先週の米国相場は事前の予想を超える9.1%という6月のインフレ率の発表を受けて株価指数は下落しましたが、週後半には持ち直して終了しています。予想外に高い数字となった割に株式相場の反応は悪くなかったように思います。
個別銘柄のチャートを確認すると、良いセットアップを形成している銘柄がヘルスケア、ディフェンシブのセクターを中心に増えてきています。長期的な下落トレンド中の短期的な上昇になるかもしれませんが、力強く上昇し始めている銘柄を対象にトレードしていきたいと思います。
それでは、先週の相場動向を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
6月のインフレ率
まず、先週に発表されたインフレ率の数字を確認していきましょう。
6月のインフレ率は5月の8.6%から9.1%に上昇しました。4月→5月よりも5月→6月の方が上昇幅が増加しており、インフレが加速している状況です。
分野毎の数字を確認してみると、食品と家賃の上昇率は小さくなってきている一方で、エネルギー、サービスに関してはインフレ率は上昇が加速しています。
エネルギー
食品
家賃
サービス
ここ1ヶ月でコモディティの先物価格は大きく下落してきていますが、実際に消費者が手にする商品やサービスの価格に反映されるにはまだ時間がかかるものと思われます。
今後、ガソリン価格の上昇とサービス業の賃金上昇が落ち着いてくることがインフレが収まるかどうかのポイントになってくると思います。7月のインフレ率でピークアウトが見られるか引き続き注意深く経過を観察していきましょう。
相場動向
各種チャートで相場の動向を確認していきましょう。
まずはVIXです。VIXはインフレ率の発表後に一時的に上昇したものの金曜に大きく下がり、週間では-1.74%の下落で終えています。
米国債10年利回りは3週前から週毎に上昇と下落が入れ替わり、方向性が定まらずに横ばいの動きとなっています。
ナスダックと米国債10年利回りと同様に3週前から横ばいを続けています。週間では-1.16%の小さな下落となっています。長い下ヒゲをつけており、週明けに上昇できるかに注目したいと思います。
原油価格は-6.78%と大きく下落しました。6月頭から開始した下落トレンドのチャネルの範囲で推移しています。
天然ガスは前週に続き力強く反発して+16.27%上昇しました。このまま上昇トレンドに戻りそうな勢いです。週明けの動きに注目したいと思います。
金価格は先週に続き下落し5週間連続で下げています。前週よりは下げ幅は小さくなっており、週間で-2.22%の下落となっています。下落が止まる兆候はまだ見られません。
銅価格は6週間連続の下落となりました。-8.18%の下落は2022年に入ってからの下げ幅としては最大です。こちらも下落が止まる兆候はまだ見られません。
小麦価格は週の開始時点では上昇して始まりましたが、反落して最終的に-12.87%の大幅な下落となりました。2022年開始時点の価格に戻っています。
全体としては、米国債10年利回り、ナスダックは横ばい、コモディティは天然ガス以外は下落トレンドとなっています。VIXが大きく下落しており、今週は株価指数が横ばいから上昇する可能性が高まっていると思います。
セクター分析
先週はディフェンシブを除くセクターがすべて下落しました。特にパフォーマンスが悪かったのは、通信サービス、素材、エネルギーです。情報技術、工業は大きく下落することなく持ち堪えています。
業種別の動向を確認してみましょう。
石炭の先物価格が高値をつけており、この上昇に伴い石炭銘柄が持ち直して上昇しています。また、先週のTSMの好決算の発表を受けて半導体および半導体装置の銘柄も上昇しました。その他には、ディスカウントストア、専門小売店、ホテル、航空も良いパフォーマンスとなっています。
先週、弱い動きだったのは、ソーラー、石炭採掘、不動産サービス、金属素材です。
月間のセクターパフォーマンスを見ると、ヘルスケア、ディフェンシブ、公共が強く、エネルギー、素材が弱い景気後退を意識した傾向が続いています。
個別銘柄の動向
個別銘柄の週間パフォーマンスを確認してみましょう。
半導体(TSM、QCOM )、半導体装置(ASML)、製薬(NVO)、ディスカウントストア(COST)、専門小売(GME、MUSA)、健康保険(UNH)、天然ガス(EQT、AR、RRC)、航空(LUV、UAL、BA)が上昇しています。
一方、ソフトウェア(ZS、NET、MDB、PLTR、NOW、SHOP、DDOG、U)、バイオテクノロジー(BNTX、MRNA、BGNE)、通信サービス(GOOG)、素材(VALE、BHP、FCX、NEM)、保険(TRV、ALL、MET、LFC)が下落しています。
週間パフォーマンス
月間で見ると、バイオ(VRTX、MRNA、BGNE)、製薬(LLY、MRK)、健康保険(UNH、CNC HUM)、ディフェンシブ(OLLI、BJ、COST、CELH、ELF、GO)が強いです。 大型株の中ではAAPL、AMZN、TSLAが良いパフォーマンスです。
月間パフォーマンス
先週、週間で10%超上昇した銘柄を確認してみましょう。
7/5週には371件ありましたが、先週は47件に減っています。大きく上昇している銘柄はバイオテクノロジーの小型株(PLRX、RYTM、GOSS、CINC、SIGA)の比率が最も高いです。
今週の戦略
先週、下落する銘柄を損切りして上昇トレンドでブレイクアウトする銘柄に入れ替えていった結果、保有銘柄はバイオテクノロジーが減り、他のセクターの銘柄が増えています。
力強く上昇する銘柄がバイオテクノロジーを中心としたヘルスケアセクター内に多く見られる状況は変わっていませんので、引き続きこのセクターの銘柄も監視しながら短期トレードをしていきます。
保有銘柄
- ARLP 石炭
- GO ディスカウントストア
- HRB 税務サービス
- MUSA ガソリンスタンド、コンビニ
- SWIR 通信機器
- RPRX バイオテクノロジー
- PRVA 医療情報
- LNTH 検査試薬
- CELH エナジードリンク
監視銘柄
- VRTX バイオテクノロジー
- UTHR バイオテクノロジー
- SWAV 医療機器
- MGPI 食品原料、酒類
- ELF 化粧品、スキンケア
- TMUS モバイル通信
- AZO 自動車部品
- ECPG 金融(債権回収)
- STNG 石油プロダクトタンカー
保有、監視銘柄のチャートはこちら。
決算発表予定
今週から多くの企業が2022年Q2の決算発表を行います。決算結果とガイダンスを確認しながら、米国経済と景気動向を確認していきたいと思います。
7/18 BAC、BANF、SCHW
7/19 JNJ、HAL、MLI、LMT、CALM
7/20 TSLA、ELV、BKR、AA、CSX、RELL、REXR、STLD
7/21 DHI、DHR、MRTN、NUE、TRV、FCX