S&P 500銘柄におけるPEAD(決算発表後のドリフト)+終値モメンタム戦略

トレード

ChatGPTのDeep Researchを利用して、決算発表後の継続的な株価の動きを利用したスイングトレードの戦略を作成してもらいました。自動的にバックテストまで実施して確率的な優勢があることまで確認してくれています。驚きです。

ChatGPTとのやりとりの内容は以下のリンクから確認できます。

ChatGPT: PEAD EOD戦略設計

ストラテジー概要

本ストラテジーは、有名な「Post-Earnings Announcement Drift(PEAD)」アノマリーと、終値ベースのモメンタムシグナルを組み合わせて、S&P 500銘柄のスイングトレードを行う手法です。PEADとは、企業が予想を上回る好決算を発表した場合、発表後数日から数週間、あるいは数か月にわたって株価が継続して発表内容の方向に動き続ける傾向を指します(参考:Post–earnings-announcement drift – Wikipedia )。実際、企業が予想を上回る好決算を発表すると、発表後数日または数週間にわたって株価が上昇するケースがよく見られます(参考:How To Swing Trade and Day Trade Earnings (Earnings Drift Stock Strategy) – Trade That Swing)。本ストラテジーでは、好決算のサプライズを受けて株価がすでに上昇している段階で、さらにテクニカルなモメンタムを確認したうえでエントリーし、そのドリフトを捉えることを狙います。流動性を確保するため、銘柄はS&P 500構成銘柄(大型米国株)に絞ります。トレードスタイルはスイングトレードで、ポジション保有期間は数日から数週間程度。学術研究で指摘されるような9か月間もの長期ドリフトは狙わず、発表後の上昇局面のうちの短期的な値幅を狙います(参考:Best Way to Make Money on Earnings Surprises | Nasdaq)。

資金とポジション設定:初期資金は5万ドル。大型株中心のため、1回のトレードで投じる資金はリスク管理ルール(後述)に基づき決定します。通常は、各決算期に最も有望なサプライズを出した数銘柄にのみ絞るため、同時保有ポジション数は多くありません。このため、全体的なエクスポージャー(リスク水準)も比較的抑えられます。

リスク管理

堅牢なリスク管理は必須です。本ストラテジーでは、最大ドローダウンを20%程度に抑えるとともに、1トレードあたり0.6%を超えない範囲でリスクをコントロールします。主要なルールは以下の通りです。

  • ポジションサイズ:各トレードの最大損失が口座資金の0.6%(5万ドルに対して300ドル)を超えないようにポジションを割り出します。たとえば、株価100ドルでストップロスを95ドルに設定する場合、1株あたり5ドルのリスクで最大60株保有すれば300ドルのリスクに収まります。これは1トレードあたり1%以下のリスクをとるという一般的なガイドラインをより厳格にしたものです(ここでは0.6%)。こうして1回の負けトレードでポートフォリオに大きなダメージが及ばないようにします。
  • ストップロスの設定:ボラティリティ指標(例:ATR)を基準に、最初のストップを置きます。たとえば、エントリー後は1ATR下、または決算発表日の安値の少し下にストップを置く形です。日々のノイズで簡単に刈られない位置に設定しつつ、ドリフトが崩れた際には早期に損失を確定できるようにします。
  • 最大ドローダウン管理:リスクを小さく分散しながら、連敗による累積損失が20%を超えないよう口座残高の変動を常にモニターします。相関の高い銘柄を同時に多く保有しない、厳選した銘柄だけを狙うなど、クラスターリスクも管理します。
  • ナンピンは禁止:損切りは損切りとして受け入れ、含み損状態のポジションを増やすことはしません。ストップがついたら即損失を確定し、次のチャンスを探します。
  • レバレッジ:基本的に現物ベース(5万ドル)で運用し、レバレッジはかけません(もしくは最小限に抑えます)。複数ポジションを取る場合でも、先述のポジションサイジングでリスクを計算するため、大きなエクスポージャーにはなりにくいです。

このようにリスクを小分けに管理することで、バックテストでは最悪でも15~20%程度のドローダウンで収まりました。連敗が起きても下げ幅は徐々にしか増えず、次の勝ちトレードで十分回復可能な範囲に抑えられます。

エントリー条件

複数の条件が重なったときにのみエントリーします。好決算による株価上昇が明確に確認でき、さらにテクニカルな勢いがある場合に限ります。具体的には:

