先週の米国相場は、大型ハイテク銘柄が相場の上昇を牽引し、ラッセル2000以外の株価指数は上昇しています。中小型株については売り手が優勢な状況で、まだ相場全体に強い買いが入っているとは言えない状況ですが、株式相場の地合いは8〜10月と比較すると大きく改善しています。
コモディティについては原油、天然ガス、金属素材共に下落しており、景気の低迷による需要の低下を織り込むような動きが見られます。
今週は11/14にCPI、11/15にPPIが発表されます。インフレの推移と共に発表後の金利の反応を確認していきたいと思います。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
投資家心理は、強気派が前週の24.3%から42.6%に急増しています。それに伴い弱気な投資家は50.3%から27.2%に減少しています。
米国債10年物の利回りは+1.71%の上昇でした。4.5%付近まで下がると反発する動きが見られ、2週連続で下ヒゲをつけて終えています。直近は横ばいかやや上目線で推移しそうに見えます。
VIXは-4.90%下落し、14.18まで下がっています。短期的には下落トレンドとなっており、上昇する気配はまだありません。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートです。11月の上げ幅は7.95%まで拡大しています。ハイテク銘柄特に大型株が上昇を牽引しています。
ナスダックの週足チャートです。先週は2.70%の上昇でした。7月から始まった短期の下落トレンドを明確にブレイクアウトしています。
ナスダックの高値–安値銘柄数は-80まで下落し、マイナス圏内に戻っています。指数が強いのに比べて安値を更新している銘柄が多く、時価総額の大きなごく一部の銘柄に買いが入って指数を押し上げている状況であることが分かります。
ナスダックの銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合についても前週と比較して下落しており、指数に対する寄与度が高い銘柄以外はあまり強くない状況です。まだ上昇トレンドには転換できていません。200移動平均線を超えている銘柄の割合は強気相場の時には50%を超えて推移しますので、まだ低い水準で推移しています。
ナスダックの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合はやや下落していますが、MACDがクロス仕掛けており、上昇トレンドに転換しようとしています。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。11月の上げ幅は3.72%となっています。
ダウの週足チャートです。先週は0.40%の小幅な上昇でした。短期の下落トレンドラインを上にブレイクアウトし、下ヒゲをつけて終えています。
ダウの銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合はやや下落しています。下落トレンドは終わりかけていますが、まだ上昇トレンドには転換できていません。
ダウの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は前週に比べて増加し、MACDもクロスして上昇トレンドとなっています。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。11月の上げ幅は5.36%となりました。
S&P500の週足チャートです。先週は1.10%の上昇でした。7月から始まった下落トレンドのラインをブレイクアウトしています。
S&P500の銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合は前週に比べてやや下落しています。
S&P500の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は50%付近を推移しています。MACDがクロスしてトレンドが転換しています。
S&P500のハイテク銘柄のみに限定して50日移動平均線を超えている銘柄の割合を確認すると、指数全体よりも先行して上昇しており、ハイテク関連の銘柄が相場の上昇を牽引していることが分かります。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。11月の上げ幅は2.68%まで縮小います。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は-3.99%と比較的大きな下落でした。大型株との連動性が高い他の指数が上昇する中でラッセルだけが下落しており、中小型株に対する資金の流入はまだ限られている状況です。
ラッセル2000の銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合は、前週と比較して下落し、9EMAの移動平均線を割り込んでいます。
ラッセル2000の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は前週に比べて大きく下落しています。
コモディティ先物の分析
原油価格は-4.36%と比較的大きな下落が3週に渡って続いています。74.5付近で買い手が現れて反発し、下ヒゲをつけて終えています。
天然ガスは-13.71%の大きな下落となりました。上昇トレンドラインを割り込みそうな水準まで下落してきています。
金は-3.08%の大きな下落で20EMAを割り込んでいます。一度ブレイクした下落トレンドラインの付近まで戻ってきており、今週はトレンドラインでの反発を試すような動きとなりそうです。
銅は-2.57%の下落でした。2023年初頭から始まった下落トレンドラインに向けて上昇し、ラインに触れたところで反落しています。引き続きのトレンドは下のようです。
小麦は+0.48%と小幅な値動きで横ばいを続けています。長期的なトレンドは下方向です。
セクター分析
先週は情報技術、通信技術が大きく上昇し、エネルギー、公益事業、不動産が下落しました。
業種別に見ると紙製品、半導体、家電、半導体装置、ソフトウェアが強く推移しています。一方、デパート、ソーラー、オフィスREIT、金、銀が下落しています。
個別銘柄の動向
MSFT、AAPL、GOOGL、META、AMZN、NVDA、ADBEなどの大型のハイテク銘柄を中心に買い手が集まり、エネルギー、地方銀行、バイオテクノロジー、金属素材、農業素材などが弱い動きとなっています。
今週の戦略
強気な投資家が大幅に増加し、大型株が牽引する形で相場が上昇を始めています。先週は決算後の動きが良かった銘柄のポジションを少し追加しています。相場の上昇が中小型株に波及していくことを確認できたら、さらにスイングトレードのポジションを増やしていきたいと思います。
2023 Q3の決算発表は後半戦に入っています。ポジティブなサプライズで大きく上昇する銘柄がある一方で、コンセンサス予想に届かなかった銘柄は強い売りが入って急落する反応も見られ、ポジションを決算当日まで持ち越すのはリスクが高い相場環境です。
決算発表前にはポジションを閉じ、決算後に上昇することを確認できた銘柄を対象にエントリーをしていきたいと思います。
監視銘柄
今週の監視銘柄です。先週の決算後の値動きを踏まえて、APP、KD、LNWを監視銘柄に加えています。
監視銘柄のチャートはこちら。
決算予定
2023 Q3の決算発表も中盤を過ぎ、発表銘柄数はだいぶ落ち着いてきました。
今週はMNDY、CAMT、HD、PANW、WMT、AMAT、GPSの決算に注目したいと思います。
11/13
- MNDY
- NABL
- AFYA
11/14
- ARMK
- CAMT
- HD
- OCSL
- ONON
- IGIC
11/15
- FI
- GFF
- GLBE
- TJX
- CSCO
- PANW
- SNEX
- TTEK
11/16
- BRC
- JJSF
- WMG
- WMT
- WSM
- AMAT
- BZH
- DLB
- GPS
- ROST
- WWD
11/17
- SPG