米国株式相場ドットコムバブル崩壊時の値動きと弱気相場におけるVIXを活用したトレード戦略

トレード

20221月に開始した調整相場が、今後、FRBによる利上げとQTの開始に伴って更なる本格的な下落相場となっていく可能性はゼロではありません。下落相場がやってきた時に慌てて何もできなくなってしまわないように、2000年のドットコムバブル崩壊時と同程度の下落がやってくると仮定し、そのような弱気相場でどのようにすればスイングトレードで利益を確保できるのか、戦略を考えてみました。

最初にトレード戦略の概要を一言で言ってしまうと、VIXを利用して相場環境を把握し、VIXが下落している時にエントリーし、VIXが上昇し始めたら売却する、というものです。
それでは、バブル崩壊時の値動きを見ながらVIXを活用したトレード戦略が有効に機能しそうか見ていきましょう。

ドットコムバブル崩壊時のQQQの値動き

それでは、最初にドットコムバブル崩壊時の値動きを確認してみましょう。

以下は2000年〜2003年のQQQの週足チャートです。20003月の天井から200210月の完全な底打ちまでに2年半がかかっています。

ドットコムバブル崩壊時の天井から完全に底を打つまでの時系列の流れは以下のようになっており、下落相場といっても実際には20〜50%の上昇と下落を繰り返しながら長期的に下落していくという動きをしていることが分かります。

  • 20003月に天井をつける。
  • 20004月に急落し天井から-46%の下落。その後、急反発して+50%の上昇。
  • 20005月に2回目の下落で-25%
  • 20008月末まで安値を切り上げながら+40%の上昇。
  • 20009月に20日移動平均線を割り込み下落トレンドとなり半年で-67%の下落。
  • 20014月に1回目の底打ちから反発して+50%上昇。その後、下落トレンドに戻り-46%の下落
  • 20019月に2回目の底打ちから反発し20日移動平均線を上抜けて12月末まで上昇し+56%
  • 20021月から再度下落トレンドに入り-50%の下落。
  • 200210月に底打ちして上昇トレンドを開始し、+40%上昇。

上記の流れを見ると、実際にトレードしてうまくやれるかはさておき、このような弱気相場であっても下落が始まったらいち早く撤退し、3ヶ月から6ヶ月程度の短期的な上昇トレンドに乗ることができれば、十分に利益を上げられる可能性はある、ということです。

下落相場でも利益を確保するトレード戦略

さて、下落相場において、どのようにすれば下落中に一時的に現れる短期の上昇トレンドをつかめるでしょうか。

QQQVIXのチャートを並べてみると、QQQが上昇しているタイミングではVIXは下落するという逆相関になっていることが分かります。そこで、VIXが下落トレンド(20移動平均線を下回って下落中)の期間のみロングポジションを取り、それ以外の期間はポジションを持たない、という戦略をとることで下落相場でも利益をとっていくことができると考えます。具体的には、以下の同時期のVIXの週足チャートで黄色のハイライトを付けてある区間のみポジションを持ち、VIXが上昇に転じるタイミング(黄色の丸)で売却します。

VIXによる相場環境の把握の結果、エントリーしても良い状況で有れば、そのタイミングで最も良い値動きのセクターおよび銘柄を選択し、さらに日足のチャートでパターンを確認してロングでエントリーします。エントリー後、個別銘柄のチャートの上昇トレンドが終了、もしくはVIXが上昇に転換したら売却します。

トレードの一連の流れをまとめると以下のようになります。

  1. 相場環境の把握・・・QQQ VIXの週足、日足チャート
  2. セクターの選択・・・監視銘柄のチャート、セクターETFのチャート
  3. エントリー銘柄選定・・・個別銘柄のチャート、決算結果の推移
  4. 購入タイミング・・・日足チャートでパターンを確認
  5. 売却タイミング・・・各銘柄の上昇トレンド終了時、またはVIX上昇時

短期の上昇トレンドの底から上までの半分の利幅が取れたとすると、2年半の期間で各々のエントリーで+25%+20%+25%+28%+20%の利益を確保できる計算になります。

  • 20004月に急落し天井の最高値から下落後、反発して+50%の上昇。→+25%利益
  • 20008月末まで安値を切り上げながら+40%の上昇。→+20%利益
  • 20014月に1回目の底打ちから反発して+50%上昇。→+25%利益
  • 20019月に2回目の底打ちから反発し12月末まで上昇し+56%→+28%利益
  • 200210月に底打ちして上昇トレンドを開始し、+40%上昇。→+20%利益

利益分も含めて次のトレードに入れていく前提で、完全に戦略を実行できた場合のトレード結果は以下の通りです。下落トレンドの時期に2年半で288%を実現できれば素晴らしいパフォーマンスではないでしょうか。

2022年のQQQのチャート

ここで、20221月時点のQQQの週足チャートを見てみましょう。

ドットコムバブル崩壊と同等の下落相場がやってきたと想定して最悪のケース(202112月の高値から-40%の下落)の値動きを描き加えてあります。実際には$240まで下がることはないと思っていますが、あくまで最悪のケースとして心の準備はしておきたいと思います。

20221月末時点で、まさに天井からの最初の下落からの反転が始まりつつある状況です。VIXがまだ確実な下落トレンドには入っていませんので、VIXがさらに下がって20移動平均線を下回って下落トレンドが確定したら最初のエントリーのタイミングになります。

2000年の頃と比べて2022年時点ではより値動きが速くなっているということも考えられますので、もしかすると、週足だけでなく日足チャートも確認しながらエントリーのタイミングを探っていくのが良いかもしれません。当面は週足と日足の両方のチャートを見ながら戦略を検証していきたいと思います。

まとめ

ドットコムバブル崩壊時のチャートを確認してスイングトレードの戦略を考えてみました。VIXチャートで相場環境を把握して、エントリーの条件(VIXの下落トレンド入り)を満たしたらそのタイミングで最も良い値動きの銘柄にエントリーし、エントリーの前提条件が崩れたら売却する、という戦略です。

果たして、期待通りにうまく稼いぐことができるのか?2022年1月から2年程度の時間をかけて検証していきたいと思います。

 

2022/5/13時点の途中経過

上記で紹介したトレード戦略を2/1〜5/13の期間のトレード結果で検証してみました。日足のVIXをもとに結果をまとめています。VIX上昇期間は勝率が30%を下回ったのに比べて、VIXが下落している期間は勝率が50%以上となっており、明らかに数字に差が出ました。自分でも結果を数字にしてみて少し驚きました。

  • VIXが下落トレンドの期間
    • 2/1〜2/10 勝率53%
    • 3/16〜4/8 勝率64%
    • 4/13〜4/21 勝率54%
  • VIXが上昇トレンドの期間
    • 2/14〜3/15 勝率28%
    • 4/22〜5/13 勝率25%

あとは、これが一番厄介なのですが、VIXが上昇している時にトレードを我慢できればトータルのパフォーマンスを上げていけるはずです。

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