先週の米国相場は、ハイテク株、不動産株を中心に株価が下落し、株式指数も全体的に低下しました。VIXは引き続き下落しています。
5月以降に非常に強い上昇を続けてきた半導体、ソフトウェアなどのハイテク銘柄が一旦調整局面となっている一方で、ヘルスケア、ディフェンシブの銘柄の一部が上昇を開始しています。
それではチャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
投資家センチメント
前の週と比較してやや弱気な投資家の割合が上昇していますが、強気な勢力は40%を超えており、6ヶ月後にも株価は上昇するだろうと考えている投資家の方が多い状態です。
相場環境
米国債10年物は-0.85%とやや下落して終えています。3週連続で小幅な値動きが続いています。今後の数週間でどちらの方向にブレイクしていくかをしっかり確認していきたいと思います。
VIXは下落トレンドを継続しており、13.43で終えています。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートです。15200の抵抗線で跳ね返されて上ヒゲをつけて終えています。
ナスダックの週足チャートです。先週は-1.51%の下落で5月から続いてきた力強い上昇は一旦止まっています。前の週の陽線の範囲内で推移しており、小幅な調整となっています。
ナスダックの銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合は上昇トレンドが終了して下落を始めようとしています。
ナスダックの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は明確に下落を開始しており、今後の数週間は下落もしくは横ばいとなる銘柄の数が多くなる確率が高いです。
ナスダックの高値–安値銘柄数は-25となりマイナス圏に入っています。内訳を確認すると、まだ安値を更新する銘柄が大きく増えているわけではなく、高値を更新する銘柄が大きく減少した結果によるものであることが分かります。
ダウの分析
ダウの月足のチャートです。2022年11月から始まったレンジの上限の34700付近で下落して上ヒゲをつけています。
ダウの週足チャートです。先週は-1.73%の下落で終えています。5月後半の安値を切り下げているわけではなく緩やかな上昇トレンドを維持した状態です。
ダウの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は50%付近を推移しており、かろうじて上昇トレンドを維持しています。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。4400を超えたところで上昇が止まり、下落に転じています。
S&P500の週足チャートです。先週は-1.52%の下落です。ナスダックと同様に前の週の陽線の範囲内で推移しており、小幅な調整となっています。
S&P500の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は上昇が止まり、下落に転じています。
S&P500の中のハイテク銘柄だけで50日移動平均線を超えている銘柄の割合を確認すると、買われ過ぎの水準から下落を開始したところです。このチャートが上向きになるまでの間はハイテク銘柄の多くは下落もしくは横ばいの動きとなる可能性が高いです。この調整局面で最も良く持ち堪える銘柄を選別し、次の上昇が始まるタイミングで大きく上昇していくのに備えたいと思います。
ハイテク銘柄の下落が始まる中、ヘルスケア、ディフェンシブ銘柄は50日移動平均線を超えている銘柄が増加しつつあり、ハイテク銘柄とは逆の動きとなっています。
以下はS&P500のヘルスケアセクターの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合です。6月に入ってから上昇を始めており、50%を超えてきています。
こちらはS&P500のディフェンシブセクターの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合です。やや売られ過ぎの水準から上昇を始めようとしている段階です。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。1930の水準で跳ね返されて大きな上ヒゲをつけています。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は-3.00%と比較的大きめな下落となりました。前の週の陽線を大きく割り込んで下落しており、株式指数の中で最も弱い動きとなっています。
ラッセル2000の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は、ナスダックやS&P500と同様に短期の上昇トレンドを終えて下落を開始しています。
コモディティの分析
原油価格は-2.98%の下落です。67から74の間のレンジで推移しています。
天然ガスは3.69%の上昇です。小幅ながら安値、高値を切り上げて緩やかな上昇トレンドを開始しています。
銅価格は-2.20%の下落です。2023年の初めから始まった緩やかな下落トレンドのチャネルの上限に達したところで跳ね返されて、上ヒゲをつけて終えています。
金価格は-2.11%と大きめな下落です。2022年11月から始まった中期の上昇トレンドのラインを割り込んでいます。
セクター分析
先週はすべてのセクターが下落しました。特に下げ幅が大きいのは不動産、素材、情報技術です。
業種別のパフォーマンスを見てみると、医薬品流通、住宅建築が強い一方で、ソーラー、REITや銀、アルミなどの金属素材が下落しています。
業種別のパフォーマンスの推移を確認すると、自動車ディーラー、建築素材、医療施設が上昇トレンドを開始しています。
個別銘柄の動向
時価総額の大きな銘柄ではAMZN、META、V、MRK、ABTが強い動きです。
5月以降に力強く上昇してきたソフトウェア、半導体の銘柄は調整局面に入っています。今後の数週間で調整した後に力強い買いが戻ってくるかを確認したいと思います。先週は金融、不動産、金属素材が特に弱い動きとなっています。
今週の戦略
今週は今後の数週間で上昇が期待できるヘルスケア、ディフェンシブのセクターの銘柄を中心にトレードしていきたいと思います。ハイテク成長株は短期的な調整局面となっており上昇しずらい状況がしばらく続く可能性があります。ハイテクセクターについてはこの状況下で大きく下落せずに持ち堪えられる銘柄を選別して監視銘柄を絞り込んでいきたいと思います。
監視銘柄
先週に好決算で上昇したCMC、SWBI、GMS、先週に上昇を始めたMRK、COIN、IRDM、WFRD、ABCM、CVACを監視対象に加えています。
監視銘柄のチャートはこちら。
今週の決算予定
今週はCCL、MU、NKEの決算に注目したいと思います。
6/26
- CCL
6/27
- JEF
- WBA
- SCHN
6/28
- MU
- GIS
6/29
- NKE
- MKC
- PAYX
- MSM
- SGH
- GBX
6/30
- STZ