先週の米国相場は、金利が久しぶりに5%を超える上昇となり、株価指数はハイテク銘柄と中小型銘柄を中心に下落が進みました。ナスダックが2週間連続で下落するのは2023年の10月以来です。他の株価指数についても弱気な兆候が見られます。
ただし、今のところすべてのセクターが一律に売られているわけではなく、上昇するセクターと下落するセクターが入れ替わりながらローテーションしているような印象です。先週は銅、石油関連の銘柄が大きく上昇した一方で、石炭、REIT、半導体やソフトウェア関連の成長株は大きく下落しています。
株式相場は2023年11月から始まった4ヶ月連続の強い上昇が一旦停止し、調整期間に入ろうとしています。やや売り手が優勢となっている状況で、何かのきっかけで大きく下落するリスクがあります。スイングトレードのポジションは小さめにして慎重にトレードをしていくのが良いでしょう。
今週は3/20にFOMCがあります。パウエル議長の会見後に金利と株価指数がどのように反応するのかを確認していきたいと思います。
今週の注目の決算はMUです。半導体銘柄の値動きに大きな影響を与えることが多いので、決算とガイダンスの内容に注目です。
それではチャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
米国債10年物の利回りは+5.66%と大きく上昇しました。しっかりと安値を切り上げて上昇トレンドの継続が確定しています。
VIXは-2.10%下落しました。2023年12月から始まった緩やかな上昇トレンドを続けています。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートです。現時点の3月の騰落率は-1.17%となっています。上ヒゲをつけて下落中です。
ナスダックの週足チャートです。先週は-1.22%の下落でした。2週間連続で下落しています。2週連続の下落は2023年10月以来です。
ナスダックの高値–安値銘柄数はマイナス圏まで下落しました。この指標がマイナス圏にある時は注意して相場の動きを観察するのが良いです。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。現時点の3月の騰落率は-0.67%となっています。
ダウの週足チャートです。先週は-0.10%で横ばいとなっています。比較的大きな上ヒゲをつけており、やや弱気なチャートに見えます。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。まだかろうじて月間の騰落率はプラスを維持しています。
S&P500の週足チャートです。先週は-0.20%で横ばいでした。2週連続で5196付近で売られて押し戻されています。上昇の勢いは弱くなっているように見えます。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。現時点で3月の騰落率は-0.63%の下落となっています。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は-2.20%の下落でした。5移動平均線で買いが入り下ヒゲをつけて終えています。2024年に入ってからある程度下落すると買い手が現れて戻す動きが見られます。
コモディティ先物の分析
原油は+4.10%の上昇でした。週単位で上昇と下落を繰り返しながらも2023年12月から始まった上昇トレンドを継続しています。
天然ガスは-8.31%の下落でした。ダブルボトムのような形を作りかけているように見えます。
金は-1.10%の下落でした。3週連続の上昇で高値を更新した後に一旦調整期間に入ろうとしています。金利が上昇を開始していますので、再度下落に転じるまでは横ばい、または下落する可能性があります。
銅の月足チャートです。3月の上げ幅は+7.21%と強い上昇で過去10ヶ月間のレンジをブレイクアウトしています。次のターゲットは4.20付近の抵抗線です。
セクター分析
先週はエネルギー、通信サービス、素材が上昇し、不動産、ヘルスケア、情報技術、公益事業が下落しました。
業種別に見ると銅が非常に強く上昇しています。その他には、石油ガス精製、貴金属、銀、農産物が強く上昇する一方で、石炭、ソーラー、REIT、半導体装置が下落しています。
時価総額で見ると先週は大型株が強く、小型株が弱い動きとなっています。
個別銘柄の動向
先週強い上昇が見られたのは、ソフトウェア(ORCL )、インターネットコンテンツ(GOOG)、クレジットサービス(PYPL)、地方銀行(NU)、ネット小売(PDD)、銅(SCCO、FCX )、石油ガス精製(MPC、PSX、COP )です。半導体(TSM、AVGO、AMD、ASML、LRCX)、中規模のソフトウェア(ADBE、PLTR、NET)、自動車(TSLA)、REIT(AMT、EQIX、PSA)が大きく下落しています。
今週の戦略
株価指数の動きを見ると2023年11月から4ヶ月間続いた強い上昇は3月になって止まり、横ばいからやや下落する傾向となっています。今のところは、すべてのセクターが一斉に売られるような動きにはなっておらず、上昇と下落するセクターが入れ替わりながらローテーションしています。売り手が優勢となりながらも買いのチャンスを伺っている勢力がセクターを選びながらゲリラ戦のように出現している印象です。
先週は金利が上昇してエネルギーと銅が非常に強い動きとなった一方で、金利の上昇に弱いハイテク成長株は軒並み弱い動きでした。
今週はFOMCが開催されますので、議長会見後に金利がどちらに動くかをしっかり確認していきたいと思います。会見後の金利の動きによって、直近の2週間に下落してきた銘柄が反発するか、もしくはさらに下落が加速するか、どちらのシナリオもあり得ますが、中小型のハイテク成長株は短期的にはやや売られ過ぎの状態に近づいていますので、何かのきっかけで割安と見た買い手が現れて反発を開始する可能性は高くなりつつあると思います。
今週は先週の調整の中で大きく下落せずに持ち堪えている銘柄を中心に銘柄を監視しながらエントリーのチャンスを探していきたいと思います。3月は売り手が若干優勢になりつつある状況です。ポジションサイズは小さめにして様子を見ながらトレードしていきたいと思います。
スイングトレードの監視銘柄
先週の決算発表後に強い動きを見せたGCTを監視対象に加えています。また、今週に決算を予定しているLULUも追加しています。それ以外は大きな入れ替えはありません。今週はERJ、STNE、LULUの決算発表後の反応を確認して、上昇する可能性が高そうな場合はエントリーしていきたいと思います。また、先週の相場で大きな下落をせずに持ち堪えていたFRPT、一旦下落したものの反発してきたSHAKにも注目しています。
監視銘柄のチャートはこちら。
今週の注目銘柄はFRPT、LULU、SHAK、STNEの4つです。黄色のラインを上抜けていく強い上昇が見られたらエントリーを検討したいと思います。
今週の決算予定
今週はERJ、STNE、PDD、MU、LULUの決算に注目です。特にMUの決算は半導体銘柄の動向に大きく影響する傾向がありますので、決算とガイダンスをしっかり確認していきたいと思います。
3/18
- SAIC
- ERJ
- STNE
- ALPN
- DLO
3/19
- CAL
- TME
- CNM
- HQY
3/20
- OLLI
- SIG
- PDD
- KBH
- MU
- GES
- SCS
- FIVE
- WOR
3/21
- CMC
- ASO
- ACN
- LULU
- WS