【米国株】2025年9月8日週のマーケット振り返りと今週の戦略

投資戦略

今週のテーマ:金利低下でセクターローテーションが加速、金は天井知らずの上昇継続


今週のポイント(一目でわかる要点)

全体的な投資スタンス:やや強気(攻め5:守り5)

主要な市場動向

  • 金利環境:10年債利回りが4.17%を下抜け、現在4.0%台前半で推移
  • リスク指標:VIX指数は15前後の低位で安定、株式市場にとって追い風環境
  • 資金の流れ:半導体一辺倒から、通信サービス・ヘルスケア・素材セクターに分散

注目ポイント

  • 小型株(IWM):2,396ドルが明確な抵抗線、週足終値での突破を待つべき
  • コモディティ
    • 金(GC)が週足チャートで上放れ、押し目は積極的に狙う
    • WTI原油は軟調(62ドル台)、エネルギー株は戻り売り優勢
    • 銅は戻りが鈍く、ウラン(URA)は42.6ドル前後の天井圏で推移

1. マクロ経済環境とリスク指標

金利動向

米10年債利回りは先週の4.36%から4.17%の重要な抵抗帯を明確に下抜けし、現在4.08%近辺で推移しています。この金利低下は、グロース株・住宅関連・公益・REITセクターにとって明確な追い風となります。

次のサポートラインは3.88%帯となり、さらなる低下余地も残されています。

ボラティリティ環境

VIX指数は14-16の低ボラティリティレンジで安定推移。17.5から20を超えるまでは、リスクオンの環境が継続すると判断できます。

市場の幅広さ

  • 中長期のブレッドス:200日移動平均線上の銘柄比率は持ち直し継続
  • 上昇トレンド銘柄比率:30%台前半(強相場の目安35-40%にはまだ届かず)

環境判断:金利低下・低ボラティリティ・適度な市場の広がりにより、「さらなる上昇余地はあるが、急激な上昇は期待しすぎない」環境と評価


2. 主要指数の動向

S&P500(US500)

高値更新を狙う展開が継続。下落時の重要サポートは6,188ドルと5,706ドル帯。

NASDAQ100(US100)

高値圏での保ち合いが続く。押し目買いを優先し、ブレイクアウト時は出来高の確認が必要。

ダウ平均(US30)

高値圏で横ばい推移。景気循環型セクターの追随は鈍い状況。

ラッセル2000(US2000)

2,396ドルが明確な抵抗線。週足の終値で上抜けした後、翌週の押し目を狙うのがセオリー。


3. コモディティ・セクター分析

金(GC)

週足チャートで長期間の保ち合い上限(3,538ドル前後)を一気に突破。出来高も伴った上昇で信頼性が高い。

投資戦略

  • 3,540ドル±での押し目買い
  • 高値更新の勢いに追随
  • 関連銘柄:GDX、GOLD、NEM、AEMなど

銅(HG)

4.68ドル(50週移動平均線・水平抵抗)を回復できない状況。FCXやSCCOなどの銅関連株は、短期的な逆張りよりも戻り売りスイングが効きやすい地合い。

ウラン(URA)

42.65ドル近辺が天井ライン。週足終値での突破後の押し目が本命の買い場。

原油・エネルギー

  • WTI原油:62ドル台で軟調、65-70ドルが上値抵抗帯
  • エネルギー株:XLE、XOM、CVXは戻り売り寄りのスタンス

4. セクター動向と資金の流れ

1週間の成績

  • 上位:通信サービスがトップ、素材・ヘルスケア・不動産がプラス
  • 下位:エネルギーセクターが最下位

1ヶ月の成績

  • 通信サービス:+8.0%
  • ヘルスケア:+7.5%
  • 素材:+7.4%
  • 一般消費財:+5.9%
  • 公益:-2.3%(冴えない動き)

注目の動き

GOOG(アルファベット)の二桁上昇でインターネット系が牽引。AVGOは強い一方、NVDAやAMDは調整入り。

重要な変化:「半導体一極集中」から「ネット・医薬・素材」へとセクターローテーションが明確化。

推奨セクター配分

  • オーバーウェイト:通信サービス、ヘルスケア、素材、住宅、REIT
  • ニュートラル:テクノロジー ※半導体は銘柄選別重要
  • アンダーウェイト:エネルギー、公益

