はじめに
今週の米国市場は金利4.5%の攻防が続き、VIXも20台前半でやや不安定な動きを見せています。主要指数は高値圏にありますが、市場全体の盛り上がりはまだ限定的で、特定のセクターやテーマ銘柄への選別的な投資が目立ちます。
エネルギーやコモディティ関連が強く、大型テックは選別しながらの投資、小型株は出遅れ感が顕著です。兼業トレーダーとしては防御重視(7割)、攻撃はテーマ性の強いスイングと決算プレイ(3割)というバランスが適切でしょう。
1. 先週の振り返りと検証
大型テック主導でNASDAQ100が3週連続上昇を達成。一部の銘柄で利確を行い、コア銘柄は引き続き保有しています。
一方、金利は予想通り4.36%〜4.50%のレンジで動きましたが、VIXが予想以上に高止まりしました。資源株はWTI原油が12%上昇、ウラン関連が26%の大幅高となり、想定通りの成果を上げています。
反省点は マーケット・ブレス、上昇トレンド銘柄比率の弱さを軽視してしまったことです。今週はこれを念頭にポジションサイズを調整します。
項目 | 6/9 週戦略(先週) | 結果 | 評価 / 今週への反映 |
---|---|---|---|
大型テック主導の押し目買い | NASDAQ100 が 3 週続伸で達成 | ✅ | 一部利確・コア保有継続、ハイバリュエーションは逆指値を切り上げ |
金利 4.36 % サポート注視 | US10Y は 4.36–4.50 % レンジ維持 | ⏸ | 上限ブレイクならリスク抑制、下限割れなら買い増し余地 |
ボラ低下で VIX 17 台想定 | VIX 20 台前半で反発 | ❌ | ヘッジ比率を 0 → 10 % へ引き上げ、インプライドボラに注意 |
スパイス:資源株 | WTI +12 %、URA +26 % | ✅ | テーマ継続、押し目狙い |
2. 今週の相場環境
2‑1. 金利・債券
米10年債利回りは4.36%〜4.50%の狭い範囲で推移。
もし4.50%を超えると株式市場のバリュエーションに圧迫感が生じるため、レバレッジ比率を抑える方向で考えています。一方、4.36%を割るなら株式の買い場と見ています。
2‑2. ボラティリティ(VIX)
VIXは現在20〜23の範囲内ですが、直近高値の26が要警戒ライン。
VIXが23を超えるようなら新規の買いを一時停止、17以下ならヘッジを巻き戻すという柔軟な対応が必要です。
2‑3. 市場内部(Breadth / Uptrend Ratio)
市場全体の上昇銘柄比率は依然として低調なまま(約15%)。
リスクを抑えつつ、勝率の高い銘柄を丁寧に選ぶ必要があります。
2‑4. セクター&コモディティ
今週注目するセクターはエネルギー(WTI原油の動向次第)、ヘルスケア(安定性と成長性)、ウラン(金利影響が少なくテーマ性が強い)、金(安全資産として高値安定)。
逆に金融と景気敏感小売・旅行関連は避ける方針です。
強い | コメント |
---|---|
エネルギー | WTI が $76 試し。XLE, XOP, 油田掘削 (SLB, HAL)。 |
ヘルスケア | LLY、MRK 高値追い。防御+グロースの両面で資金流入。 |
ウラン | URA ブレイクアウト。カメコ (CCJ) なども追随。 |
金 | 金先物は史上高値圏。GDX/GDXJ にモメンタム。 |
WTI(+12.63%)
ウランETF(+7.40%)
金(+3.17%)
弱い・注意 | 理由 |
---|---|
金融 | 長短金利差縮小でマージン圧迫、株価アンダー。 |
景気敏感小売・旅行 | 景気減速懸念で続落。DAL, AAL, EXPE 等は戻り売り。 |
3. 今週のトレード戦略
3‑1. コア(守り)
大型テックの中でも業績の良いMSFT、NVDA、ORCLを中心に保有を継続。
ヘルスケアではLLYやJNJの押し目を狙います。
3‑2. スイング(攻め)
テーマ | 銘柄 / ETF | エントリー | 目標 / 損切り |
---|---|---|---|
原油高 | XOP, SLB, HAL | WTI 73 $ 支持で反発確認 | 76–80 $、−4 % ロスカット |
ウラン | URA, CCJ | 押し目(EMA8 付近) | +15 %、−6 % |
金 | GDXJ | GC 3,400 定着 | +10 %、週終値でEMA21割れ |
AI周辺 | AVGO, MU | NASDAQ 高値押し目 | +12 %、直近安値割れ |
3‑3. 決算トレード
日 | ティッカー | 期待 | 戦い方 |
---|---|---|---|
月 After | LEN | 住宅着工強さ | ギャップアップなら ORB 戦略、3 % SL |
火 Before | JBL | AI サーバー需要 | ギャップ+ブレイクで短期回転 |
水 Before | GMS | 建材 | ガイダンス注視、弱ければショート候補 |
金 Before | KR | 食品小売 | ボラ低、失望売りでリバ狙い |
金 Before | ACN | Gen‑AI 需要 | ガイダンス良ならスイング継続 |
3‑4. リスク管理
- ポジション上限 – 新規 2–3 銘柄 / 日、総建玉額 = 資金の 60 % 以内。
- ヘッジ – S&P500 インバース (SH) or ATM SPY Put をポートの 10 % 相当で保険。
- 経済指標 – 6/18 FOMC 議事要旨、6/20 フィラデルフィア Fed 指数に注意。
4. ウォッチリスト
- 高値ブレイク候補 : ORCL, TSLA, CCJ, URA, SLB, MU, LLY
- 押し目拾い : MSFT(50 MA 付近)、XOM (72–74 $)、GDXJ(EMA8)
- 戻り売り : AAL, DAL, AAPL (200 MA 割れリスク)
5. 兼業トレーダー向け 実践アクション
- 月曜朝(出勤前) : ウォッチリストのプリマーケット動向を確認し、OCO 注文をセット。
- 昼休み(12 PM PT) : ドル円と VIX をチェック。ボラ急騰なら即座にポジション縮小。
- 15:45 ET(引け 15 分前) : 利確/損切り・トレーリングストップを調整。
- 週末 : パフォーマンスを戦略別にレビューし、勝率とリスクリワードを記録。
おわりに
今年後半の米国市場は「金利・エネルギー・AI」の三つのテーマがポイントです。
日々の細かな指数の動きに振り回されず、テーマに沿ったルールベースの取引を心掛けていきましょう。
兼業トレーダーでも、しっかりとしたルールを守ることで結果は必ずついてきます。皆さん、良いトレードを!
※本記事は情報提供を目的としたもので、投資判断はご自身の責任で行ってください。
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