先週の米国相場は、雇用統計の発表で市場の予想よりも失業率が悪化していることを受けて長期金利が大きく下落し、VIXが急騰して株価指数は軒並み下落しました。
VIXの週間の上昇率は2023年3月のシリコンバレーバンク破綻があった時、2022年1月の弱気相場開始時に匹敵する大きさでした。
今後の数週間は不安定な動きの相場が続くと思われます。無理なトレードは行わず、相場が落ち着きを取り戻すまでの間、トレード資金を温存しながら次の上昇の波を牽引する銘柄を探していく時間にしていきたいと思います。
それではチャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
米国債10年物の利回りは-9.54%と急落し、3.77%付近のサポートラインまで到達しています。先週の雇用統計で失業率が予想より増加していることを受けて、市場が景気の原則を懸念して急速な利下げを折り込み始めていることが表れています。今後、サポートライン付近で反発する動きが見られるか注目したいと思います。
VIXは+42.74%の上昇でした。一時は70%近く上昇して30付近まで上昇しました。週間で30%を超える上昇は2023年3月にシリコンバレー銀行の破綻が報道されたとき以来です。40%以上の上昇は2022年1月に急速な利上げにより株式相場が大きく下落を始めたとき以来です。非常に大きな上ヒゲをつけており、一旦、急な上昇は終わったように見えます。上昇トレンドラインを明確に割り込むまでは不安定な相場が続く可能性がありますので、注意して推移を見守る必要があります。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートです。8月が始まり一週間も経過していませんが、現時点の騰落率は-5.41%と大きな下落率となっています。
ナスダックの週足チャートです。先週は-3.34%の下落でした。3週連続で比較的大きな下落が続いています。18345のサポートラインに到達しています。出来高も先週に非常に大きく上昇しており、今週は一旦の反発が見られるかもしれません。
ナスダックの高値–安値銘柄数は一気にマイナス圏まで下がり-90となっています。まだ反発する動きは見られません。このような急速で大幅な下落は2023年3月以来です。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。8月の騰落率は-3.10%となっています。まだ今のところは3週間続いた上昇の後の押し目レベルの下落に見えます。ここから更に下落が加速する場合は注意が必要です。
ダウの週足チャートです。先週は-2.50%の下落でした。39300のサポートラインに触れたところで小さく反発する動きが見られます。今週、20週移動平均線(水色)まで下落した場合は、その水準で反発する動きが見られるかを注視したいと思います。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。8月の騰落率は-3.76%となっています。5300のサポートで踏みとどまれるかどうかを確認して行きたいと思います。
S&P500の週足チャートです。先週は-2.47%の下落でした。3週連続して下落しています。4月の調整の際と同様にここから反発が見られるかどうかがポイントです。この水準を割り込んで下落が続く場合は、少し長い調整下落となる可能性があります。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。8月の騰落率は-6.89%となっています。早くも7月の大きな上昇の7割程度まで下落しています。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は-7.03%の下落でした。7%を超える下落はシリコンバレー銀行が破綻した報道があった2023年3月以来です。2095のサポートラインで一旦下落が止まり、小さく反発する動きが見られます。
コモディティ先物の分析
原油は-3.01%の下落で4週連続の下落となっています。73付近まで下げたところで買い手が現れて反発する動きが見られます。下落トレンドラインを明確に上抜けるまでは様子見です。
天然ガスは-1.94%の下落でした。5月に始まった下落トレンドを継続していますが、ようやく下落幅が緩やかになってきたように見えます。この水準から反発する動きが見られるかどうかに注目したいと思います。
金は+3.73%の上昇でした。株式相場が下落する中で強い上昇となっており、新高値を更新しています。力強い上昇トレンドを継続しています。
銅は-0.51%の下落でした。4月から5月にかけての急騰の後に下落トレンドが続いています。4.0付近で買い手が現れて反発する動きが2週間続いています。この水準で下落が止まる可能性が出てきました。
セクター分析
先週は公益事業、不動産、ディフェンシブが上昇した一方で、情報技術、一般消費財、金融、エネルギーが大きく下げています。過去1ヶ月で見ても同様の傾向が見られます。ハイテク銘柄から資金が抜けてディフェンシブなセクターに投資資金が流れている動きが続いています。
業種別のパフォーマンスを見ると、先週はREIT、レストラン、医薬品流通、菓子、公共電力が上がっています。最も大きく下落したのはウランでした。その他には教育サービス、半導体装置、アルミなどが大きな下落となっています。
業種別のパフォーマンスの推移を確認すると、先週に下落トレンドから上昇に転換したのは、菓子(HSY、MDLZ)、食品流通(SYY、USFD)、パッケージ食品(CPB、GIS、MKC)です。
個別銘柄の動向
先週はAAPL、METAを除く大型ハイテク株が大きく下落しました。ASML、AMATなどの半導体装置も大幅な下落となっています。JPM、BACなどの銀行も大きく下落しています。大きく下落せずに持ち堪えているのは、公益事業、廃棄物処理、医薬品、電話通信、タバコ、食品、REITなどです。
今週の戦略
今週は先週の大きな下落からリバウンドしてくる可能性がありますが、VIXが23と依然として高い位置に留まっており、株式相場は不安定な動きが続くものと思われます。VIXが明確に下落トレンドに転換するまでは、スイングトレードで新たなポジションを取るのは最低限にして、相場の雰囲気が変わるまでじっくり待ちたいと思います。
この期間に次の上昇の波に備えて、売上と利益の成長率が高く、相場全体の下落に抵抗して持ち堪えている銘柄、下落トレンドからいち早く上昇に転換してくる銘柄を選定していきたいと思います。
今週も多くの企業の決算発表が続きます。ポジティブなサプライズがあった銘柄に対する短期トレードについては、エントリーサイズを普段より小さくした上で継続する予定です。
スイングトレード監視銘柄
先週の相場全体の下落を受けて監視銘柄を大幅に入れ替えています。直近の決算でポジティブなサプライズがあり上昇している銘柄を監視対象に加えています。また、今週に決算発表を予定しているFRPT、VRRMも決算トレードの対象として加えています。
監視銘柄の中で決算を予定している銘柄は以下です。
- 8/5 FRPT、PLTR
- 8/8 CYBR、NTRA、VRRM
- 8/9 ERJ
監視銘柄のチャートはこちら。
今週の決算予定
今週はLLY、FRPT、PLTR、AXONの決算に注目したいと思います。
8/5
- BRK.B
- FRPT
- TSN
- OKE
- FANG
- MWA
- SPG
- O
- HIMS
- PLTR
- FNF
- VSTO
- SEMR
- SKWD
- EVER
- STRL
8/6
- BLD
- DAVE
- KNF
- BR
- SGRY
- OC
- ATI
- ARMK
- CEG
- FIS
- DUK
- CAT
- AMGN
- TOST
- CPNG
- DVA
- TDW
- AXON
- UTI
- LRN
- UMH
- SKY
- ARIS
8/7
- NVO
- GFF
- VERX
- ITCI
- DNOW
- WIX
- HLT
- OSCR
- EMR
- BROS
- APP
- AZEK
- ASPN
- HOOD
- MCK
- FROG
- LNW
- BLBD
- ROOT
8/8
- NXST
- RDNT
- CYBR
- VITL
- VST
- PRMW
- USFD
- LLY
- SG
- TTD
- PAAS
- NTRA
- ELF
- DOCS
- VRRM
- COLL
8/9
- ROAD
- ERJ