2020年のUS Investing Championにおいて年間で941.1%という圧倒的な利益を出し優勝者のオリバー・ケルさんの本を読みました。2020年は大量の資金が株式市場に流入し、相場環境が良かったこともあると思いますが、それにしても驚異的な利益率です。
オリバー・ケル氏の基本的な考え方やトレードのスタイルはウィリアム・オニールやマーク・ミネルヴィニと類似した部分が多くあります。ストップロスと利確のタイミングに関するルールが具体的に記載されていて興味深いです。QQQの20日移動平均線を相場環境の判断に利用して、マージンの利用の有無を判断している点も面白いと思いました。チャート分析は5分足から月足まで幅広い時間軸の指数移動平均線を見て行っています。書籍内に登場するチャートは2020年に実際に行われたもので、自分も愛用しているTradingViewのローソク足で見慣れているチャートが掲載されていてとても参考になりました。
書籍はApple Booksで購入できます。価格は$49.99。
Oliver Kell – Apple Bookshttps://books.apple.com › author › oli…
PDF版は以下のリンクから購入できます。価格は$50.00。
残念ながらAmazon Kindle向けには出版していないようです。
以下、要約です。皆さんのトレード戦略の検討時の参考になれば幸いです。
トレードスタイル
- 成長株へのスイングトレードが主体。ベースからのブレイクアウトでエントリーし、移動平均線を見ながらトレンドに乗るスタイル。
- ルールに従った戦略でリスク管理をしつつ、直感と感覚を組み合わせてトレードしている。
- 価格、出来高、移動平均、マルチフレーム時間足、チャートパターンを見て分析を行う。
- 10、20、50、200の移動平均を5分、15分、1時間、日、週、月のマルチフレームの時間足で見ている。
銘柄選択時の確認事項
- レラティブストレングス
指数が下げているときに踏みとどまっている銘柄は指数が上昇に転じたときに急速にあがる可能性がある。
例:2020/3/9〜3/19にQQQが下げ続ける中で、LVGOは先に上昇に転じた。その後、相場全体が上昇に転じたときにLVGOは大きく上がった。
- 出来高
通常の出来高から大きく増加したときは機関投資家の買いがあることを示している。
出来高の増加を見つけたら注意深くローリスクのエントリーポイントを探すこと。
- 市場参加者が注目しているストーリー、テーマがあること
未来のビジョンが多くの市場参加者を強く引きつける場合、売り手よりも買い手が多くなり、良いストーリーであれば、調整時にも保持する投資家が多くなる。
最近の主要テーマ:デジタル化、リモートワークへの移行、EV車、グリーンエナジー、プラットフォーマー企業
- 売上成長
ウィリアム・オニールが教えてくれているように、歴史的に最も良いパフォーマンスの銘柄は年間で25%以上の売上成長を記録していた。売上成長率は最終的な株価を予測するのに最も有効な手段である。
- 利益成長
ウィリアム・オニールは、最も良いパフォーマンスの銘柄は利益についても成長していたことを教えてくれている。株価はEPSの上昇に伴って上がっていく。
- 自分が知っている分野であること
ピーター・リンチの「自分が知っているものを買う」アプローチに強く同意している。売上、利益が成長しており、レラティブストレングスが高く、強いテーマに支えられており、自分が良く知っている分野であること、これが究極のコンビネーションである。
- 流動株が多く、高いベータ値の銘柄
十分な流動性のある株であれば、購入、売却時にスリッページが少なくて済む。通常、出来高が100万株/日以上の銘柄を選択する。さらに、ベータ値が高いかどうかを確認することで、短期間で素早く動く銘柄を選択することができる。
- 低位株は避ける
$10以下の銘柄は買わない。通常、$50以上の銘柄を選択する。多くの機関投資家は、取引する銘柄の選定する際にいくら以上であるといった株価の条件を設定しているので、機関投資家が購入の対象外とする価格帯の銘柄は避けること。
チャートパターン
- 取っ手付きカップ
- ダブルボトムベース
- フラットペース
- ブルフラグ
- ブルペナント
- 下降チャネル
ストップロスと売り方
- エントリーした時の理由が有効でなくなったときは売ることを考えるタイミングである。
- 出来高を伴ってブレインアウトした日にエントリーした場合は、その日の底値をストップロス注文の価格に設定する。
- 極大陽線が出来たときはストップロスをその底値に変更する。
- 10/20の指数移動平均線を割り込んだときは売りのタイミングである。
- 上昇トレンドラインを下に割り込んだときも売りのタイミングである。
- 週足10指数移動平均、日足50単純移動平均から大きく離れて上昇したときも売りどきになる。特に大きなギャップアップで10日移動平均から離れたときは売りを考えると良い。
- リスク・リワードの比率が5倍になるまで上昇したら少し売り、残りを保持すると良い。
悪い市場環境を避ける
- QQQが20日移動平均線を下回っているときは注意する。
- ロングに比べて、下落トレンド時のショートは難しいため、あまり頻繁にショートはしない。
- QQQが20日移動平均線を下回っているときはマージンを使わない。
- 次の大勝ち銘柄は調整期間に見つかることが多い。市場全体が下げている時に持ち堪えている銘柄をスクリーニングする。
ポジションサイズ、ポートフォリオ構築
- 3〜7銘柄に資金を集中。最大で12銘柄程度。
- 最大で120〜150%のマージンを使用する。
- 毎月のリターンを複利で増やしていくことが重要。
毎月5%の利益なら年間で79.59%、毎月10%なら年間で213.84%、毎月15%なら年間で435.03%、毎月20%なら年間で791.61%、毎月22.12%なら年間で1000%になる。
以上です。