心血管疾患の新しい治療を提供する医療機器の製造を行っているShockwave Medical, Inc. (SWAV)を紹介します。売上と利益の成長が加速しており、今後の成長が期待できる医療機器セクターの小型株です。皆さんの銘柄選定の参考になれば幸いです。
Shockwave Medical, Inc. (SWAV) 銘柄分析
ビジネス概要
Shockwave Medical, Inc. (SWAV)は、老化により石灰化した血管の石灰化プラークを音波を利用して粉砕する新しい治療方法を提供する血管内欠席破砕機(intravascular lithotripsy: IVL)を製造、販売しています。IVLの技術はこれまでの治療法と比較して、侵襲性が低く、使いやすく、安全という特徴があります。
アテローム性動脈硬化症は一般に動脈硬化と呼ばれる病気で、動脈の壁にプラークなどの沈着物が溜まり、臓器への血液の供給が減少する老化に伴う疾患です。プラークは繊維組織、脂質によって形成され、進行するとカルシウムで構成されます。
IVLシステムでは閉塞性PAD(心臓から四肢に血液を運ぶ血管の狭窄または閉塞)とCAD(心臓に血液を供給する動脈の狭窄または閉塞)を治療のターゲットとしています。
米国におけるPADの治療が必要な患者は800万人と推定されています。世界的なPAD治療機器の全体の市場規模は約29億ドルと推定されています。人口の高齢化に伴い、毎年3%の成長が見込まれています。PAD患者のうち50%以上はカルシウム化した進行した状態であり、現在一般的に利用されている治療方法では、重度に石灰化した血管を安全に治療することが難しいため、IVLシステムには、17億ドルを超える市場規模があると考えられます。
現在、血管疾患を治療する主な方法には以下があります。
- 血管形成術用バルーン(バルーン)
- 薬物被覆バルーン(DCB)
- ベアメタルステント
- DES
いずれも血管内に挿入したバルーンを加圧して血管を拡張することによって機能しますが、石灰化が進んでいると血管の損傷につながる可能性があり、合併症、将来的なバイパス手術への割合が増加します。
Shockwave Medicalが提供するIVLシステムでは、腎臓結石で利用されてきた砕石技術を血管治療に適用し、安全で効果的な治療を行うことができます。IVLシステムは、一般的なバルーンカテーテルと同様の使い方ができる形状となっており、動脈壁の深部まで全体に衝撃波を送り、内膜だけでなく動脈の内層のカルシウムを粉砕することができます。
2020年度には研究開発費として36.9Mドルを投資しており、IVLの技術革新に努め、製品の拡大を進めています。
2020年12月31日現在、45件の米国特許と59件の外国特許、18件の米国非仮特許出願、21件の外国特許を所有しています。
IVLカテーテルの製造は、カリフォルニア州のサンタクララの施設で行われています。
米国、ドイツ、オーストリア、スイス。北米、南米、ヨーロッパ、中東、アジア、アフリカ、オーストラリア/ニュージーランドの50か国以上で積極的に販売している販売代理店を活用しています。
製品
以下の2つの製品群を提供しています。
■末梢動脈疾患の治療用製品(PAD)
- M5 IVLカテーテル
- 中程度の血管用のカテーテル。
- 2018年4月にCEマークを取得、2018年7月にFDAによる認可を受けています。
- S4 IVLカテーテル
- より細い血管用のカテーテル。
- 2019年8月にFDAの認可を受けています。
■冠状動脈疾患の治療用製品(CAD)
- C2 IVLカテーテル
- 2018年8月にCEマーク、2019年8月にFDAの認証を受けています。
- 日本市場向けには2022年の上半期に認可を得る計画です。
指標(2022年5月13日時点)
- Market Capitalization: $6.22B
- Price/Earnings: –
- Forward P/E: 65.24
- Operating cash flow margin: –
直近の決算
2022年Q1
- 売上: $93.6M vs 予想 $86.41M(前年比194%増)
- EPS: $0.41 vs 予想$0.18
- 売上の内訳
- 米国:$78.5M
- 欧州:$12.1M
- その他:$3.0M
最近の株価チャート(2022年5月13日時点)
結論
Shockwave Medicalは将来性の期待できる良い投資先と思います。
現状は米国の売上が占める割合が75%となっていますが、欧州やその他の地域にも展開を進めていること、また2022年には日本市場での認可が計画されていることから、今後も引き続き売上の成長が期待できます。次回以降の決算の結果も見ながらShockwave Medicalへの投資を継続していきたいと思います。