【米国株】2025-03-10週の振り返りと今週の戦略(監視銘柄)

週間振り返り

先週の米国相場は株価指数の下落が続きましたが、金曜日に強く反発してやや値を戻しています。2月末から始まった株式相場の下落は4週間が経過し、相場全体で見ると極端に売られ過ぎの状態になっています。

先週の相場で特に売られていたのは、アパレル、靴、ホームセンター、航空会社などの消費者向けのビジネスを展開している銘柄です。これまで消費者の強い需要によって支えられてきた米国経済が急速に冷え込むことを想定した資金の移動が起きているように見えます。一方で、米国以外の国の株、特に中国系の銘柄に多くの資金が流入して、それにより強い値動きが現れている銘柄があります。

先週の金曜日の反発の流れが今週も継続するようであれば、短期的には上昇する確率が高くなってきていると思われます。しかし、株価指数の中長期的なチャートのパターンを見ると、昨年末に天井を付けて下落が始まった初期段階と見ることもできます。短期的な反発があったとしても、さらに下落するシナリオも想定した上で慎重にトレードをしていきたいと思います。

それではチャートを確認しながら、先週の相場を振り返っていきましょう。

先週の振り返り

相場環境

米国債10年利回りは+0.35%の上昇でした。2週続けて4.1%付近まで下落したところから反発して下ヒゲをつけています。この水準に明確なサポートがあることがわかります。まだ2025年4月から始まった短期的な下落トレンドを継続していますが、トレンドが反転する最初の兆候が現れていると見て良さそうです。

VIX先週はマイナス6.84%の下落でした。2月後半から始まった上昇トレンドラインを明確に抜けています。20を下回るところまで下落すれば、4週間ほど下落を続けてきた株式相場にも落ち着きが戻るかもしれません。

トレンドの銘柄数の割合は、直近2年間で最低の水準まで下落をしたところから最初の反発をしています。ようやく上昇トレンドに転換していく兆候が出てきました。ただし、この水準で上下を繰り返したり低位で推移する可能性もありますので、明確にトレンドが転換するまで待つのが良さそうです。

ナスダックの分析

ナスダックの月足チャートを確認すると、3月の下落率は現時点で−5.82%です。昨年の11月から3ヶ月間上ヒゲをつけた後に大きく下落しており、2021年末の天井付近で発生したチャートパターンに非常によく似ています。弱気なチャートパターンになっているため、中期的には警戒が必要な状況です。

ナスダックの週足チャートです。先週は-2.58%の下落でした。4週間連続の下落の後、50移動平均線を明確に割り込んだところから反発して比較的大きめの下ヒゲをつけています。短期的には一旦売られ過ぎの状態から反発する確率が高くなっていると言えそうです。

ナスダックの高値−安値銘柄数は小さなダブルボトムのようなパターンを作り、MACDにも反転の兆しが見られます。このままプラス圏内まで戻ることができれば、短期的に上昇トレンドに戻っていく確率が高くなります。

ダウの分析

ダウの月足チャートを確認すると、3月の現時点の下落率は-5.36%です。ナスダックと同様に、ダウのチャートの形状も2021年末の天井圏と非常によく似ています。2021年末は利上げが始まろうとしていた時で、現在は逆に利下げが始まろうとしている状況ですので、その後の動きが同じような経路をたどるかどうかは分かりません。チャートのパターンからは、さらなる下落の可能性があることも警戒しておく必要がありそうです。

ダウの週足チャートです。先週は-3.1%の大きな下落でした。2週間続けて大きな出来高を伴った下落となっています。ダブルトップの形を作っており、弱気なチャートパターンです。ナスダックと比較すると、ダウはもう1段の下落があってもおかしくなさそうなチャートに見えます。

S&P 500の分析

S&P 500の月足チャートを確認すると、3月の現時点の下落率は-5.43%です。昨年の7から8月の水準まで下落しています。チャートのパターンだけを見ていると、コロナショックによる大きな下落があった直前の2020年2月のチャートによく似ています。

S&P 500の週足チャートです。先週は-2.41%の下落でした。2週連続で非常に大きな出来高を伴って下落しています。これで売りが出尽くしたと見るのか、もう1段階の下げがあると考えた方が良いのかは難しいところですが、短期的には反転する確率の方がやや高いと思われます。中期的には反発した後のもう一度の下落があることを想定しておいた方が良さそうです。

