3行まとめ
- 環境判定:米国10年債利回りは4.08%(4.12%の下)、ボラティリティ指数は17台で「平時」。200日移動平均ブレッドは中立圏(約0.60)だが、短期ブレッド(8日移動平均)は下向きに転じ、“指数は強いが裾野は改善途中”が素直な評価。
- 戦術:押し目中心+追いは薄くを維持。ただし停止条件(ピボット)を明文化する。「200日移動平均ブレッド<0.50」または「ボラティリティ指数≥23」または「米国10年債利回り≥4.36%」または「ラッセル2000が2,407割れ」のいずれか到達で新規の押し目買いを即停止し、ヘッジ比率を増やす。
- 配分の目安(今週):ロット上限は60–70%(先週案より引き下げ)。兼業向けはライト版(S&P500連動上場投資信託/ナスダック連動上場投資信託/金上場投資信託/現金)を基本に、テーマは銅の「5.21ドル上抜け後」とウランの「押し目限定」を小口で。
先週の振り返り(検証 & 反省)
良かった点
- 「押し目中心・追いは薄く」が機能。ナスダック100とS&P500は高値圏まで上伸し、決め打ちの押し目帯(ナスダック100:25,023/24,150/23,746、S&P500:6,600/6,530)での分割エントリーが取りやすかった。半導体(エヌビディアなど)とプラットフォーム(アルファベットなど)が牽引。
- ウラン関連(上場投資信託 URA/カメコ)は押し目買いが奏功。55ドル台まで反発し、トレンドの強さを再確認。
反省点
- 金(ゴールド)は反落が継続。ヘッジ比率の機械維持がパフォーマンスを圧迫した局面があったため、今週は価格位置に応じた可変比率に見直す。
- 原油(WTI)は短期自律反発があったが、下落波形の戻りという前提は維持。短期リバウンドは早めに半分利確→残りはトレーリングで管理。
- 短期ブレッド(8日移動平均)の下向き転換を軽視しない。「黄色信号」としてロットを一段だけ抑える調整を明文化(下記のピボット条件に反映)。
マーケット・ダッシュボード(11/01引け・週足スナップ)
金利/ボラティリティ/ブレッド
- 米国10年債利回り:4.08%。上は4.17%→4.36%→4.50%が節目。4.12%の下は株式に追い風だが、低下の質(景気減速由来かどうか)は要監視。

