今週のテーマ:金利低下でセクターローテーションが加速、金は天井知らずの上昇継続
今週のポイント(一目でわかる要点)
全体的な投資スタンス:やや強気(攻め5:守り5)
主要な市場動向
- 金利環境:10年債利回りが4.17%を下抜け、現在4.0%台前半で推移
- リスク指標:VIX指数は15前後の低位で安定、株式市場にとって追い風環境
- 資金の流れ:半導体一辺倒から、通信サービス・ヘルスケア・素材セクターに分散
注目ポイント
- 小型株(IWM):2,396ドルが明確な抵抗線、週足終値での突破を待つべき
- コモディティ:
- 金(GC)が週足チャートで上放れ、押し目は積極的に狙う
- WTI原油は軟調(62ドル台)、エネルギー株は戻り売り優勢
- 銅は戻りが鈍く、ウラン(URA)は42.6ドル前後の天井圏で推移
1. マクロ経済環境とリスク指標
金利動向
米10年債利回りは先週の4.36%から4.17%の重要な抵抗帯を明確に下抜けし、現在4.08%近辺で推移しています。この金利低下は、グロース株・住宅関連・公益・REITセクターにとって明確な追い風となります。
次のサポートラインは3.88%帯となり、さらなる低下余地も残されています。
ボラティリティ環境
VIX指数は14-16の低ボラティリティレンジで安定推移。17.5から20を超えるまでは、リスクオンの環境が継続すると判断できます。
市場の幅広さ
- 中長期のブレッドス:200日移動平均線上の銘柄比率は持ち直し継続

- 上昇トレンド銘柄比率:30%台前半(強相場の目安35-40%にはまだ届かず)

環境判断:金利低下・低ボラティリティ・適度な市場の広がりにより、「さらなる上昇余地はあるが、急激な上昇は期待しすぎない」環境と評価
2. 主要指数の動向
S&P500(US500)
高値更新を狙う展開が継続。下落時の重要サポートは6,188ドルと5,706ドル帯。
NASDAQ100(US100)
高値圏での保ち合いが続く。押し目買いを優先し、ブレイクアウト時は出来高の確認が必要。
ダウ平均(US30)
高値圏で横ばい推移。景気循環型セクターの追随は鈍い状況。
ラッセル2000(US2000)
2,396ドルが明確な抵抗線。週足の終値で上抜けした後、翌週の押し目を狙うのがセオリー。
3. コモディティ・セクター分析
金(GC)
週足チャートで長期間の保ち合い上限(3,538ドル前後)を一気に突破。出来高も伴った上昇で信頼性が高い。
投資戦略:
- 3,540ドル±での押し目買い
- 高値更新の勢いに追随
- 関連銘柄:GDX、GOLD、NEM、AEMなど
銅(HG)
4.68ドル(50週移動平均線・水平抵抗)を回復できない状況。FCXやSCCOなどの銅関連株は、短期的な逆張りよりも戻り売りスイングが効きやすい地合い。
ウラン(URA)
42.65ドル近辺が天井ライン。週足終値での突破後の押し目が本命の買い場。
原油・エネルギー
- WTI原油:62ドル台で軟調、65-70ドルが上値抵抗帯
- エネルギー株:XLE、XOM、CVXは戻り売り寄りのスタンス
4. セクター動向と資金の流れ
1週間の成績
- 上位:通信サービスがトップ、素材・ヘルスケア・不動産がプラス
- 下位:エネルギーセクターが最下位

1ヶ月の成績
- 通信サービス:+8.0%
- ヘルスケア:+7.5%
- 素材:+7.4%
- 一般消費財:+5.9%
- 公益:-2.3%(冴えない動き)
注目の動き
GOOG(アルファベット)の二桁上昇でインターネット系が牽引。AVGOは強い一方、NVDAやAMDは調整入り。
重要な変化:「半導体一極集中」から「ネット・医薬・素材」へとセクターローテーションが明確化。
推奨セクター配分
- オーバーウェイト:通信サービス、ヘルスケア、素材、住宅、REIT
- ニュートラル:テクノロジー ※半導体は銘柄選別重要
- アンダーウェイト:エネルギー、公益
5. 今週の主要決算スケジュール
- 火曜日(引け後):ORCL(オラクル)、GME(ゲームストップ)
- 水曜日(寄り前):CHWY(チューイー)
- 木曜日(引け後):ADBE(アドビ)

