先週の振り返り
先週はロシアへの経済制裁が想定よりも厳しい内容(SWIFTからロシアの一部銀行を排除)で実行され、ロシア軍の侵攻が進んで原子力発電所が占領されるなどウクライナ情勢が目まぐるしく変化する中、石油、小麦、アルミニウム等のコモディティの価格が全般的に急速に上昇しました。国債の利回りは短期から長期まで軒並み下落しています。
先々週の分析結果では石油・石炭のエネルギーセクターが下に向かい始めていましたが、各国の経済制裁の発動に伴って石油価格が上昇に転じ、インフレがさらに進行して景気が停滞するリスクが高くなってきています。
相場環境の分析
S&P500、NASDAQ100、DOW30共に週間でマイナスで終わっており、VIXは右肩上がりの上昇トレンドが続く難しい相場環境が続いています。
NASDAQ100のチャートは下落トレンドをブレイクできずに反落し、さらなる下落に注意が必要な動きになってきました。
コモディティー価格の上昇が進行している状況でパフォーマンスが良かったセクターは、エネルギー(石炭、石油)、素材(貴金属、アルミニウム、農業素材)、公共事業(ガス、電力、ゴミ処理)、ディフェンシブ(食料品店、ディスカウント店)、鉄道などインフレによって恩恵を受けるセクター、もしくはインフレに強いセクターに集中しています。今週、食料品店と鉄道が上昇し始めたのは新しい動きです。
一方、金融全般、旅行サービス、航空、ホテルなどインフレの進行により業績が下降する懸念のあるセクターは大きく下落しました。今後、ウクライナの戦争が終結したとしても燃料や食糧の価格が上昇して欧州を皮切りに世界的な景気の停滞につながっていく場合、この辺りのセクターは中長期的に見て厳しい状況が続く懸念があることが意識され始めていると思います。
個別銘柄を確認すると、先週は以下の銘柄が良いパフォーマンスとなっていました。特に石炭(BTU +64.58%)、石油(OXY +44.94%)、食料品店(KR +26.86%)の上昇幅が大きくなっています。
- 石炭 BTU AMR ARCH
- 石油・ガス XOM CVX OXY AR RRC CLR
- 金属素材 VALE TECK CLF STLD X FCX
- 農業素材 NTR MOS CF SEED
- 鉄道 UNP CSX
- 食料品店 KR ACI SFM
- 金 GFI NEM AU
- 健康保険 UNH ANTM
- 公共事業 NFE NWN CEG PAM
- 工業 DE
- 軍事 LMT NOC LHX GD
- 農業商品 APPH CRESY AGRI ADM AGRO
- ソーラー SEDG JKS
ハイテク成長株の中では以下の銘柄が健闘しています。
TSLA PSTG NCNO TASK
EFTの動向を確認してみましょう。週間で良いパフォーマンスとなっているのは以下です。エネルギー、素材、公共事業が上昇しています。
- 石油 XOP USO
- エネルギー XLE UNG UGA
- 公共事業 XLU
- 金属素材 XME
- ブラジル EWZ
- 金 GLD
- 銀 SLV
- コモディティ DBC DBA
一方で以下は大きく下落する結果となりました。ヨーロッパと新興国はウクライナ紛争の影響を受けているようです。
- ヨーロッパ VGK
- 新興国 IEMG VWO
- 金融 XLF KRE
先週の決算発表のまとめ
食料品店、ディスカウント店、飲食業等の衣食住に近い銘柄が上がり、ソフトウェア関連の銘柄、特にガイダンスで成長の鈍化が見られる銘柄は強い下落となっています。右端は週間の騰落率です。
上昇銘柄
- KR 売上❌ EPS⭕️ ガイダンス❌ +26.86%
- TGT 売上❌ EPS⭕️ 通期ガイダンス⭕️ +12.49%
- WHD 売上⭕️ EPS⭕️ +11.53%
- TASK 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス⭕️ +10.26%
- SG 売上⭕️ EPS❌ ガイダンス⭕️ +10.98%
- BROS 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス⭕️ +4.49%
- DLTR 売上❌ EPS⭕️ ガイダンス売上❌ EPS⭕️ +1.98%
- BLDR 売上⭕️ EPS⭕️ +1.91%
- COST 売上⭕️ EPS⭕️ +1.55%
- AVGO 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス⭕️ +1.36%
下落銘柄
- GDYN 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス⭕️ -34.24%
- SE 売上⭕️ EPS ❌ 通期ガイダンス売上❌ -29.11%
- SNOW 売上⭕️ EPS❌ ガイダンス❌ -22.18%
- SEMR 売上⭕️ EPS⭕️ 次期・通期ガイダンス売上⭕️ -20.00%
- TREX 売上⭕️ EPS⭕️ 次期ガイダンス⭕️ -17.36%
- ZM 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス❌ -13.07%
- OKTA 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス売上⭕️EPS❌ -10.69%
- ZUO 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス❌ -12.01%
- VSCO 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス❌ -9.87%
- IOT 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス⭕️ -8.76%
- MRVL 売上⭕️ EPS⭕️ ガイダンス売上⭕️EPS❌ -7.77%
- JXN 売上❌ EPS⭕️ ガイダンス❌ -6.94%
- CRM 売上⭕️ EPS⭕️ 次期ガイダンス売上⭕️EPS❌ -2.44%
先週のトレード
先週は引き続き相対的に強いセクター、好決算を発表した銘柄を対象に短期のトレードを繰り返し行いました。電力、金属素材、ソーラー株は利益を確保できました。カジノ、金融、ハイテク株は損切りしています。
利益を確保できたトレード
- CEG
- MP(1回目)
- ZETA
- CCJ
- SEDG
損切りしたトレード
- BYD
- MP(2回目)
- VIRT
- DDOG
現在の保有銘柄
- ZIM 海運
- AR 天然ガス
- BLDR 建築資材
- AVGO 半導体
- VRTX 医薬品
- CVS 健康保険、医薬品小売
- SWCH データセンター
今週の戦略
今週もウクライナ情勢により相場環境が変化することが想定されます。基本的な戦略は先週と同じく、日々、相場環境を分析しながら、レラティブストレングスの強いセクターと銘柄を対象に短期のトレードでこまめに利確をしていく方針です。
今週は3/10にCPIの発表があります。インフレがどのような状況となっているのか、CPIの数値に注目したいと思います。
今週の戦略
- 3/10に発表されるCPIの結果次第では大きく相場が上下する可能性があるため、リスク回避のため3/9までにポジションを縮小
- NASDAQが安値を切り下げて下落が進行する場合はQQQをショート
- 上昇トレンドのセクターの銘柄にエントリー
- 決算発表の結果が良く、良いチャートパターンを形成している銘柄にエントリー
監視セクター・銘柄
- 石油 CLR MGY WHD
- 鉄鋼 RS NUE
- 金 FNV
- 銀 PAAS
- 銅 FCX
- 鉄道 UNP
- 公共事業(ガス) NI
- 公共事業(ゴミ処理) WM WCN
- 公共事業(電力) EXC
- 海運 MATX
- バイオ製薬 VRTX
- 医薬品物流 MCK
- 情報技術 PAYX
決算発表予定
3/7
- AMR
- ROCC
3/8
- OLPX
3/9
- MDB
- CRWD
- ZIM
- FNV
- MQ
3/10
- DOCU
- AG
- ASAN
- MCW
- PVG
- LTH
- NAPA
- ORCL
- ULTA