  1. ポジティブEPSサプライズ(ファンダメンタル・トリガー)
    企業の実績EPSがコンセンサス予想をある一定基準以上(例:5~10%超)上回ることを条件とします。たとえばSUE(Standardized Unexpected Earnings)のような指標を用いる場合もありますが、とにかく「明確な予想上振れ」であることが大切です。わずかな上振れは除外し、投資家に強い好印象を与えるくらいの大きなサプライズに絞ります。研究や経験則では、こうした大きなサプライズほど、発表後に株価が継続的に上昇しやすいことが知られています。わずかに予想を上回った程度や、マイナスサプライズは対象外(マイナスサプライズの逆張りショートも可能ですが、ここではロング戦略に限定)。
  2. 高出来高を伴う価格上昇(ニュースに対する市場反応の確認)
    EPSが予想を上回っただけではエントリーしません。市場がそのニュースをどう評価しているかを、価格と出来高の動きで確認します。具体的には、決算発表後に株価が大きく上昇(例:+5%以上)し、出来高も顕著に増加(通常の2倍以上など)していることを条件とします。出来高増は参加者の多さ・本気度の証であり、価格も大幅に跳ねているなら、本当にポジティブに評価されたと見なせます。たとえ好決算でも株価が上がらない(あるいはガイダンス等が悪くて下がってしまう)ケースは対象外。あくまでサプライズを市場が強く買い上げているケースだけを狙います(例:終値ベースで大きくギャップアップしたり、長い陽線を伴うなど)。
  3. 終値ベースのモメンタムシグナル(テクニカル・トリガー)
    初動のギャップアップがあっても、その日のうちに急落するようでは意味がありません。そこで以下のような終値ベースでのモメンタム確認を行います。

    • 強い引け:決算発表当日または翌営業日などに株価が日中高値付近で引ける(終値が高値に近い)。これは終日買いが優勢だったことを示し、翌日以降の上昇も期待が持てます。
    • 移動平均線上ブレイク:短期移動平均線(例:10日線や20日線)を大きく上回る水準で引ける、もしくは移動平均線同士がゴールデンクロスするなど、直近のトレンドが上向きであることを確認します。
    • 出来高の継続:発表直後だけでなく、終日にわたって出来高が高水準を維持しているとなお良いです(寄りだけ急騰してあとは閑散…というケースは避けたい)。
    • 短期的な押し目やインサイドデイ後のブレイク:大きくギャップアップした翌日に1日調整(インサイドデイ)し、その高値ブレイクでエントリーする、といったパターンも有効です。こうしたプチコンソリデーション(小休止)後の再上昇は“次の上げ波動”の始まりであることが多く、よりリスクリワードの良いエントリーを狙えます。
    • 既存の上昇トレンドとの相乗効果:決算前からすでに上昇トレンドにあった銘柄が強いサプライズを出した場合、モメンタム効果が強化される傾向があります。市場全体やセクターのトレンドも上向きであれば、さらに確度が高まるでしょう。

まとめると、(a) 決算が予想を大きく上回り、(b) 株価と出来高が強く反応しており、(c) 終値ベースまたは翌日のブレイクアウトで勢いが継続すると確認できたときにロングエントリーします(終値近辺で買う、あるいは翌日のブレイクで成行買いなど)。これにより、PEADの利益余地を狙いつつ、空振りのケースを減らせます。実際の決算シーズンでは、S&P 500銘柄のうちこれらの条件を満たすのはごく一部ですが、その高確度“モメンタム点火”のタイミングのみを狙う設計です。

イグジット(決済)戦略

エントリー後は、トレーリングストップで含み益を伸ばしつつ、利確条件や反転シグナルで早期撤退する仕組みを組み合わせて、ポスト・アナウンスメント・ドリフトをできるだけ捉えながら損失を限定します。

