先週の米国相場は、金利が大きく下落し、ドル安、株高が進みました。主要な株価指数は5週間連続の上昇となり、11月の月間の上げ幅は過去数年の中でも最も良い結果となっています。投資家心理も強気への傾きがさらに進み、50日移動平均線を超えている銘柄の割合を見ても買われ過ぎの水準で推移しています。
大型ハイテク株は週間では下落傾向の銘柄が多かった一方で、好決算を発表した中規模のソフトウェア銘柄、金鉱株に強い動きが見られます。
投資家心理が強気へ大きく傾いていること、また短期的に上昇している銘柄の割合が高くなってきていることから、ここからさらに上昇する確率よりも一旦上昇の勢いが止まる、もしくは上昇するセクターが入れ替わる確率が高くなってきているように見えます。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返ってきましょう。
先週の振り返り
相場環境
投資家心理は4週間連続で強気派が増加しています。強気派は48.8%に達し、弱気派は19.6%まで下がっています。過去の平均値から見ても相当に強気側に傾いている状況です。
2023年7月に相場が天井をつけた際は、強気派が51.4%まで上昇し、弱気派が21%に下がったところで相場の上昇がストップしていました。強気に傾き過ぎたところが天井となる可能性がありますので、今後の数週間は警戒を高めて相場の推移を観察していきたいと思います。
米国債10年物の利回りは-6.15%の大きな下落で抵抗線のあった4.2%を下回っています。
VIXは週の前半に一時的に上昇しましたが、週後半は落ち着いた動きとなり12.62の低い数字にとどまっています。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートです。11月が終わり1ヶ月の上げ幅は+10.80%となり、2020年の11月以来の大きな上昇となりました。
ナスダックの週足チャートです。先週は+0.27%と小幅ながら上昇し、5週連続の上昇となりました。10月末から始まった上昇は週を経る毎に上げ幅が小さくなってきており、先週は十字線をつけて終えており、大型ハイテク株が主導してきたナスダックの上昇の勢いは弱まってきているように見えます。
ナスダックの高値–安値銘柄数は大きく上昇しており、ナスダックの幅広い銘柄に買いが広がっている状況が分かります。2022年8月、2023年1月、2023年7月に短期的な相場の天井となった水準に達しています。
ナスダックの銘柄の中で200日移動平均線を超えている銘柄の割合は50%(下のグラフでは0)を超えて上昇を継続しています。上昇相場ではこの数字が50%を超えた状態を数ヶ月に渡って維持する傾向がありますので、この水準より上で推移していくかを確認していきたいと思います。
ナスダックの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は買われ過ぎの水準に入っています。短期的には上昇が止まる確率が高くなってきていますが、まだ下落を始める動きは見られません。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。11月の上げ幅は+8.85%で終えています。2022年10月の13.74%に次ぐ大きな上げ幅です。
ダウの週足チャートです。先週は+2.47%の大きな上昇で、7月の高値を明確にブレイクしてきました。5週間連続で上昇しています。
ダウの銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合は70%(下のグラフでは20)に到達しており、多くの銘柄が上昇トレンドとなっています。
ダウの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は86%(下のグフでは36)を超えており、直近の数年間で短期的な天井となった水準に達しています。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。11月は+9.06%の上昇で終えています。2020年11月以来の大きな上昇です。
S&P500の週足チャートです。先週は+0.88%の上昇で終値では7月の高値を超えてきています。5週間連続の上昇で非常に強い動きとなっています。
S&P500の銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合は60%(下のグラフでは10)を超えてきました。
S&P500の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は買われ過ぎの水準の35に達しようとしています。まだ下落を始める動きは見られません。
S&P500のハイテク銘柄に絞って見ると50日移動平均線を超えている銘柄の割合は90%を超えており、買われ過ぎの水準で推移しています。まだ下落を始める兆候は現れていません。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。11月の上げ幅は+9.00%となり、2023年1月以来の強い上昇で11月を終えています。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は+3.16%と強い上昇で3週連続の上昇となっています。
ラッセル2000の銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合は50%(下のグラフでは0)に近づいています。
ラッセル2000の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は70%(下のグラフでは20)を超えてきており、短期的な上昇が止まる傾向のある水準に達しています。
コモディティ先物の分析
原油は-1.04%の下落となっています。週の前半に大きく上昇した後に下落し、比較的大きな上ヒゲをつけて終えています。
天然ガスは-1.44%の下落でした。2023年4月から始まった緩やかな上昇トレンドのライン近辺で推移しています。
金は+4.33%の非常に強い上昇でした。2023年3月以来の強い上昇となっています。過去4年間で3度に渡って上昇を妨げていた2060の水準を明確にブレイクしています。
銅は+3.76%の強い上昇でした。下落トレンドをブレイクアウトして3週連続の上昇となっています。
小麦は+4.42%の強い上昇でした。長く続いた下落トレンドが終了する最初の動きになるかもしれません。
セクター分析
先週は通信サービス以外のセクターが上昇し、特に不動産、素材のセクターが強い動きとなっています。金利とドルの下落により恩恵を受けるセクターに強い傾向が見られます。
業種別のパフォーマンスを確認すると、オフィスREIT、銀、金、デパートが強く、金利とドルの低下に反応する業種が上位を占めています。パフォーマンスが悪い結果となったのは、インターネットコンテンツ、不動産開発、エンターテイメント、カジノです。
個別銘柄の分析
先週の相場は、全体として大型ハイテク銘柄が弱く、時価総額がやや小さい銘柄が強い傾向が見れます。特に大きく上昇したのは、CRM、WDAY、PDD、SNOW、CRWD等の好決算を発表したソフトウェア銘柄、GFI、AU、EGO等の金鉱銘柄です。
今週の戦略
前週に続き買われ過ぎの水準に達しながらも幅広いセクターに買いが広がり、相場全体として上昇を継続しています。これまで上昇を牽引する銘柄が、大型ハイテク株から時価総額の中規模のハイテク銘柄にシフトする動きが見られます。
先週と同様に、スイングトレードは今から既存のポジションを増やすことはせず、残りのポジションは上昇トレンドを維持している間は保有を継続し、新規のエントリーは好決算で力強くブレイクアウトしてくる新しい銘柄を対象にトレードしていきます。
デイトレに関しては、引き続き好決算でギャップアップした銘柄を対象したトレードしていきます。
監視銘柄
先週の決算発表後に強い上昇が見られたESTC、FLNC、WDAYを監視対象に加えています。監視銘柄の中で今週決算を予定しているのは、MDB、DAKT、BRZEです。
監視銘柄のチャートはこちら。
今週の決算予定
今週はGTLB、MDB、AI、BRZE等のソフトウェア銘柄の決算、AVGO、LULUの決算に注目したいと思います。
12/4
- SAIC
- GTLB
12/5
- FERG
- DAKT
- SIG
- GIII
- CNM
- ASAN
- S
- HQY
- MDB
- PLAY
- TOL
12/6
- OLLI
- THO
- AI
- BRZE
- CXM
12/7
- CIEN
- SWBI
- GWRE
- SMAR
- AVGO
- LULU