【米国株銘柄】アリス・ウォーター・ソリューションズ(ARIS)は良い投資先か?

企業研究

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

この記事では、202110月にIPOを完了した石油採掘企業向けに水のリサイクル処理のソリューションを提供しているアリス・ウォーター・ソリューションズ(ARIS)をご紹介します。皆様の銘柄選びの参考になれば幸いです。

結論としては、シェール採掘時に排出される水による環境問題への意識の高まりから環境対策を求められているエネルギー企業に対して、包括的な水処理のソリューションを提供できるアリス・ウォーター・ソリューションズは、長期的に成長していける可能性のある有望な投資先と考えます。

 

それでは、まず、アリス・ウォーター・ソリューションズが提供している水処理事業を理解するために、最初にシェールガス・オイルの採掘の仕組みと水処理の位置付けを見ていきましょう。

シェールガス・オイル採掘の仕組みと水処理の必要性

シェールガス・オイルの採掘には「水圧破砕」という技術が用いられます。以下の図のように採掘された坑井に砂や化学物質を混合した水を高圧で送り込むことで地層にひび割れを生じさせ、そこから染み出してくるガスやオイルを収集することで生産を行います。

参照記事

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_project_/pdf/6/6555/1511_b02_sato_us.pdf

水圧破砕で利用される水、および採掘時に湧き出る地下水には、砂と化学物質が含まれているため、そのまま廃棄してしまうと水質汚染などの環境問題を引き起こす可能性が指摘されており、石油・ガスの採掘を行うエネルギー企業は環境へ与える影響を最小限にすることが求められています。

参照記事

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_project_/pdf/5/5319/1408_out_e_fracturing_fluids_trend.pdf

アリス・ウォーター・ソリューションズ(ARIS)の事業内容

提供サービス概要

アリス・ウォーター・ソリューションズは、シェールガス・オイルの採掘の際に使用される水処理、リサイクルのサービスを包括的に提供しています。生産時に排出される水をパイプラインを通じて回収し、プラントで処理もしくはリサイクルを行い、リサイクル水を販売しています。石油採掘企業は、採掘時に利用される水が環境に与える問題を解消する部分をアリス・ウォーター・ソリューションズに委託することができます。

リサイクルされた水は、主に綿花などの非食用の農産物の灌漑や工業用水として利用されています。

事業展開地域

アリス・ウォーター・ソリューションズは米国のテキサス州とデラウェア州にまたがるペルミアン盆地で事業を行なっています。

ペルミアン盆地は、アメリカのシェールオイル生産において第4位の生産性を持つ地域で、2015年以降に生産性が急激に上昇しています。

参照記事

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_project_/pdf/6/6555/1511_b02_sato_us.pdf

保有資産

アリス・ウォーター・ソリューションズは、ペルミアン盆地の全体に敷設された684マイルに及ぶ水処理のパイプラインと13のリサイクル施設、多数の水処理施設のインフラを保有しています。

顧客

アリス・ウォーター・ソリューションズの顧客は以下のようにペルミアン盆地で石油採掘を行っているエネルギー企業が名前を連ねています。

  • ConocoPhillips
  • Occidental Petroleum Corporation
  • ExxonMobil Corporation
  • Marathon Oil Corporation
  • Chevron Corporation
  • Mewbourne Oil Company

売上の構成比率を確認すると、ConocoPhillips34%と最も多く、次いでMewbourneChevronとなっています。顧客の35社とは長期的な契約を締結しています。

2022年Q1の決算報告

アリス・ウォーター・ソリューションズのビジネスは、1バレルあたり$0.78のように、処理した水の量に応じて課金されるモデルとなっています。顧客の石油ガスの採掘量が増えれば処理する水の量も増えて売上も増加します。処理量は昨年比で130%増加しています。

  • 売上は$71.0Mで昨年同期比で54%増加、調整後EBITDA54%となっています。
  • 2022Q1Chevronと新たに長期契約を結んでいます。

Chevronの新規契約の獲得に伴い、2022年通年のガイダンスが引き上げられており、調整後EBITDAは以下のように上昇する見込みとなっています。

調整後EBITDA  $165.0M$175.0M vs 前回 $150.0$160.0M

株価チャートと売上、EPSの推移です。5/27IPO後に3番目に大きな出来高を伴って力強く上昇を開始しています。

 

結論

原油価格の上昇、地政学的な要因からアメリカのシェールガス・オイルの採掘は引き続き活発になっていくことが想定されます。

その中で採掘時に発生する水による環境問題への配慮と対策を求められているエネルギー企業に対して、包括的な水処理のソリューションを提供できるインフラを保有しているアリス・ウォーター・ソリューションズは、エネルギー企業と共に成長していける可能性がある有望な投資先と考えます。

ただし、景気後退などにより原油や天然ガスの需要が低下して価格が大幅に下落する場合には、採掘活動も低下しますので、その場合にはエネルギー企業と共に成長が止まるリスクがあります。石油株と同様に原油価格、天然ガスの価格の影響を受ける銘柄になります。アメリカおよび欧州の景気の動向に注意を払いながら投資やトレードをしていくのが良いでしょう。

タイトルとurlをコピーしました