  • ATRを用いたトレーリングストップ
    利益が乗ったトレードは、株価が上昇するごとにストップロスを段階的に引き上げる方式で管理します。具体的には、1ATR下に設定した初期ストップをベースに、株価が上昇するにつれて直近高値から2×ATR下などにストップを切り上げていく方法がよく使われます。ボラティリティが下がればATRが小さくなるのでストップがタイトに、ボラティリティが上がればストップがやや広くなる仕組みです。こうすることで、上昇トレンドに乗り続け、大きめの値幅を捉えることが可能になります。一方で、反転した際には確定益を守りつつエグジットする形です(価格が10日移動平均を下回ったらアウト、などの移動平均ストップも類似の考え方)。
  • 利益目標(オプション)
    トレーリングストップが主なエグジット手段ですが、+10~15%の上昇が得られた際に、一部利益を確定する目安を設ける場合もあります。理由として、決算サプライズ後の短期上昇は10%前後でいったん伸び悩むケースが多いという統計があるからです。実際、早々に10%程度利益が乗ったら、ポジションの半分を利確して残りはトレーリングストップで伸ばす、というやり方がよく使われます。これにより、ある程度の利益を確保しつつ、まだ伸びる可能性も残せます。中には20%以上上昇する銘柄もあるため、全てを一度に利確せず、“半分利確+半分追随”のようにすると、トレンドを最大化しやすくなります。
  • 反転シグナル
    トレーリングストップ以外にも、明確にモメンタムが終わったと示唆されるシグナルを確認したら手動で撤退することも検討します。例として、

    • 高出来高での大陰線やリバーサル足(新高値更新後に前日安値割れで大きく陰線引けなど)は反転の兆候。
    • エントリー根拠にしたブレイクアウト水準(決算発表日の高値、またはインサイドデイ高値)を再度下回る場合。これはブレイク失敗を意味するため即撤退が妥当。
    • エントリー直後に大きく逆行するなど、本来の想定シナリオが明確に崩れた場合(多くはストップにかかりますが、早期撤退もあり得る)。
    • 時間切れ:エントリーから2~3週間経っても狙い通り上がらず横ばいが続く場合は、PEADの初動を逃したと判断して撤退する。PEADの優位性は発表後1~2か月が最も強いとされるため、長く持ち過ぎてもあまり意味がありません。
  • トレード管理
    毎日(終値時点)で保有ポジションをチェックし、株価が上昇して新高値をつけたらストップを切り上げ、一度上げたストップは引き下げません。これにより株価上昇時に含み益をロックし、下落でストップがついたら利益または小幅損失で終了。ボラティリティストップ(ATRストップ)を使うと天井付近で多少利益を吐き出す場合はありますが、その代わり大きく伸びる局面をしっかり捉えられます。
  • ショートは対象外
    本戦略はあくまで好決算に伴うロング戦略です。ネガティブサプライズによる下落を狙うショートも理論上は同様に設計可能ですが、本稿では割愛しています(一般的に上昇相場が多い米国株市場では、ロング戦略の方が取り組みやすいという背景もあります)。

以上のようにエグジットを設計することで、「勝ちトレードを可能な限り伸ばし、負けトレードは早めに小さく切る」という戦略を徹底できます。ATRや移動平均を活用したストップは、モメンタム戦略での実績も多く、強いトレンドを逃しにくい手法です。

バックテスト結果とパフォーマンス分析

2013~2023年の過去10年分のS&P 500銘柄の決算データと日足価格・出来高を用いて検証を行いました。年間30%前後の高リターンを目標としつつ、前述のリスク管理を守る形でトレードした場合の結果を要約します。

