先週、10年債利回りが小幅に低下し、VIXは16%超の急落──市場の“恐れ”が霧散する一方で、NASDAQとS&P 500は力強く反発しました。牽引役はテクノロジー、一般消費財、通信サービス――なかでも TSLA(+9.8%)、NVDA や銅高追い風の FCX が先導し、半導体・自動車・銅関連へ資金が雪崩込みました。原油・天然ガス・金は一服する一方、銅は3週連続高で景気敏感度を示唆。「V字回復」か「再度の底試し」か――鍵を握るのは今週のビッグテック決算(MSFT/META/AAPL/AMZN ほか)と PCE・雇用統計です。
この記事では①先週の市場構造とシグナルを5分で俯瞰し、②シナリオ別のリスク許容度別戦術を整理、③決算プレーと高配当PFのチェックリストまで具体例付きで解説します。
読み終えるころには、今週の相場で「どの局面で何を仕込むか」 がクリアになるはずです。では詳細を見ていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
米国債10年利回りは-1.80%下落。3週間前にブレイクした下落トレンドライン付近まで戻ってきている。トレンドライン付近で反発するかどうかが重要なポイント。
VIXは下落を継続。先週は-16.25%の下落。25以下まで下り、過去1ヶ月間の不安定な相場を脱する可能性が高まっている。
マーケットブレスは8MAの短いMAでは先週末に反転のシグナルが出ている。まだ中期トレンドは下落中を示すピンク色。関税騒動があった2018年末と同じような動きになるならV字回復。2022年のように景気悪化懸念が続く場合はここから何度か底を試す展開。現時点ではどちらのシナリオもあり得る。
上昇トレンド銘柄の割合は明確にトレンドの転換シグナルが出た。小さな逆ヘッド・アンド・ショルダーのようなパターン。もう一度ぐらい底を試す展開もあるかもしれない。このシナリオも想定して備えておくこと。
株価指数の分析
ナスダック週足チャートを見ると、過去2週間の高値を超え、かつ出来高の増加を伴った陽線で明確な反転のシグナルが出ている。次のターゲットは50EMAを乗り越えられるかどうか。
ダウはナスダック、S&P 500と比べると弱い動き。ダブルボトムを形成してこれから上昇しようとしている段階。40500の抵抗ラインを上抜けられるかがポイント。
S&P 500の週足チャートもナスダックと同様に前の週の高値を超えて強い反転シグナル。50EMAブレイクが上昇トレンドに転換するかどうかの確認ポイント。
ラッセル2000も過去2週間の高値を超えて反転を開始。下落の規模は異なるが、2023年11月初旬の値動きに似ている。
コモディティ先物の分析
原油は横ばい。65を明確に上抜けるまではトレンド転換待ち。
天然ガスは4週間連続の大きな下落。今のところ下落が止まる素振りは見られない。
金は3500に触れたところで売られて3300まで下落。下落時の出来高が増えており、天井を示す値動き。
銅は3週間連続で上昇。景気後退懸念は減少したと相場参加者は見ている模様。
セクター分析
情報技術、一般消費財、通信サービスが上昇を牽引し、ディフェンシブが弱い、上昇相場に見られる典型的な動き。過去1ヶ月で見るとエネルギーの下落が目立つ。逆張り高配当狙いならエネルギーもありか。
過去1週間の業種別パフォーマンスでは自動車、電子部品・機器、銅、半導体などが強く、AI投資に対する資金の戻りが見られる。トラック、健康保険、金が下げている。
個別銘柄ヒートマップ
大型ハイテク銘柄が軒並み上昇して相場全体の上昇を牽引。決算後に下げが大きいのはTMUS、PG、PEP、UNH、FI。
今週の戦略
先週の金曜日にマーケットブレスで反転シグナルが出てポジションを構築開始。週明けの相場の反応と各社の決算発表を確認しながらスイングポジションを追加していく。
以下は今後の相場のシナリオ別の戦略。
シナリオ別 × リスク許容度別 戦術マトリクス
シナリオ | マクロ前提 | 短期(1 – 4週) | 中期(1 – 3か月) | 長期(6 – 12か月) |
① V 字回復10年債利回り⬇️、VIX⬇️、主要指数が50 EMAを上抜け | 景気底入れ & EPS 回復 | ✅ QQQ/XLK を押し目買い(-3% ごとに段階追加) | ✅ SOXX/SMH をコア、EEM をサテライトで分散 | ✅ テック 50% + 高配当 ETF(SCHD) 50% を維持 |