- ボラティリティ指数(VIX):17.4。20未満は押し目許容、23/26は警戒・強警戒のスイッチ。

- ブレッド(S&P500):200日移動平均ベース ≈0.60で中立。短期(8日移動平均)は下向きで、「広がるラリー」には未達。

主要指数(週足)
- ナスダック100:25,826(上場来高値)。押し目は25,023 → 24,150 → 23,746。

- S&P500:6,836。6,753が分岐。押し目は6,600 → 6,530。

- ダウ平均:47,508。47,094の支持確認、上は48,000が壁。

- ラッセル2000:2,481。2,500の上値抵抗で足踏み。押し目は2,407/2,322。

センチメントとレバレッジ(重要な警戒指標)
- 信用取引残高(米国)は2025年9月に過去最高圏。公式統計はFINRAが毎月公表(9月は約1.126兆ドル)で、レバレッジの積み上がりを確認。過去の急伸局面は巻き戻しの振幅拡大と相関があるため、過信禁物。 (FINRA)
- 株式のプット・コール比率(エクイティ専用)は10月29日に0.44まで低下した日があり、楽観の過熱を示唆。短期の逆風要因になり得る。 (YCharts)
- NAAIMエクスポージャー指数(アクティブ運用者の株式エクスポージャー平均)は10月29日に100超(100.83)。プロも高リスクオンで、逆張り余地が狭い可能性。 (naaim.org)
- 小型株の“質”:年後半の上昇は無利益企業の寄与が相対的に大きいという指摘があり、裾野の「質」には留意。年初来ではS&P500の方が優勢というデータも複数。 (MarketWatch)
今週(11/03週)のシナリオ別アクション
A)ベース(採用)— 選別的リスクオン(確率:中)
条件:米国10年債利回り 3.88–4.17–4.36%、ボラティリティ指数 16–20、ブレッド ~0.20横ばい。
行動:
- ロット上限 60–70%(先週案より防御)。
- 押し目買いは“小口×分割”のみ(ナスダック100:25,023/24,150/23,746、S&P500:6,600/6,530)。
- ヘッジ 4–6%(金上場投資信託 3–4%+インバース指数 1–2%)。
- タクティカル:大型テクノロジーは決算当日の「5分足オープニングレンジブレイク(Opening Range Breakout)」のみ。ユーティリティ・不動産投資信託はクッション枠。
B)リスクオン拡大(確率:低〜中)
条件:米国10年債利回り <4.12%、ボラティリティ指数 <17、ブレッド >0.30、かつS&P500が6,753上で週足確定。
行動:
- ロットは上限70%のまま据え置き(引き上げなし)。
- 銅は5.21ドル上抜け後に順張り、ウランは51–52ドルの押し限定で追加。
C)リスクオフ(確率:中)— ピボット(押し目買い停止条件)
以下のいずれかで新規の押し目買いを即停止し、ロット40–50%へ縮小+指数ヘッジ1–2%をオン:
- ブレッド(200日移動平均)<0.50 かつ 短期ブレッドス下向き継続。
- ボラティリティ指数≥23。
- 米国10年債利回り≥4.36%。
- ラッセル2000が2,407を週足で割り込む。
(注)信用取引残高の過去最高圏、プット・コール比率の低水準、NAAIMの高エクスポージャーは「巻き戻し増幅リスク」として、リスクオフ時の縮小幅(−20〜30%)に上乗せする根拠とする。 (FINRA)
指数別トレード・プラン(週足/忙しい方向け)
- ナスダック100:買い 25,023 → 24,150 → 23,746。追随 高値更新は小ロットのみ。撤退 23,740割れ。
- S&P500:買い 6,600 → 6,530。追加 6,753ブレイク定着。撤退 6,526割れ。
- ダウ平均:買い 47,094支持で反発確認。目標 47,800–48,200。撤退 46,000割れ。
- ラッセル2000:2,500の週足上抜け確定までは“見送り”が基本。2,407割れは全面撤退(小型の質への警戒)。 (MarketWatch)
コモディティ/素材の戦術
- 金(ゴールド先物):4,086–4,000の押しのみ拾う。4,213〜4,405で分割利確。役割はヘッジで、追い買いは行わない。
- 銅(先物):4.83維持→5.21ドル上で順張り強化。個別はフリーポート・マクモランや銅関連上場投資信託(COPX)を中核に。
- ウラン(URA/カメコ):51–52/46–47の押しだけを拾う。トレンドは強いが高値掴み回避を徹底。
- 原油(WTI):61→64–65の戻りは半分利確、65.3/70.7が壁。59.8割れで撤退。
- 天然ガス:急騰直後の新規は非推奨。
セクター配分(11/03週)
| ブロック | 目安比率 | 中身/メモ |