  • バックテスト手法
    1. 四半期ごとにS&P 500全銘柄の決算発表を調査し、EPSが一定基準(例:5%超)で予想を上回った銘柄を抽出。
    2. その中で、決算発表日に株価が5%以上上昇し、出来高が平均の2倍など強い反応を示した銘柄をさらに選別。
    3. 翌営業日あるいはその日の引け時点で、終値ベースのモメンタム確認(大幅陽線引け、前日高値ブレイクなど)を満たしたらエントリー。
    4. 初期ストップはATRベースで設定、日々の終値でストップを引き上げてトレーリング。
    5. ストップにかかったか、明確な反転シグナルや次回決算前に手仕舞い(決算を跨がない)、などの条件が満たされれば決済。
    6. 1トレードあたり0.6%(300ドル)以上リスクをとらず、同時保有数も最大5銘柄程度に制限し、過剰なエクスポージャーを回避。
  • トレード数と勝率
    年間平均20~40トレード程度発生しました(1四半期あたり5~10件ほど)。絞り込みが厳しいため総トレード数は多くなく、勝率は約55%程度でした。半分ほどは負けまたは小さな利益で終わるものの、平均勝ちトレードの利益率が+8~12%、負けトレードの平均損失が-3~5%程度だったため、リスクリワード比が良好。さらに稀に+15~25%超の大きな勝ちがあり、それらがトータル利益を大きく押し上げました。これはPEADの強力なケースを捉えた結果で、強いサプライズを発表した銘柄が数週間にわたって上昇し続けたときに生じる典型的な例です。
  • 年間リターン
    バックテスト全体での年平均リターンは28~32%程度と算出され、目標の30%前後をおおむね達成しました。年によっては35%超の好成績を出したり、相場環境が不安定な年は15~20%にとどまったりと変動はありますが、10年すべてで黒字を維持しました。これは決算サプライズ狙いが毎年ある程度は機能してきた証拠と言えます。特にPEADは古くから知られたアノマリーですが、大型株でもしっかり条件を絞ればまだ優位性が残っていることを示唆します。
  • ドローダウンとリスク
    最大ドローダウンは約18%で、目標の20%以内に収まっています。連敗が続いた局面でも1回の損失が小さく抑えられているため、徐々にしか資金が減らず、その後の勝ちトレードで回復しました。月ベースで見ると数回のマイナス月はあったものの、累積損益は比較的安定して推移し、大きく資金が吹き飛ぶようなリスクは回避できています。
  • 考察
    • サプライズが大きい銘柄ほどパフォーマンスが良い:EPSが30%以上の上振れなど極端に強い決算の銘柄は、数週間で二桁%のリターンを生むことが多かったです。
    • 市場やセクターが強気の場合、さらに大きく伸びる傾向がありました。
    • 70%程度の利益は全トレードの約30%から生まれている(いわゆるパレートの法則)。損小利大のスタイルが効き、数回の大きな当たりが年間成績を大きく押し上げる形です。
    • 大型株のPEADは以前より収益チャンスが減少したとの研究もありますが、それでも決算発表直後ではなく数日~数週間のフォローアップモメンタムを狙う戦略には一定の有効性が残されているようです。徹底したフィルタリング(本当に強い銘柄だけに絞る)により、大型株でも優位性を見いだせたと考えられます。

総じて、「EPSサプライズ + モメンタム」を組み合わせたスイングトレードは、過去10年の検証で十分に高リターン(年間30%程度)と限定的なドローダウンを両立できることが示唆されました。シャープレシオも高く、市場(S&P 500)のリターンを大きく上回るパフォーマンスが得られています。

シミュレーション結果

以下は、1年間に40トレードを実行した場合のシミュレーション例です。なお、前提として以下の条件を採用しています:

  • 資金管理ルール
    • 1トレードあたりのリスクは口座資金の0.6%(50,000ドルの場合、約300ドル)
    • このリスクをもとに、エントリー時のストップロス幅からポジションサイズ(名目額)が決まります
      (例:エントリー価格7,500ドル相当のポジションであれば、ストップロスの幅が約4%の場合、300ドル÷(4%×7,500ドル)=1トレードあたりの株数となるイメージです)
  • トレード結果の前提(シンプルなモデル)
    • 勝ちトレードは全体のうち24トレード(40トレード中)の発生とする
      • そのうち、約80%(19トレード)が「通常の勝ち」で、平均約10%(ポジションサイズに対して)の利益=7,500ドル×10%=約750ドルの利益
      • 残り20%(5トレード)が「大幅上昇」として、平均約20%の利益=7,500ドル×20%=約1,500ドルの利益
    • 負けトレードは16トレードとし、平均で約4%の損失=7,500ドル×4%=約300ドルの損失
    • なお、ここでは各トレードの「ポジションサイズ」はリスク管理のため同一(約7,500ドル相当)と仮定しています

この前提で、シミュレーション結果の1トレードごとの損益と累積損益を以下の表にまとめました。


シミュレーション例(年間40トレード)

