンスが悪いのは放送と住宅ローンです。住宅ローンは長期金利が急騰したことでネガティブな反応をしています。
個別銘柄の動向
先週はNVDA、AVGO、ASMLなどの半導体関連、MSFT、GOOG、AMZN、METAなどのハイテク大型株が相場を牽引しました。ABBV、BMY、PFEなどの製薬、BABA、PDDなどの中国ハイテク株、CSV、BPなどの石油銘柄が弱い動きとなっています。
今週の戦略
相場全体に下落から反転する動きが見られ、短期的にはトレンドが転換する動きが見られます。中長期のトレンドに関してはまだ下落トレンドを継続しています。
週末にトランプ大統領から特定のハイテク機器に関する中国に対する追加関税を除外する発言があり、今週の相場はこのニュースに反応して上昇して始まる可能性が高そうです。
今週は、上昇トレンド銘柄数の割合のチャートで相場全体の短期的なトレンドの転換を確認できたら、直近の決算後に強い値動きを見せている銘柄を対象に節目となる水準をブレイクするタイミングでスイングトレードのポジションを構築していきます。
マーケット・ブレス指数で中期的なトレンドの反転が確認できるまでの間は、ポジションを持つ銘柄を絞った状態(通常の半分程度を目安)を維持します。
中期的なトレンドの転換を確認できたらスイングトレードのポジションをさらに拡大していきます。今週からちょうど決算発表の時期に入りますので、決算後に上昇する銘柄を中心にポジションを拡大していきます。
監視銘柄
最近の決算発表後の値動きが良い、FAST、LOAR、SMPL、TFPMを監視対象に加えています。
監視銘柄のチャートはこちら。
今週の決算予定
今週から本格的にQ2の決算発表が始まります。
BAC、C、JNJ、IBKR、UAL、ASML、TSM、UNH、NFLXの決算に注目です。
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