先週に発表された4月のCPI、PPIの結果からインフレ率は市場の想定通り下落していることが確認され、なかなか下落してこなかった家賃インフレ率もついに下落が始まり、下落を開始するのが遅かったサービスインフレ率も下落が加速しています。これを受けてインフレ率の低下と共に景気の低迷が進むことが意識される形となり、先週の米国相場は、エネルギー、金属素材の景気に敏感なセクターが大きく下落しました。
インフレ率の推移
家賃インフレ率の推移
サービスインフレ率の推移
先週はGOOGL、AMD、AMZN、中小型ソフトウェア、ソーラー等の一部の銘柄が上昇を牽引し、ナスダックのみ上昇を継続している一方で、他の株価指数は下目線で推移しています。
引き続き、好決算などのポジティブなサプライズがあった銘柄には強い買いが入っており、景気が低迷する状況でも成長を維持できる可能性のある厳選された銘柄に資金が流入しているように見えます。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
S&P500の銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の推移は、50%を下回っており、緩やかな下落トレンドとなっています。
S&P500の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の推移も50%を下回った状態で緩やかな下落トレンドとなっています。3月後半から始まった短期の上昇トレンドは勢いを失っています。
ナスダックの高値–安値銘柄数は-104まで下落しています。ナスダック指数自体は上昇していますが、高値を更新している銘柄が少なく、安値を切り下げている銘柄が多い状況であり、ごく一部の銘柄が指数を押し上げていることが分かります。
VIXは17付近に留まっていますが、MACDは緩やかな上昇傾向となっており、何かのきっかけで上昇する可能性が高くなってきています。
米国債10年物の利回りは+0.84%と小幅な値動きで横ばいとなっています。今のチャートからは短期的な方向性は定まっていないように見えます。
ドル指数が+1.40%と強い上昇で3週間続いたレンジをブレイクアウトしています。2022年は金利の動きと同期して上昇または下落する傾向がありましたが、今週のドル指数の動きは金利が横ばいしている中での上昇となっており、これまでと異なる動きをしています。
ナスダックは+0.51%と小幅な上昇となっています。2023年1月から始まった上昇トレンドのチャネルの範囲内で推移しています。
ダウは-1.24%下落し、短期の下落トレンドを開始しています。
S&P500は-0.36%の下落となっています。緩やかではありますが、ダウと同様に短期の下落トレンドを開始しています。
ラッセル2000は-1.17%の下落で4月から緩やかな下落トレンドとなっています。株価指数の中では最も弱い動きとなっています。
原油価格は-1.77%の下落で4週連続の下落となっています。長期的には7月からの下落トレンドを継続しています。
天然ガスは+6.04%と大きく上昇し、前週の下落から反発してきました。2.0の水準で反発する動きが3回続いており、底打ちを探る動きとなっています。
銅価格は-3.98%の大きな下落となりました。2023年1月から始まった下落トレンドのチャネルの範囲で推移しています。
金価格は2週連続で大きな上ヒゲをつけて横ばいとなっています。ドル指数が強く上昇しているため、金価格が上昇しずらい状況ですが、2022年10月から始まった上昇トレンドは維持しています。
鉄鋼価格は-0.63%と小幅な下落となっています。2021年後半から始まった下落トレンドの中にあります。
小麦価格は-3.82%下落しました。2022年10月から始まった下落トレンドのチャネルの範囲内で推移しています。
バルチック海運指数は週間で変動なしで横ばいとなっています。
セクター分析
通信サービスのみが力強い上昇となっています。素材、エネルギーが下落しており、特に素材セクターの下げ幅が大きくなっています。
業種別のパフォーマンスを確認すると、ソーラー、インターネットコンテンツが非常に強い上昇となっています。銅、銀、金などの金属素材が全体的に大きく下落しています。化学素材、肥料なども下落しており、素材関連が全般的に弱い傾向が見られます。
個別銘柄の動向
ソフトウェア(ZS、PANW、CRWD、PLTR、NOW、U、DDOG、SNOW、APP)、インターネットコンテンツ(GOOGL)、半導体(AMD)、エンターテインメント(NFLX)、インターネット小売(AMZN、SE)、自動車(TM、LI)、ソーラー(FSLR、MAXN、SHLS、ARRY)、バイオテクノロジー(NVO)、医薬品流通(MCK)、公共電力(VST、PAM)が上昇しています。
大きく下落している銘柄はINTC、DIS、DHR、NKE、BUD、DHR、NTR、SCCOです。
今週の戦略
株式指数の動きを見ると、GOOGL、AMZN、中小型ソフトウェア、ソーラー等の一部の銘柄が上昇し、ナスダックは上昇を継続していますが、エネルギー、素材、地方銀行が弱い動きとなっており、景気が低迷することを折り込んで相場全体としてはやや下目線で推移しています。
一方で、決算発表や報道でポジティブなサプライズがあった銘柄には力強い買いが入り、景気が悪くなっても成長を維持できる可能性がある銘柄を厳選して機関投資家の資金が流入しているように見えます。
今週は、5/16に小売売上の指標が発表されると共に、TGT、WMT、HDなどの大手小売業の決算発表が予定されています。小売業界の現在の状況と今後の見通しに対して、相場がどのように反応するのかを確認していきたいと思います。
監視銘柄
先週に力強い上昇が見られたソーラー(ARRY、FSLR、MAXN)、ソフトウェア(DDOG、PANW)の銘柄を監視対象に追加しています。
監視銘柄は以下の通りです。
監視銘柄のチャートはこちら。
監視銘柄の中で今週決算発表を予定している銘柄はDT、NU、STNE、ONONです。
決算予定
今週はNU、HD、SE、ONON、TGT、WMT、STNE、DTの決算に注目です。
5/15
- NU
- MNDY
5/16
- HD
- ONON
- SE
- AGYS
5/17
- TGT
- STNE
- DT
- CPRT
5/18
- WMT
- EXP
- GOOS
- AMAT
- CSIQ
5/19
- DE
- DECK
- FL
- NNOX