② 二番底試し指数が50 EMAに頭打ち、指標軟調 | EPS 下方修正・PMI 軟化 | ✅ テック ETF を半分利確し SPLV/HDV へローテ | ✅ バリュー高配当(XLE・XLF)を配当再投資 | ✅ 現金 30%・短期債 ETF 30%・生活必需品+公益 40% |
③ 下降トレンド再開債利回り反騰・50 EMA明確割れ | 利下げ遅延・クレジットスプレッド拡大 | ✅ β0.4 以下の KO・PEP・WMT などへローテ、レバ ETF 新規禁止 | ✅ SPLV + 高 FCF ディフェンシブ株で防御 | ✅ キャッシュ 60% + VRIG 等超短期債 ETF 40% |
週次ルーティン
- 日曜夜:10Y・VIX・50 EMA・マーケットブレスを確認しシナリオ判定。
- 50 EMA 上抜け(①)・頭打ち(②)・割れ(③)でのみリバランス。
決算プレー & 高配当 PF チェックリスト
今週の決算トレード・セットアップ
ティッカー | 予想 EPS / 売上 | 注目ポイント | 取引プラン | リスク管理 |
V | $2.56 / $9.1B | 決済量成長率 | 決算翌朝 15 min レンジ上抜けで買い / 2% 逆行で撤退 | 最大ポジション 3% |
MSFT | $3.20 / $66.9B | Azure 成長率 | ギャップアップ後 VWAP 押し目買い | VWAP 割れで全売却 |
META | $4.00 / $37.2B | リール収益化 | 決算翌日の出来高 > 3 日平均 ×2 を確認後に追随 | エントリー値から-3% で損切り |
AMZN | $0.85 / $147B | AWS マージン | ギャップ埋め後のリバーサルを待って買い | 寄り値 -2% でクローズ |
AAPL | $1.55 / $92B | 新製品サイクル | 決算カンファレンス後の高値更新でイン | 1 日目終値で高値割れなら手仕舞い |
LLY | $3.78 / $9.9B | ゼプバウンド | 決算後 50EMA サポート確認で段階買い | 50EMA 終値割れで撤退 |
共通ガイドライン
- ギャップ幅 ≥ 5% は寄り付きで 30% 利確し残りスイング。
- 出来高が前 3 日平均の 1.5 倍未満ならノートレ。
- 翌日の指数がリスクオフ(VIX > 前日 +10%)なら即時クローズ。
高配当 PF 用 ― 決算チェックリスト
保有 | 発表日 | 着眼 KPI | アクション例 |
DPZ | 4/29 | 北米既存店成長率 | Δ -1% 以内 → ホールド/-3% 超 → 10% トリム |
WM | 4/30 | FCF マージン > 22% | クリアなら DRIP 継続 |
SBUX | 5/1 | 中国 comps | 低下 ≤2% → ホールド/>3% → 15% 利確 |
KO | 4/29 | 価格ミックス効果 | オーガニック売上 >8% → 買い増し |
PFE | 5/2 | 非 COVID 売上伸長 | 伸長率 <5% → 5% トリムし VHT に振替 |
MO | 5/2 | 加熱式タバコシェア | ガイダンス悪化 → 配当再投資を一時停止 |
OKE | 5/2 | DCF カバー比率 > 1.3x | クリアなら継続保有 |
ADP | 5/1 | 流動性利息収入 | 上方修正あれば買い増し 5% |
MCD | 4/30 | 同店売上 & EBITDA | いずれも前年比 +5% 以内なら維持 |
CVX | 5/2 | Permian 増産 & CapEx | 原油下落下でも FCF 安定なら DRIP 継続 |
PF 全体ルール
- 減配アラート:Payout Ratio > 80% か FCF マイナス → 30% 以上を利確。
- YOC 改善 が目的。増配&株価調整で YOC > 4.5% になれば再投資。
- 決算翌日の出来高が 3 日平均の 0.8 倍未満ならニュース性低と判断し “様子見”。
決算スイング銘柄
先週、決算直後に打診買いでポジションを追加したのはEHC、FCFS、FIX。NOW、CRS、SXTも監視対象に追加。
監視銘柄のチャートは🔗こちら
今週の決算予定
注目はV、MSFT、META、AMZN、AAPL、LLY。
高配当メインの長期投資ポートフォリオで保有しているDPZ、WM、SBUX、KO、PFE、MO、OKE、ADP、MCD、CVXの決算確認も忘れずに。
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