先週の米国相場はCPIが予想より低い結果となったことから、長期金利が大きく下落し、金利低下の恩恵を受ける住宅建築、不動産、産業機器等のセクターや小型株が力強く上昇しました。
今週は7/16に小売売上、7/17に住宅着工件数の発表があります。景気動向を知る上で重要な指標となりますので、発表後の関連セクターの反応を見ていきたいと思います。
また、今週は先週末から始まった2Qの決算発表が本格的に始まり、発表件数も多く予定されています。各銘柄のコンセンサス予想との差異、ガイダンスをしっかり確認して、株価が上昇する可能性の高い銘柄を選定していきたいと思います。
特に注目したい決算発表は、GS、MS、TSM、ASML、JNJ、NFLX、AXPです。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
米国債の10年物の利回りは-2.22%の下落でした。下落トレンドを継続しています。4.177%付近の抵抗ラインを割り込んだ場合、さらに下落が進む可能性があります。
VIXは-0.16%の小幅な値動きでした。5月以降2ヶ月半に渡って12から14の低い水準のレンジで推移しています。直近の2週間はVIXの値幅も小さくなり変動がなくなっています。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートです。7月の半ば時点で月間の騰落率は+3.10%となっています。7月に入ってから、時折、上昇の勢いがなくなって小さな下落が発生していますが、今のところは最終的に買い手が優勢となり上昇を続けています。月足のチャートを見ると短い期間で上がり過ぎており、今のところ3ヶ月連続で上ヒゲをつけていることから、利確売りやショートを仕掛ける勢力が少しずつ増えてきているような印象です。
ナスダックの週足チャートです。先週は-0.12%と小幅な下落でした。比較的大きな上ヒゲをつけているのと、金曜の引け間際の強い売り圧力を考慮すると、今週は横ばいか、下目線で推移するシナリオも想定しておきたいと思います。力強く新高値の更新が続いている状況ですので、中期的には明確な下落の兆候が見られるまでは上目線のシナリオの可能性が高そうです。
ナスダックの高値–安値銘柄数はプラス圏内に戻り一気に高値付近まで上昇しています。少し上昇のスピードが早すぎるのが気になりますが、ナスダックの幅広い銘柄が買われていることを示しています。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。7月の騰落率は+2.15%となり、新高値を更新しています。ナスダックのチャートと比較すると上がり過ぎな印象はなく、着実な上昇トレンドを継続しています。
ダウの週足チャートです。先週は+1.72%の上昇でした。3月以降にダブルボトムのようなパターンを作って、新高値を更新しています。上目線で推移する確率が高いチャートに見えます。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。7月の現時点の騰落率は+2.62%の上昇です。3ヶ月連続で着実に上昇しています。
S&P500の週足チャートです。先週は+0.97%の上昇でした。ナスダックとは異なり、高値を更新した後も大きく売られることはなく高値を維持しています。大型ハイテク株の下落をその他多くの銘柄が支えているような構図となっています。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。7月の現時点の騰落率は+4.74%となっており、株価指数の中で最も強く上昇しています。直近の3月の高値を超えてきており、2324の高値を目指す展開となっています。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は+6.07%と非常に強い上昇でした。出来高の増加を伴って上昇しており、強い買いの勢力がいることが分かります。5%を超える上昇は昨年の12月以来、6%を超える上昇は2021年の2月以来です。
コモディティ先物の分析
原油は-1.38%の子はばな下落でした。84.41付近のレジスタンスラインで一旦売られて下落しています。この水準を越えられれば上目線、80.59付近のラインを割り込む場合は下目線で推移しそうです。
天然ガスは+0.43%の小幅な上昇でした。4週間続いた下落がようやく止まりそうな動きが出てきました。先週の高値を超えるか、先週の安値を割り込むかで今後の方向性が見えてきそうです。
金は+0.96%の上昇でした。ダウのチャートと同じようにダブルボトムのベースを形成しています。今後、直近の高値の2.45を更新していければ上目線で推移する可能性が高まりそうです。しっかりとした上昇トレンドを維持しており、強気なチャートに見えます。
銅は-1.27%の下落でした。前の週の非常に強い上昇から一旦下落し、下げたところから反発して下ヒゲをつけています。4.695付近のレジスタンスラインを上抜ければ上昇している可能性が高まりそうです。
セクター分析
先週は通信サービス以外のセクターが上昇しました。特に強い上昇を見せたのは、不動産、公益事業です。過去1ヶ月のパフォーマンスを見ると、情報技術が最も強い状態ですが、不動産、一般消費財、金融が追い上げてきています。
業種別のパフォーマンスを確認すると、非常に強く上昇したのはソーラー、不動産開発、住宅建築です。利上げ局面で下落が続いてやや割安になっている業種に資金が流れているようです。2024年の前半に一貫して上昇していたハイテク、半導体などの業種から、割安となっている業種、特に利下げ局面で恩恵を受けると考えられる業種にシフトする動きが見られ、流れが変わってきている印象です。
業種別の過去の推移をチャートで確認すると、先週に下落トレンドから上昇に転換したセクターは、ギャンブル、ホームセンター、ITサービス、統合物流、住宅建築です。その中でも移動平均線を上抜けた後にリテストする動きが出て、上昇トレンドを開始しているのはITサービスと統合物流です。
個別銘柄の動向
先週は幅広いセクターに買いが広がりました。特に地方銀行、バイオテクノロジーなどの小型株が軒並み上昇しているのが目に止まります。小型株がここまで全体的に買われるのは半年ぶりです。
小型株以外には2024年に入ってから大きな上昇せずに割安となっていた不動産、REIT、産業機器などのセクターにも強い上昇が見られます。その一方で、先週は過去1年間で大きく上昇してきたMSFT、GOOG、META、AMZN、NFLXなどの大型ハイテク株に弱い動きが見られました。
今週の戦略
今週はGS、MS、ASML、JNJ、NFLX、AXPなどの注目銘柄の決算発表が多数予定されています。ポジティブなサプライズがある銘柄に注目してスイングトレードのエントリーの機会を模索していきたいと思います。
監視銘柄
先週の決算後に強い動きが見られたBK、金価格の上昇に伴って上昇トレンドを開始したNEM、強い上昇の後に一旦下落してボラティリティが低下してきたSMCIを監視銘柄に加えています。
監視銘柄のチャートはこちら。
今週の決算予定
今週はGS、BAC、MS、ASML、JNJ、TSM、NFLX、PGです。
7/15
- BLK
- GS
- FBK
7/16
- BAC
- MS
- PGR
- PNC
- SCHW
- STT
- UNH
- AEHR
- FULT
- IBKR
- JBHT
7/17
- ALLY
- ASML
- CFG
- ELV
- JNJ
- PLD
- SYF
- USB
- AA
- DFS
- EFX
- OZK
- REXR
- STLD
- UAL
7/18
- ABT
- ALK
- BX
- CTAS
- DHI
- DPZ
- FOR
- HXL
- INFY
- KEY
- MMC
- SNA
- TSM
- NFLX
- PPG
7/19
- ALV
- AXP
- BMI
- HBAN
- RF