|---|---|---|
| コア | 50–55% | S&P500連動上場投資信託・ナスダック連動上場投資信託(指数が20〜21週の指数平滑移動平均の上にある間は維持) |
| ハイテク・クオリティ | 14–16% | マイクロソフト/アルファベット/エヌビディア/アップル(押し目限定、決算日は短期運用) |
| 決算トリガー枠 | 3–4% | 今週は アドバンスト・マイクロ・デバイセズ/クアルコム/アーム/ユニティ/パランティア など。5分足オープニングレンジブレイクで運用 |
| 素材(銅・アルミ) | 8–10% | 銅関連上場投資信託/フリーポート・マクモラン(5.21上抜けで厚み) |
| ウラン | 6–8% | URA/カメコ(押し目限定) |
| ユーティリティ/低ボラティリティ | 6–8% | XLU・SPLV(ボラティリティ上昇時のクッション) |
| ディフェンシブ | 4–6% | コカ・コーラ/プロクター・アンド・ギャンブル/生活必需品セクター上場投資信託(需給悪化時の退避先) |
| ヘッジ | 4–6% | 金上場投資信託・金鉱株上場投資信託+インバース指数上場投資信託(スイッチ到達で増量) |
兼業向けの“ライト版(簡素運用)”:S&P500連動上場投資信託 35%/ナスダック連動上場投資信託 25%/金上場投資信託 5%/現金 35%。ボラティリティ指数23以上でインバース指数上場投資信託 1〜2%をオン。週2回の確認だけで回せる省力構成。
今週の主なイベント&戦い方
主な決算(予定)
- 月曜日:バークシャー・ハサウェイ、パランティア ほか
- 火曜日:ウーバー、ショッピファイ、スポティファイ、ファイザー、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、アリスタ、スーパー・マイクロ・コンピューター ほか
- 水曜日:ノボ ノルディスク、ヒューマナ、マクドナルド、ユニティ、デジタルオーシャン、クアルコム、アーム ほか
- 木曜日:BCE、コノコフィリップス、アストラゼネカ、ビストラ、データドッグ、オスカー、ドラフトキングス、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー、エアビーアンドビー、ザ・トレード・デスク ほか
- 金曜日:コンステレーション・エナジー、ウェンディーズ、フルアー ほか
戦い方(共通ルール)
- 決算当日は「5分足オープニングレンジブレイク(Opening Range Breakout)」で短期勝負。+3〜5パーセントで半分利確、出来高加重平均価格割れで撤退。
- 良いガイダンス × 良い需給(半導体装置・資本財)はスイングへ格上げ。需給悪化は当日限り。
- 翌日(決算後2日目)は「前日高値越え/インサイド・デイ上放れ」を再エントリー要件として明文化。
兼業トレーダーの“2回チェック”運用(固定ルーチン)
- 寄付き前(米国西海岸 06:30/日本 22:30):米国10年債利回り(4.12%/4.36%)・ボラティリティ指数(20/23)・ブレッド(0.50)を確認し、シナリオ判定→ロットとヘッジを機械的に調整。
- 引け前(米国西海岸 12:45/日本 04:45):逆指値・トレーリングの更新、翌日の指値・逆指値の事前セット。
リスク管理ルール(再掲・厳守)
- 一銘柄リスク=口座の0.5パーセント上限。
- ボラティリティ指数≥23 または 米国10年債利回り≥4.36→4.50パーセント でロット半減+ヘッジ導入。
- ブレッド <0.12 は逆張りのみ(ロット30–40パーセント)、>0.30 で循環拡大へ。
- レバレッジ上場投資信託の使用は資金の30パーセント以内。
- 重要イベント前(連邦公開市場委員会・雇用統計・消費者物価指数・メガ決算)はポジション縮小。
- すべてのエントリーに逆指値(OCO・トレーリング)を必ず設定。
まとめ
- 指数は強いが裾野はまだ薄い。短期ブレッドの下向きは黄色信号。押し目中心+追いは薄くの方針を維持しつつ、四つのピボット条件のどれかに触れたら即停止→ヘッジ増量。
- ロット上限は60–70%に引き下げ。兼業向けはライト版(S&P500連動上場投資信託・ナスダック連動上場投資信託・金上場投資信託・現金)を軸にして、余計なシグナルで過剰売買しない。
- 銅は5.21ドルの上抜け後だけ順張り、ウランは押し目限定、金はヘッジ、原油は戻り売り前提。
- 「朝と引けの2回チェック」で仕事とトレードの両立を確実に。
注:本記事は情報提供のみを目的としています。投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


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