先週の米国相場は長期金利が低下し、金、銀などの貴金属の価格が上昇しています。金利が低下したものの株価指数も下落しています。
セクター毎の動きを確認すると先週は公益事業と素材がアウトパフォームしています。公益事業が良いパフォーマンスとなるのは昨年の9月以来で、当時は半年間続いた強い上昇から調整局面に入ったタイミングでした。
また、VIXが週間で12%を超える上昇となっており、4ヶ月ほどVIXの数値が低い状態が続いてきましたが、短期的に上昇を始める可能性が高くなりつつあります。
株価指数を見渡すと先週に引き続き小型株のパフォーマンスが相対的に良くなってきています。当面は小型株を中心にトレードのチャンスを探して行きたいと思います。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
米国債10年物の利回りは-2.51%下落し、年初から続いていた短期的な上昇トレンドを下にブレイクしています。
VIXは+12.27%上昇しました。週間12%を超える上昇は2023年の9月以来です。過去の上昇相場中のVIXの動きを確認すると、20から25週間程度の周期でVIXが上昇する傾向がありました。今はVIXが16よりも低い状態が18週間続いており、少しずつVIXが上昇するリスクが高まっています。
ナスダックの分析
ナスダック月足チャートです。3月の現時点の騰落率は+0.05%で横ばいとなっています。
ナスダックの週足チャートです、先週は-1.34%の下落でした。週足の上昇トレンドは維持しています。
ナスダックの銘柄の高値–安値銘柄数はやや下落したもののプラス圏内にとどまっています。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。3月の現時点の騰落率は-0.58%です。
ダウの週足チャートです。先週は-0.74%の下落でした。前週の安値を割り込んでおり、トレンドが変わる最初の兆候が見られます。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。3月の現時点の騰落率は+0.73%です。
S&P500の週足チャートです。先週は-0.04%と小幅な下落でした。昨年の11月から始まった上昇中の初めて十字線となっており、方向性に迷いが見られます。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。3月の騰落率は+1.69%となっており、株価指数の中では最も強い動きです。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は+0.81%の上昇でした。
コモディティ先物の分析
原油は-2.47%の下落でした。昨年の12月から始まった緩やかな上昇トレンドを継続しています。
天然ガスは-1.63%の小幅な下落でした。まだトレンドは確定していない状態です。
金は+4.28%と大きく上昇しました。昨年の12月の高値をブレイクして新高値をつけています。金利が下落トレンドを開始しようとしており、引き続き金は上昇する可能性が高そうです。
銅は+0.78%の小幅な上昇でした。3.5〜3.9のレンジで推移する動きは変わらずです。先週、一旦3.9付近まで上昇しましたが、売りが優勢となり上ヒゲをつけています。
セクター分析
先週は公益事業、素材、不動産が上昇し、一般消費財、通信サービス、情報技術が下落しました。公益事業がアウトパフォームするのは2023年9月18日の週以来です。昨年の9月は公益事業がアウトパフォームした後に1ヶ月程度に渡って株価指数が比較的大きめな調整をする動きとなっていました。
業種別のパフォーマンスでは、銀、食料品店、金が上昇し、自動車メーカー、教育、娯楽車両、家電が下落しています。
直近1ヶ月の時価総額毎のパフォーマンスを確認すると、小型株がアウトパフォームする傾向となっています。
個別銘柄の動向
先週は半導体(NVDA、TSM、QCOM)、銀行(WFC、BAC、MUFG、UBS、SMFG)、公益事業(NEE、D、DUK)、金(NEM、HMY、GOLD)、銅(FCX、SCCO)が上昇する一方で、AAPL、TSLA、MSFTなどの大型ハイテク株や中小型のソフトウェア、バイオテクノロジーが下落しました。
今週の戦略
3月に入ってから比較的割安で放置されてきた公益事業株、素材株株に資金の移動が進み、先週の後半から半導体を中心にハイテク銘柄に調整を開始する動きが見られます。また、直近の数週間は決算発表でギャップアップしたものの上昇が続かずに反落してしまう銘柄の割合が増えており、買い手が減少して売り手が優勢になりつつあります。
今週は先週の後半に流れを受けて半導体を中心としたハイテク銘柄に調整の動きが続く可能性が高そうです。今後の数週間でこの調整局面で大きく崩れずに持ち堪える銘柄を見つけて次の上昇に備えて銘柄の選定を進めていきます。
3月のこれまでのトレードの結果を振り返ると決算を起点としたトレードの勝率がいつもより低下していますので、ポジションサイズを減らして慎重にトレードしていきたいと思います。
スイングトレード監視銘柄
監視銘柄は、昨年の11月以降に大きく上昇した銘柄を外し、直近の数週間で上昇を開始した、もしくは下落から上昇に転換する可能性の高そうな中小型株に入れ替えています。また、今週決算発表を予定しているS、PATH、ERJを監視対象に加えています。
監視銘柄のチャートはこちら。
今週特に注目している銘柄はAFRM、GPS、NET、S、PATHです。急上昇後に一旦調整して横ばいの期間が続いており、次の動きの準備中の銘柄です。
今週の決算予定
今週はS、PATH、WSM、LEN、ADBE、ULTAの決算に注目したいと思います。
3/11
- FTRE
- CASY
3/12
- KSS
- CYRX
3/13
- WSM
- CL
- ARCO
- DLTR
- LEN
- S
- PATH
- LMB
3/14
- BUR
- GIII
- DKS
- ADBE
- ULTA
- PHR
- JBL
- ERJ
- GRPN