先週の米国相場は、VIXの下落が継続し、上昇する銘柄がAI・半導体関連の銘柄から広がりつつあります。先週は特に自動車メーカーに強い動きが見られました。ドル指数の下落と共に金、銅などの金属素材の価格は短期的な下落から上昇に転換しつつあります。
さまざまなセクターに買いが広がると共に投資家のセンチメントは強気に大きく傾いてきており、天井をつけるときに近い兆候が少しずつ出始めています。
今週は6/13 CPI、6/14 FOMCとイベントが盛りだくさんです。各々の発表後の相場の反応をしっかり確認していきたいと思います。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
投資家のセンチメント
AAIIのサーベイによると、強気に見ている投資家の割合は5/31の29.1%から6/7に44.5%に大きく増加しました。この水準まで強気感が高まるのはナスダックが天井を付けた2021年11月以来です。加熱した相場となりつつあり、注意して推移を見守る必要がありそうです。
参照元 https://www.aaii.com/sentimentsurvey
相場環境
米国債10年物利回りは+1.27%の上昇でした。2022年10月から高値を切り下げてきていますが、直近のチャートは小さなカップ・アンド・ハンドルのような形状となっており、上昇する可能性も出てきているように見えます。今週のCPIの発表後にどのような反応を見せるのかをしっかり確認していきたいと思います。
VIXは先週も下落を続け、13.84まで下がっています。この水準まで下がるのは2020年以来です。MACDも下落トレンドを維持しています。
ナスダックの分析
ナスダックの月足のチャートです。2022年の初めに繰り返し上昇を阻まれていた14900〜15000の水準が当面のターゲットです。
ナスダックの週足のチャートです。先週は十字線となっており、やや上昇の勢いが止まり、方向転換を始める可能性のあるチャートとなってきています。
ナスダックの高値 – 安値銘柄数はプラス圏で上昇トレンドを維持しており、幅広い銘柄に買いが広がっている様子が伺えます。
ナスダックの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合についても上昇トレンドを継続しています。
ダウの分析
ダウの週足のチャートです。2022年11月から続いているレンジの範囲で推移しています。
ダウの週足のチャートです。0.33%の小幅な上昇です。下ヒゲを付けたチャートとなっており、まだ上昇が続く可能性がありそうです。当面のターゲットはレンジの上限の34500です。
ダウ銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は先週から大きな動きはなく、上昇トレンドを維持しています。
S&P500の分析
S&P500の月足のチャートです。2022年8月の高値の水準に到達しています。
S&P500の週足のチャートです。週間で0.47%の上昇で2022年8月の高値で節目となる4300の水準に到達しています。今週、ここからどちらの方向に進むのかを注意深く監視していきたいと思います。
S&P500銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は50%を超えて上昇トレンドを維持しています。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。6月に入ってから上昇の勢いを強めており、月初から6.72%の上昇となっています。
ラッセル2000は週間で1.81%の上昇で株式指数の中で最も良いパフォーマンスとなっています。3月以降、大型ハイテク銘柄に牽引されて上昇してきましたが、小型株にも買いが広がってきています。ラッセルが週足で上昇トレンドになっていけば、相場全体として上昇が継続する可能性がさらに高まります。当面のターゲットは2022年11月の高値の1900です。
ラッセル2000銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合です。先週に急上昇して買われすぎの水準(チャートでは30付近)に近づいてきています。今後の数週間で上昇から下落に転じるタイミングを見逃さないよう注意して監視してきたいと思います。
コモディティの分析
原油価格は2.16%の下落となりました。週明けにOPECプラスの減産の報道を受けてギャップアップして始まりましたが、上昇の勢いは続かず下落して終えています。
天然ガスは3.78%の上昇です。3月以降は2〜2.6のレンジで推移しており、本来の比較的小さな値動きに戻っています。
銅価格は1.65%の上昇です。2022年7月から始まっている中期の上昇トレンドのラインと200移動平均線にサポートされる形で短期的な上昇が始まっています。
金価格は0.39%の上昇です。こちらも銅と似たような動きとなっています。上昇トレンドラインと20移動平均線で反発して短期的な上昇を開始しています。
小麦価格は1.82%の上昇です。2022年10月から始まった下落トレンドのチャネルの範囲内で推移しています。
セクター分析
先週は一般消費財、エネルギー、公益事業が上昇しました。ハイテク銘柄から出遅れていたセクターに資金が移動しているように見えます。
業種別のパフォーマンスを確認すると、前週に続き自動車メーカーが非常に強い動きとなっています。下落が続いてきたデパートも反発してきました。ソーラー、トラックが大きく下落しています。
業種別のパフォーマンスのチャートを確認すると、自動車メーカーが力強い上昇トレンドを開始しています。その他には、医薬品流通、産業機器、旅行サービスが上昇を始めています。半導体、住宅建築、ソフトウェアは上昇トレンドを維持しており、前週に続き、上昇トレンドの業種が拡大しつつあります。
上昇トレンドを開始した業種
上昇トレンドを継続している業種
個別銘柄の動向
先週に力強く上昇したのは自動車メーカー(TSLA、 GM、F、LI)、半導体(AMD、TSM)、ソフトウェア(IOT、AFRM、GTLB、BRZE、U)、インターネット小売(PDD、SE、W、FTCH)、エンターテイメント(NFLX)、旅行サービス(TCOM、RCL、EXPE)、銀行(NU)、石油ガス(EQNR、PBR)、肥料(NTR、MOS)です。3〜5月の上昇を牽引してきたMSFT、NVDA、GOOGL、METAは今週は下落しています。3月の銀行破綻で大きく下落していた地方銀行の銘柄も5月後半に下落が止まり、6月に入ってからも上昇を続けて持ち直してきています。
セクターをローテーションしながらポジティブなニュースのあった業種や大きく下落して割安な銘柄に買いが入っているように見えます。
今週の戦略
投資家のセンチメントの統計を確認すると、強気なセンチメントの投資家の割合が大幅に増えており、短期的な天井に近づいてきている可能性があります。
今週は6/13にCPI、6/14にFOMC議長会見がありますので、今週は特に注意して発表後の相場の反応を確認していきたいと思います。
監視銘柄
監視銘柄は以下の通りです。
ソフトウェア(ADBE、CRM、GTLB)、半導体(NVDA、AVGO、MRVL)、自動車(TSLA)を追加しています。
監視銘柄のチャートはこちら。
決算発表予定
今週はLEN、ADBEの決算に注目したいと思います。
6/12
- ORCL
- ECX
6/14
- LEN
6/15
- JBL
- ADBE