5. 今週の主要決算スケジュール

  • 火曜日(引け後):ORCL(オラクル)、GME(ゲームストップ)
  • 水曜日(寄り前):CHWY(チューイー)
  • 木曜日(引け後):ADBE(アドビ)

決算戦略:低ボラティリティ環境では「決算後ギャップアップ+5分レンジブレイク」戦略が有効。ただし、環境フィルターの厳守が重要。


6. 実践的なトレード戦略

インデックス・ETF戦略

基本方針:SPYやQQQの押し目買いを中心に

エントリー条件

  • 終値で5-10日移動平均線上
  • 前日高値超え

リスク管理

  • VIX18超えまたは先週安値割れで20-30%ポジション縮小

個別注目ETF

  • IWM:2,396ドルを週足終値で突破後、翌週の押し目で新規買い
  • GLD(金鉱株):週足陽線の翌週、前週高値超え+出来高増で打診

個別株スイング戦略

環境フィルター(すべて満たした日のみ新規建て):

  1. VIX ≤ 17
  2. 上昇トレンド銘柄比率前日比で上昇
  3. 銘柄が20日・50日移動平均線の上かつ出来高を伴うギャップアップ

ヘッジ戦略

段階的ヘッジ

  • SPXが21日移動平均線を2日連続で下回る、またはVIX18超えで10-15%のヘッジを導入
  • VIX16未満復帰またはSPXの21日移動平均線回復で解除

7. 重要な監視レベル

金利・ボラティリティ

  • 米10年債利回り:4.17%維持=追い風継続、4.36%超えで警戒
  • VIX指数:18超えで総エクスポージャー30-50%削減

指数・個別セクター

  • ラッセル2000:2,396ドルの週足終値ブレイクで中小型株拡張
  • 金(GC):3,540ドル近辺の押し目反発確認で再エントリー
  • WTI原油:65-70ドルで戻り売り、61ドル割れで下方加速警戒

8. 先週の戦略検証と今週の調整

先週の計画と結果

計画:ナローレンジ相場を想定し守備を固め、新規は厳選・小口、IWMはブレイク待ち

結果:金利低下進行により、インターネット・ヘルスケア・素材に資金回帰。半導体は休憩入り。

今週の調整点

  1. IWMの週足終値ブレイク条件を厳守(ダマシ回避)
  2. エネルギーアンダーウェイト継続、金鉱・REIT・住宅の比重引き上げ
  3. 決算モメンタムは環境フィルター揃った日のみ執行

9. 主要ウォッチリスト

セクター別注目銘柄

通信サービス

  • GOOGL、META(押し目狙い)

テクノロジー・半導体

  • AVGO(強い)
  • NVDA、AMD(戻り待ち・短期は弱含み)

ヘルスケア

  • LLY、UNH、VRTX(押し目・トレンド継続)

素材

  • LIN、APD

コモディティ関連

  • 金・金鉱:GLD、AEM、NEM

不動産関連

  • 住宅関連:HD、LOW、DHI、LEN
  • REIT:O、EQR(低金利追い風)

10. 兼業投資家向け日次ルーチン

寄り付き前(15分)

以下3点をチェック:

  1. 10年債利回り(4.17%上下)
  2. VIX指数(16-18レンジ)
  3. 上昇トレンド銘柄比率(前日比の増減)

前場

5分足でのオープニングレンジブレイク確定→自動指値注文

引け30分前

買い増し判定・ヘッジのON/OFF判断を機械的に処理

引け後(15分)

取引日誌の更新:

  • 環境3点チェック結果
  • 取引結果
  • ルール逸脱の有無

週末に勝率・リスクリワード比・ドローダウンを集計


まとめ

今週は「金利低下×低ボラティリティ」という株式投資に好適な環境の中で、投資資金の主役が半導体からネット・医薬・素材セクターへと広がる重要な局面です。

基本戦略

  • 指数:押し目買いを基本とする
  • 個別株:条件が揃った日のみ淡々と執行
  • 小型株:IWMの週足ブレイクを確認してから本格参入

重要な判断基準

この2つのトリガーだけは必ず覚えておいてください:

  1. IWMの週足ブレイクが出れば一段と強気スタンスへ
  2. VIX18超えまたは10年債4.36%超えでは躊躇なく守りを厚く
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