Krispy Kreme (DNUT)は良い投資先か?
2021年6月30日にIPOしたクリスピークリーム(DNUT)について、投資対象になり得るか検討してみました。
目次
- 実際にクリスピークリームの店舗に行ってみた
- IPO時に届け出された目論見書(Form S-1)
- 2021年2Qの決算報告(Form 10-Q)
- 結論
1. 実際にクリスピークリームの店舗に行ってみた
メニューを調べるためにクリスピークリームのWebサイト(https://www.krispykreme.com)を確認したところ、オンラインで注文できるようでしたので試してみました。トップページのOrder Nowをクリックするとデリバリーとピックアップのいずれかを選択できます。メニューを開くと最初に1ダースのボックスの選択肢がずらっと出てきます。そんなにたくさん食べるつもりはなかったので、オリジナル・グレーズドとグレーズドサワークリームをあわせて6つ注文しました。
Webサイトにはドーナッツ以外に、スーパーやコンビニで販売していると思われるパッケージ商品もありました。後で調べてみたところ、ウォルマート等で販売しているようです。また、Tシャツやマグカップ等のグッズの販売にも力を入れています。
今回は試していませんが、iOSとAndroid向けのモバイルアプリもあり、アプリからも簡単に注文ができます。
指定した時間に店舗に訪問すると、店舗内の様子は清潔で明るい雰囲気で、注文したドーナッツが箱に詰めて用意されていて、受け取りもスムーズでした。ドーナッツは普通に美味しかったです。店舗の様子はこんな感じです。
2. IPO時に届け出された目論見書(Form S-1)
クリスピークリームのビジネスでは、オムニチャネルの戦略に重点的に投資を行っており、以下の4つのアプローチを展開しています。
- 直営店(フレッシュショップ)でのドーナッツの販売
- 食料品店やコンビニエンスストアでのドーナッツの販売
- オンライン販売、デリバリー
- 食料品店、量販店、コンビニエンスストアでのパッケージ製品の販売
上記以外にはInsomnia Cookie(https://insomniacookies.com/)というブランドでクッキー、クッキー・ケーキ、アイスクリームの販売も行っています。Insomnia Cookiesは半分がオンライン注文で売上を上げています。
2016年から2020年までの売上成長率は19.1%で、アクセスポイント(直営店と量販店の総合)は5720から8275に増加しています。
体験型の店舗はローカルの生産施設としても機能し、毎日、新鮮なドーナッツを効率的に各店舗や量販店に届けることができるHUB & SPOKEというモデルを採用しています。
グローバル市場におけるスイーツ製品の全体の市場規模は6,500億ドル(70兆円)と推定されていますが、2020年度のクリスピークリームの売上は112万ドル(1200億円)となっており、潜在的な市場は非常に大きいです。
以下の3つのセグメントでレポートをしています。
- U.S. and Canada・・・アメリカ、カナダ
- International・・・イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ
- Market Development・・・フランチャイズ(2020年に買収したクリスピークリーム日本も含む)
売上と営業利益の推移は以下の通りです。
2018年度
- 売上 $748.86 Million
- 営業利益 $34.47 Million
2019年度
- 売上 $959.40 Million
- 営業利益 $37.99 Million
2020年度
- 売上 $1,122.03 Million
- 営業利益 $4.28 Million
3. 2021年2Qの決算報告(Form 10-Q)
- 売上 $349 M vs $333.36M (予想)
- EPS $0.13 vs 0.14 (予想)
- ガイダンス $1.34B 〜 $1.38B vs 1.34B (予想)
売上成長率は2020年比42.6%増、2019年比49.8%増となっています。
アクセスポイント(直営店と量販店の総合)は2020年の8,275から9,575に増加しました。
Insomnia Cookiesの店舗数が200店に増加しました。
ドーナッツの販売店舗は1,527店に増加し、30カ国で展開しています。
Eコマースでのオンライン販売は19%になりました。
4. 結論
以下の理由からクリスピークリーム(DNUT)は投資対象になり得るとの結論に達しました。今後、検討していきたいと思います。
- 北米を中心に強いブランド力を持ち、ハブ&スポットのモデルで効率的な経営が行いつつ、オムニチャネルで売上拡大を戦略的に積極的に進めていく経営陣がいる。
- 実際に米国の店舗を利用してみて印象の悪い点がなかった。
- オンラインおよびモバイルアプリによる販売、配送を積極的に進めている。
- 新しいブランドとしてクッキー製品の展開を進めようとしている。
- グローバルに展開できる潜在的な市場が大きく、将来的な成長の余地がある。
- 2021年2Qの決算結果では、EPSはコンセンサス予想には若干届きませんでしたが、売上、利益共に2020年と比較すると大きく成長する結果となり、コロナのデルタ種の感染が広がっている中でガイダンスを上方修正していることから経営陣の自信が伺える。
- 決算発表後のチャートの動きから発表直後に下落した後に、大きな出来高の増加を伴って上昇しており、機関投資家による買いが入っているものと予想される。