ラッセル2000の分析

ラッセル2000の月足チャートを確認すると、3月の現時点の下落率は-5.66%に達しており、最高値からは17%程度の大きな下落となっています。2000の水準がサポートとして機能して小さく反発していますが、弱気なチャートとなっており、中期ではもう一段の下落もあり得る展開です。

ラッセル2000の週足チャートです。先週は-1.79%のやや小さめの下落でした。200移動平均線まで下がったところで反発して下ヒゲをつけています。まだ下落トレンドが続いていますが、短期的にはトレンドが転換する最初の動きが始まっているように見えます。

コモディティーの分析

原油は先週は+0.14%で横ばいでした。2週続けて65まで下がったところで買われて戻す動きが見られます。65まで下がったら買いたいと考えている勢力がいるようです。トレンドはまだ下落から転換はしていません。

天然ガスは先週は-6.71%の下落でした。4.6を超えたところで、激しく売られて大きな上ヒゲをつけて下落しています。上昇トレンドは維持していますが、短期的には弱気な値動きです。

金は先週は+2.99%の大きな上昇で新高値をブレイクしています。2週間前の大きな下落を取り戻して高値を更新しており、強い買い手が多くいる状況であることが分かります。

銅は先週は+3.95%の上昇でした。過去にレジスタンスとなっていた4.85の水準を明確に上抜けていますので、上昇が継続する確率が高まっています。

セクター分析

先週は、エネルギーと公益事業が上昇し、それ以外のセクターは大きく下落しました。特に大きな下落だったのはこれまで比較的大きな下落をせずに持ち答えてきていたディフェンシブです。相場全体の下落が4週間続いてきて、やや流れが変わってきたように見えます。過去1ヶ月間のパフォーマンスで見ると、大きく下落をせずに持ちこたえているのは、エネルギー、不動産、ヘルスケア、素材、公益事業です。

業種別の1週間のパフォーマンスを見ると、先週特に大きく上昇したのは銀、公共電力、貴金属、石炭でした。最も大きく下落してるのは家電です。その他には、靴、アパレル、ホームセンターなどの小売全体が非常に弱いです。ホテルや航空会社の株も大きく下落しており、強い消費に支えられて成長を続けていた米国経済が急速に悪化することを見越した取引が多くが見られます。

個別銘柄の動向

先週は、全体としては、エネルギー、公共事業、金、銀、銅などの金属、保険に上昇する銘柄が多く見られます。個別銘柄で見ると、NVDA、MU、INTCなどの半導体、CRWD、APP、SPOTなどが上昇しています。大きな下落が目立つのは、AAPL、HD、WMT、COST、NKEなどの家電や小売などの消費者向けのビジネスを行っている銘柄です。米国内の消費が急速に冷え込むことを想定した資金の移動が表れているようです。

今週の戦略

2月後半から始まった株式相場全体の下落は4週間が経過し、相場全体としても売られすぎの水準に達しています。短期的には反発する確率が高くなってきていると思われます。先週に引き続き今週も相場のトレンドが転換するのを待ちながら、トレンド転換後に短期スイングのポジションを作る銘柄を絞り込んでいきたいと思います。

月足チャートの中期的な動きを見ると、もう一段階の下落も想定される展開です。株価指数が先週の底値を再度割り込むことがあれば下落していくシナリオが濃厚となるため、その場合はロングのスイングトレードはしばらく様子見です。

スイングトレード監視銘柄

最近の決算後に大きく上げているBRK-B、EH、FUTU、PD、RBRK、SMTC 、ULTAを監視対象に追加しています。個別銘柄を見ていると中国株の中に強い動きの銘柄が見られますので、EH、FUTUはその対策として加えています。

監視銘柄のチャートはこちら。

https://elite.finviz.com/screener.ashx?v=211&p=d&t=ALHC%2CARIS%2CAVGO%2CBF-B%2CBRK-B%2CCRSR%2CDOCS%2CDOCU%2CEFC%2CEH%2CEXEL%2CEVER%2CFUTU%2CGRMN%2CHEI%2CIBM%2CMELI%2CNTNX%2COKTA%2CPD%2CPEN%2CRBA%2CRBRK%2CSPOT%2CSSRM%2CSMTC%2CTTWO%2CULTA%2CVEEV%2CZS&o=ticker

今週の決算発表

今週はWSM、ACN、MU、NKE、FDX、LENの決算に注目です。

  • MU・・・ガイダンスから半導体産業の需要を確認。
  • NKE、FDX・・・小売および流通から米国経済の見通しを確認。
  • LEN・・・中期的な住宅業界の見通しを確認。

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