先週の米国市場は全体として調整局面が続いたものの、一部に底打ちの兆しも見られました。
主要指数では、ナスダック、ダウ、S&P 500が1〜2%台の下落となる一方、小型株のラッセル2000は唯一プラスとなり、市場の底堅さを示しました。債券市場では米国10年債利回りが大幅に低下し、VIXも引き続き下落して市場の過度な恐怖心は後退しつつあります。
セクター別ではエネルギー、不動産、素材が上昇した一方、テクノロジー関連は弱含みました。コモディティ市場では原油、金、銅が上昇、天然ガスは下落が続いています。
マーケット・ブレス指数はまだ明確な転換シグナルを示していないため、全体的なトレンド転換を確認しつつスイングトレードの機会を探る戦略。今週はLMT、TSLA、GOOG、ISRGなど主要企業の決算発表に注目が集まります。
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それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
米国債10年利回りは-3.65%の下落で、前の週にブレイクしたトレンドラインを試すような動きをしています。今週は、先週の4.3-4.5%のレンジをどちらに抜けてくるかを監視したいと思います。
VIXは先週も下落を継続し、-21.01%の下落で29.66まで下がっています。2週連続して大きく下落して過度な恐怖は収まりつつあり、明確に下落トレンドに入ったと見て良さそうです。VIXが大きく上昇してから下落トレンドに入る局面では株式は上昇する確率が高まる傾向があります。
マーケット・ブレス指数はまだ下落から反転するシグナルは出ていません。下落トレンドを継続しています。10MAが過去に下落から上昇に反転することの多い青いラインに近づいてきています。VIXは落ち着いてきていますが、相場全体で見ると大きく下落してダメージを受けている銘柄が多い状況であることが分かります。反転のシグナルが出るまで待ち。
上昇トレンドの銘柄数の比率を確認すると、下落トレンドからは脱していますが、まだトレンドの転換シグナルとなる10MAの傾きはまだ下で明確なトレンド転換のシグナルは出ていません。過去に反転することの多い非常に低い水準にあること、ダブルボトムもしくはトリプルボトムのような形を作り始めており、短期的な底打ちは近い可能性。
ナスダックの分析
月足チャートを確認すると4月の下落幅は-4.82%のところまで戻しています。大きな下落からは強く反発しているものの、まだ20MAを下回っており、強気にはなりにくい状況。
週足チャートで確認すると、先週は-2.04%の下落でした。前の週の急上昇から一旦調整するような動きとなっています。まだ週間の変動幅が大きい状態が続いています。先週の18900から18200のレンジをどちらに抜けてくるかでその後の対応を変えていく必要がある局面。
ナスダックの高値-安値銘柄数は-39でプラス圏まであと少しのところで小さな動きになってきている。20MAは上向きに転換しているので、上昇する銘柄が増加してプラス圏に戻ることができれば相場全体としてポジティブ。
ダウの分析
ダウの4月の騰落率は-6.47%で4月の騰落率で見ると、最安値からは50%程度戻しています。大きく戻しているものの、ナスダックと同様に20MAを割り込んでいる状態。
週足チャートで確認すると、先週は-2.54%の下落でした。前の週の底打ち候補からの強い上昇の後の一時的な調整局面。先週のレンジをどちらに抜けてくるかを監視。
S&P 500の分析
月足チャートを確認すると、4月の騰落率は-5.38%のところまで戻しています。ナスダック、ダウと同様に20MAを超えられていない。
S&P 500の先週のパフォーマンスは-1.20%でした。ナスダック、ダウと比較すると下げ幅が小さい。大型ハイテク株以外に物色が広がっている可能性。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートを確認すると、4月の現時点の騰落率は-6.31%です。2022年、2023年の底の水準から強く反発して戻してきている途中。中長期で見ると、50MAを割り込んでいて株価指数の中では最も弱い。
先週のラッセル2000は+1.47%で株価指数の中で唯一プラスで終えています。他の指数と比較して大きく下落しているため、割安感が出て買われ始めていると推測。200MAを上抜けて上昇を続けられるかを見届けてから買い。
コモディティの分析
原油は+3.66%の上昇でした。前の週の底打ちのような下ヒゲ陽線から更に上昇継続。短期的には上目線。
天然ガスは-8.00%の下落で3週連続で比較的大きな下落。このまま下落を継続する場合、2980がサポートとして機能するかを見定め。タブルトップのようなパターンになっており短期的には弱気。
金は+2.58%の上昇でした。相変わらず強い上昇トレンド。まだ明確な天井の兆候は出ていないが、上昇の角度が急になりすぎてきているように見える。
銅は+4.78%の上昇でした。前の週の急落からの強い反発の流れを継続。出来高が落ち着いてきている。上昇の勢いが続くかを監視。
セクター分析
先週は原油価格の上昇と共にエネルギー株が上昇しています。不動産、素材についても強い上昇が見られます。下落しているのは情報技術、通信サービス、一般消費財です。過去1ヶ月のパフォーマンスではディフェンシブのみがプラスです。過去一ヶ月で最も大きく下落しているエネルギーと情報技術は相場が反転すれば大きく上昇する可能性。
先週の業種別パフォーマンスでは、石炭、貴金属、石油ガス採掘、ウランなどが上昇しています。REITも上位に食い込んで来ています。大きく下落したのは健康保険です。
個別銘柄の動向
先週は大型ハイテク株が弱く、銀行(HSBC、MUFG、RY)、エネルギー(XOM、SHEL)、製薬(LLY、JNJ)、タバコ(PM)、中国株(BABA、PDD)が上昇しています。先週は大型ハイテク株以外が上昇を牽引する動きが見られました。
今週の戦略
先週に引き続きマーケット・ブレス指数と上昇トレンド数を監視しながら、相場全体のトレンドが上昇に変わるのを待ちます。上昇トレンドへの転換を確認できたらスイングポジションを追加していきます。
また、今週はTSLA、GOOGの決算を受けて相場がどのように反応していくのかを確認していきたいと思います。
スイング監視銘柄
決算発表の後に強い値動きが見られるABT、ADMA、BYRN、NFLX、TRVを追加しました。
今週の決算予定
今週はLMT、TSLA、ISRG、GOOG、ABBVの決算に注目です。
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