決算戦略:低ボラティリティ環境では「決算後ギャップアップ+5分レンジブレイク」戦略が有効。ただし、環境フィルターの厳守が重要。
6. 実践的なトレード戦略
インデックス・ETF戦略
基本方針:SPYやQQQの押し目買いを中心に
エントリー条件:
- 終値で5-10日移動平均線上
- 前日高値超え
リスク管理:
- VIX18超えまたは先週安値割れで20-30%ポジション縮小
個別注目ETF:
- IWM:2,396ドルを週足終値で突破後、翌週の押し目で新規買い
- GLD(金鉱株):週足陽線の翌週、前週高値超え+出来高増で打診
個別株スイング戦略
環境フィルター(すべて満たした日のみ新規建て):
- VIX ≤ 17
- 上昇トレンド銘柄比率が前日比で上昇
- 銘柄が20日・50日移動平均線の上かつ出来高を伴うギャップアップ
ヘッジ戦略
段階的ヘッジ:
- SPXが21日移動平均線を2日連続で下回る、またはVIX18超えで10-15%のヘッジを導入
- VIX16未満復帰またはSPXの21日移動平均線回復で解除
7. 重要な監視レベル
金利・ボラティリティ
- 米10年債利回り:4.17%維持=追い風継続、4.36%超えで警戒
- VIX指数:18超えで総エクスポージャー30-50%削減
指数・個別セクター
- ラッセル2000:2,396ドルの週足終値ブレイクで中小型株拡張
- 金(GC):3,540ドル近辺の押し目反発確認で再エントリー
- WTI原油:65-70ドルで戻り売り、61ドル割れで下方加速警戒
8. 先週の戦略検証と今週の調整
先週の計画と結果
計画:ナローレンジ相場を想定し守備を固め、新規は厳選・小口、IWMはブレイク待ち
結果:金利低下進行により、インターネット・ヘルスケア・素材に資金回帰。半導体は休憩入り。
今週の調整点
- IWMの週足終値ブレイク条件を厳守(ダマシ回避)
- エネルギーアンダーウェイト継続、金鉱・REIT・住宅の比重引き上げ
- 決算モメンタムは環境フィルター揃った日のみ執行
9. 主要ウォッチリスト
セクター別注目銘柄
通信サービス:
- GOOGL、META(押し目狙い)
テクノロジー・半導体:
- AVGO(強い)
- NVDA、AMD(戻り待ち・短期は弱含み)
ヘルスケア:
- LLY、UNH、VRTX(押し目・トレンド継続)
素材:
- LIN、APD
コモディティ関連:
- 金・金鉱:GLD、AEM、NEM
不動産関連:
- 住宅関連:HD、LOW、DHI、LEN
- REIT:O、EQR(低金利追い風)
10. 兼業投資家向け日次ルーチン
寄り付き前(15分)
以下3点をチェック:
- 10年債利回り(4.17%上下)
- VIX指数(16-18レンジ)
- 上昇トレンド銘柄比率(前日比の増減)
前場
5分足でのオープニングレンジブレイク確定→自動指値注文
引け30分前
買い増し判定・ヘッジのON/OFF判断を機械的に処理
引け後(15分)
取引日誌の更新:
- 環境3点チェック結果
- 取引結果
- ルール逸脱の有無
週末に勝率・リスクリワード比・ドローダウンを集計
まとめ
今週は「金利低下×低ボラティリティ」という株式投資に好適な環境の中で、投資資金の主役が半導体からネット・医薬・素材セクターへと広がる重要な局面です。
基本戦略
- 指数:押し目買いを基本とする
- 個別株:条件が揃った日のみ淡々と執行
- 小型株:IWMの週足ブレイクを確認してから本格参入
重要な判断基準
この2つのトリガーだけは必ず覚えておいてください:

