先週の米国相場は、CPI、PPIの発表によりインフレが想定通りに下落してきていることを好感し、景気拡大期に上昇するエネルギー、金属、産業機器、海運などのセクターが強く上昇しました。また、JPM、WFCなどの大手銀行の決算で想定以上に良い結果が発表されたことから、金融セクターも全般的に買われて上昇しました。
3月に上昇が続いて割高な水準に到達しているハイテク銘柄の一部が売られて調整している一方で、1〜2週間単位でセクターを循環しながら割安な状態の銘柄に買いが入っている状況であり、相場全体としては底堅い動きをしています。
今週は2023年第一四半期の決算発表が本格的に始まり、SCHW、BAC、NFLX、TSLAなどの決算発表が予定されています。注目銘柄の決算発表後に相場がどのように反応するのかを確認していきたいと思います。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境分析
S&P500の銘柄の中で200日移動平均線を超えている銘柄の割合は50%を超えた状態を維持しており、引き続き上昇トレンドとなっています。
S&P500の銘柄の中で50日移動平均線を超えている銘柄の割合も50%を超えて上昇トレンドを維持しており、2月から3月にかけて売られていた銘柄の買い集めが進んでいることが分かります。今のところ、上昇の勢いが弱まる兆候は見られません。
ナスダックの高値–安値銘柄数はマイナス圏を推移しており、新高値を更新していく銘柄を買い進めていく強気な動きはまだありません。ナスダックの高値付近にあり割高な水準になっている銘柄は価格の調整が進んでいるように見えます。200日移動平均線と50日移動平均線を超えている銘柄の割合は上昇傾向であることから、今は株価が下がって割安となっている銘柄を慎重に買う動きが進行している段階と思われます。
VIXは-4.15%の下落で2月の底値を下回ってきました。2022年初頭の底値の17に向かって下落トレンドを継続中です。まだ反転する兆候は見られません。
米国債10年物の利回りは+3.05%と反発してきました。このまま短期的な上昇に入っていくのかどうか今週の動きを観察していきたいと思います。
ナスダックは+0.19%と2週連続で小幅な値動きで横ばいの動きとなっています。上昇トレンドは維持しており、12800の水準まで下がると買われており、上昇中の一時休止のように見えます。
ダウは+1.17%の上昇で4週連続して上がる強い動きとなっています。今後の数週間で34500付近の抵抗線の水準を超えていけるかを確認していきたいと思います。
S&P500は+0.77%の上昇となりました。2022年の10月以降、安値を切り上げて上昇してきており、2月の高値の4200を超えていけるかどうかが今後の方向性を決めるポイントになりそうです。
ラッセル2000は+0.72%の上昇です。ラッセル2000は全体的に大きく下落している地方銀行の銘柄を多数含んでいることもあり、3月の銀行破綻以降は冴えない動きが続いています。
原油価格は+2.76%の上昇です。82の水準を超えて上昇トレンドに転換しようとしています。
天然ガスは+5.12%の強い上昇です。2月以降、2.0前後まで下げる度に強い買いが入っており、出来高も増加する傾向となっています。今後の数週間で買い手が優勢となって上昇していくかどうかを確認したいと思います。
金価格は-0.52%の下落となりました。2060付近で売られて大きな上ヒゲをつけて終えています。上昇トレンドは維持していますが、金利が短期的に上昇しそうな動きとなっていることから、金価格は一旦調整に入る可能性がありそうです。
銅価格は+2.27%の上昇で反発してきました。ブル・フラッグのようなパターンを形成しており、上昇が期待できるチャートとなっています。
鉄鋼価格は+2.38%の上昇で短期の下落から反発してきました。直近の高値の1250を超えていけるかを観察したいと思います。
小麦価格は+1.04%の上昇です。6週間655〜715のレンジで推移しています。
砂糖価格は+2.08%の上昇です。直近の3週間で急上昇して出来高も急騰した後に大きな上ヒゲをつけていますので、クライマックス・トップのような形になっており、短期的に下落する可能性が高いチャートとなっています。
ジャガイモの価格は2022年の中頃から急上昇しています。先週+6.8%の上昇で2019年の高値に到達しています。ジャガイモに関連する銘柄のLW、INGRに注目したいと思います。
バルチック指数は-8.01%の下落です。長期的な下落トレンドから横ばいのフェーズに入ってきているように見えます。
セクター分析
先週は、エネルギー、素材、金融、産業等の景気に敏感なセクターが力強く上昇しています。
不動産が弱い動きとなっています。
業種別に見てみると、海運、銅、ソーラー、重機が非常に強い上昇となっています。
REITが全般的に弱く特にオフィスREIT、産業向けREITが大きく下落しています。食品流通、食料品店、公益事業などのディフェンシブな業種も弱い動きとなっています。
個別銘柄の動向
時価総額が大きな銘柄では、銀行(JPM、BAC、C)、製薬(NVO)、重機(DE、CAT)、靴(NKE)、金属(FCX、SCCO、VALE)、肥料(NTR)が上昇しています。
中国株(BABA、PDD、JD)、不動産(PSA、EQIX、CCI)、保険(PGR)が下落しています。
今週の戦略
先週のCPI、PPIの発表でインフレが想定通りに収まりつつあることに反応して、金融、素材、産業の景気敏感株が買われる動きが見られます。相場全体としても割安な銘柄に買いが入っていることから、3月の銀行破綻によって悪化した相場心理は大きく改善してきているように見えます。
今週は金利が一時的に上昇を始めそうな動きとなっています。金利の動きを注視ししながら、上昇トレンドの銘柄の中で、(1) 押し目をつけた後に反発してくる銘柄、(2) 横ばいの動きからブレイクアウトする銘柄を対象にスイングトレードのポジションを追加するチャンスを探っていきたいと思います。
監視銘柄
今週の監視銘柄は以下の通りです。新しく入れ替えている銘柄はAGYS、BLDR、CROX、INSP、LULU、RMBS、REGN、TGTXです。
監視銘柄のチャートはこちら。
監視銘柄の中で今週注目している銘柄は、AXON、ONON、RMBS、XPOFです。いずれも直近の出来高の増加を伴ったブレイクアウトの後に値幅と出来高が減少してきており、次の大きな動きに備えている状態の銘柄です。
決算予定
今週はNFLX、TSLA、ISRG、IBKRの決算に注目です。
4/17
- SCHW
4/18
- NFLX
- BAC
- IBKR
- JNJ
- ISRG
- LMT
4/19
- TSLA
- STLD
- CALX
- ASML
- SYF
4/20
- TSM
- AXP
- GPC
- IRDM
- WSO
- STX
4/21
- HCA
- SLB
- ALV
- FCX