【米国株】2025年8月5日週トレード戦略「広がるラリーから守備へ移行」

投資戦略

はじめに

7月28日週に期待した「広がるラリー」は早々に失速し、8月第1週の市場環境は明確にリスクオフに傾きました。こうした環境下では防御を強化し、次のチャンスを待つ「待ち伏せ型」の姿勢が有効です。


Market Breadthとは?

Market Breadth(マーケット・ブレス)とは「市場全体の上昇力」を0〜1の範囲で表す指標です。0.6であれば、約60%の構成銘柄が上昇傾向(=強い拡散・トレンド継続)を示しています。

同時に、短期的な「上昇トレンド銘柄比率」が10〜15%まで急低下している場合、これは“主力以外ほぼ全面安”=短期的な売られ過ぎ水準に近づいているシグナルです。実際、過去1年で10%割れとなった局面では、その後2〜3週間で自律反発が見られたケースが多いです。


市場環境の振り返り(8月3日引け時点)

  • Market Breadth は200日MAベースで0.6付近を維持しており、中長期の上昇トレンドは継続。一方、短期の上昇トレンド銘柄比率は10〜15%まで急低下しており、売られ過ぎゾーンに接近。
  • VIX指数 は36%急上昇し、20を突破。市場心理が悪化。

VIX(+36.53%

  • 米10年債利回り は4.39%から4.22%へ低下したものの、これは景気後退の懸念を示唆する「悪い低下」の可能性

10年債利回り(-3.88%

  • 株価指数 はNASDAQ-100が週間▲2.4%、S&P500が▲2.5%と調整局面入り。
  • コモディティ では銅とウランが大きく下落し、資源セクターは軟調。一方、安全資産であるゴールドが小幅上昇。

銅(-23.33%

金(+1.92%


今週の戦略(8月5日週)

マクロトリガーの確認

  • VIX20以上で防御強化:インデックスETFの割合を縮小し、SHなどインバースETFでのヘッジを導入。
  • Breadth (200日MA)が0.50未満、または上昇トレンド銘柄比率が10%を明確に割り込んだ場合は新規景気敏感株のエントリーを停止し、既存ポジションを段階的に利益確定。10%割れは短期リバウンド狙いの起点として監視(過去の例では短期間で反発する傾向が強い)
  • 米10年債利回り4.11%割れでリスクオン再開の条件:ハイテク株中心に押し目買い再開。

ポートフォリオ構成(推奨)

  • コアETF(QQQ/VOO):前週の40%から30%へ削減。
  • ハイテク銘柄(NVDA/META等):決算上方修正銘柄に限定し15%→12%に抑制。
  • 防御セクター(Utilities/Staples):5%→15%へ増加し、守備を固める。今週は防御優先。
  • コモディティ関連(銅/ウラン):20%→10%へ半減。資源株は短期では弱含み。
  • ゴールド(GLD):5%→8%へ増枠。安全資産としての存在感強まる。
  • ヘッジ(SH/BIL):15%→25%に増やし、リスクを低減。

今週注目のトレードアイデア

  • ユーティリティETF (XLU):Breadth低下・VIX上昇局面で押し目買い。
  • 大型テック決算後のデイトレード(ORB戦術):5分足の寄付値幅(Opening Range Breakout=ORB)を超えたタイミングでエントリー、短期トレード。

 


兼業トレーダー向け時間管理(米国西海岸時間)

  • 米国西海岸 06:30(寄付き):金利、VIX、Breadthの確認。
  • 米国西海岸 12:00(正午):保有銘柄のチェック。
  • 米国西海岸 12:45(引け前):ポジション調整と翌日のリスク管理。

中長期ビューと戦略の組み立て

1. Breadth 0.6 が示す“上昇トレンド継続”

  • 200日MAベースのBreadthが 0.60 付近で維持されている限り、ベア相場入りを前提としたポジション解消は行わない
  • 過去5年間のデータでは B200=0.60 以上の期間は平均で +7.8%(半年ベース)の上昇余地が残存。
  • したがって長期資金は S&P500 ETF(VOO) と NASDAQ100 ETF(QQQ) を20〜25%コアとして継続保有。

2. 上昇トレンド銘柄比率10%割れ時のリバウンド戦術

フェーズ シグナル 行動 期待値
売られ過ぎ接近 上昇トレンド銘柄比率 15→11% ウォッチリスト抽出・アラート設定
逆張り開始 上昇トレンド銘柄比率 <10% 大型ハイテク・ディフェンシブを 1/2 ロット +3〜5% 指数反発で半益
反発継続 上昇トレンド銘柄比率 10→18% 中小型/景気敏感を追加 1/4 ロット +6〜8% で残ポジ利確
失速再落 上昇トレンド銘柄比率 再び <12% 直近買いポジション全利確 守り優先

ポイント: 逆張りロットは通常の30〜40%に抑え、VIX>23 では一旦中止。

3. 最低限キープしたい長期ポートフォリオ枠

  • コアETF(QQQ/VOO):20〜25%
  • 長期成長テーマETF(SOXX, ICLN など):5〜8%
  • ゴールド(GLD):5%(インフレ/不況時の両方に対するヘッジ)
  • 債券(BIL/SHY):10%(キャッシュ同等+金利ヘッジ)

まとめ:今週のポイント

「広がるラリー」は終わり、守備を固めるフェーズへと入りました。無理なリスクを取らず、次の好機をじっくりと待つ「待ち伏せ型」戦略を徹底しましょう。

本業を疎かにせず、効率的なリスク管理を行い、感情を排した冷静なトレードを心がけてください。

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