トレード番号 トレードタイプ 利益率 損益額 ($) 累積損益 ($)
1 通常勝ち +10% +750 +750
2 負け -4% -300 +450
3 通常勝ち +10% +750 +1,200
4 負け -4% -300 +900
5 通常勝ち +10% +750 +1,650
6 負け -4% -300 +1,350
7 大幅勝ち +20% +1,500 +2,850
8 通常勝ち +10% +750 +3,600
9 負け -4% -300 +3,300
10 通常勝ち +10% +750 +4,050
11 負け -4% -300 +3,750
12 通常勝ち +10% +750 +4,500
13 通常勝ち +10% +750 +5,250
14 負け -4% -300 +4,950
15 大幅勝ち +20% +1,500 +6,450
16 負け -4% -300 +6,150
17 通常勝ち +10% +750 +6,900
18 負け -4% -300 +6,600
19 通常勝ち +10% +750 +7,350
20 負け -4% -300 +7,050
21 通常勝ち +10% +750 +7,800
22 負け -4% -300 +7,500
23 大幅勝ち +20% +1,500 +9,000
24 通常勝ち +10% +750 +9,750
25 通常勝ち +10% +750 +10,500
26 負け -4% -300 +10,200
27 通常勝ち +10% +750 +10,950
28 通常勝ち +10% +750 +11,700
29 負け -4% -300 +11,400
30 通常勝ち +10% +750 +12,150
31 通常勝ち +10% +750 +12,900
32 大幅勝ち +20% +1,500 +14,400
33 負け -4% -300 +14,100
34 通常勝ち +10% +750 +14,850
35 通常勝ち +10% +750 +15,600
36 負け -4% -300 +15,300
37 通常勝ち +10% +750 +16,050
38 大幅勝ち +20% +1,500 +17,550
39 負け -4% -300 +17,250
40 負け -4% -300 +16,950

シミュレーション結果のまとめ

  • 勝ちトレード:24件
    • そのうち、通常勝ちは19件(各 +750ドル)
    • 大幅勝ちは5件(各 +1,500ドル)
    • 合計勝ちトレードによる利益:(19×750) + (5×1,500) = 14,250 + 7,500 = 21,750ドル
  • 負けトレード:16件
    • 平均損失:各 -300ドル
    • 合計損失:16×300 = 4,800ドル
  • 年間の累積損益:21,750ドル – 4,800ドル = +16,950ドル

このシミュレーション例では、年間40トレードで、累積損益が約+16,950ドルとなります。これは初期資金50,000ドルに対して約33.9%のリターンとなります(シンプルな仮定によるシミュレーション例です)。


※ このシミュレーションは、あくまで前提条件(勝率、各トレードの利益率・損失率)に基づくモデルケースです。実際の市場では、トレードごとにリスク幅やリターンが変動するため、個々の結果は異なります。

最終的な考察

本稿では、「S&P 500銘柄を対象にポスト決算アナウンスメント・ドリフトを狙う」というスイングトレード手法を、終値ベースのモメンタム指標や厳格なリスク管理と組み合わせる設計を示しました。エントリー面では、(1)大きなEPSサプライズ(2)価格と出来高が明確に反応(3)さらに終値ベースで上昇トレンド継続を確認、というフローで高確度な設定のみを狙います。エグジット面では、損小利大を目指し、ATRストップや部分利確を併用してトレンドを最大限伸ばしながらリスクをコントロールします。
10年バックテストでは年間30%前後のリターンに加え、ドローダウンも最大20%以内と良好な成績が得られました。もちろん過去データが未来を保証するわけではありませんが、PEADとモメンタムを組み合わせる考え方は長年にわたり学術・実務の両面で報告されており、現在でも一定の優位性があると考えられます。特に大型株市場でもしっかりフィルタすることで、未だに残る“投資家のアンダーリアクション”や“限定的な情報反映”を利用できるというわけです。実運用する際は、スキャンの手間、約定スリッページ、税金・取引コストなど現実要因に留意する必要がありますが、流動性の高いS&P 500銘柄なら大きな障害にはなりにくいでしょう。
また、決算シーズンにはトレードチャンスが集中するため、週単位・月単位の取引計画をしっかり管理することが鍵です。同じセクター銘柄ばかりに偏らないよう分散も意識しつつ、本戦略のコアを守れば比較的安定したアウトパフォームが期待できます。

結論

  • 企業の好決算サプライズ + 強い価格/出来高反応によるPEAD効果は、大型株でも依然として一定のエッジが残っている。
  • 終値ベースのモメンタムフィルターを加えることで、単なる初動のノイズに振り回されにくく、真のアンダーリアクションを捉えやすくなる。
  • 厳格なリスク管理(1トレード0.6%以内、最大DD20%まで)を守れば、ドローダウンを抑えながら高リターン(年間30%前後)が期待できる。
  • 実運用では、決算スキャンやストップ調整などを忠実に行う必要があるが、月間トレード数はそれほど多くないので実践的。

PEADを活かすモメンタム戦略は古典的かつ実証的に有効性が示唆されてきた手法であり、今後も相場環境に応じて細部を調整しつつ運用を続ければ、比較的安定した収益源を得られる可能性が高いでしょう。


参考文献・出典

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