先週は、ISM製造業指数が発表され、予想47.3%に対して46.3%という結果となり、製造業の景気の見通しが悪化し始めていることが明らかとなってきました。その結果、ヘルスケア、公益事業、食品などのディフェンシブなセクター、金、銀などが上昇する一方で、産業機械、金属素材などの景気敏感株が下落しています。
金曜はGood Fridayで米国の株式相場は休場でしたが、雇用統計が発表され、失業率は予想3.6%に対して3.5%と依然として雇用は強い状況を維持していることを受けて、発表後に米国債の金利が上昇し、株価指数の先物も上昇して一週間を終えています。
今週は4/12にCPI、4/13にPPIの発表、JPM、WFC、FRCなどの銀行銘柄の決算発表が予定されています。インフレの動向、銀行の決算に対する相場の反応を確認しながらトレードしていきたいと思います。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
S&P500の銘柄の中で200日移動平均線を超えている銘柄の割合は50%を超えた状態を維持しており、上昇トレンドも崩れていない状態です。
S&P500の中で50日移動平均線を超えている銘柄の割合は50%からやや下落しましたが、上昇トレンドは維持しています。
ナスダックの高値–安値の銘柄数は-68と下落していますが、MACDと移動平均線からは上目線で推移しているように見えます。
VIXは-3.67%の下落で18.39まで下がっています。下落トレンドを維持しており、2月の底値の17.86に近づいています。
米国債10年物利回りは-1.67%下落しました。金曜日の雇用統計の発表後に上昇して下ヒゲをつけて終えています。3.29%の水準で反発する動きでダブルボトムのパターンを形成しようとしており、今週は上昇に転じる可能性が出てきました。
ナスダックは-0.84%と小幅に下落しました。上昇トレンドを維持しています。
ダウは+0.65%の上昇となりました。株価指数の中では最も良いパフォーマンスとなっています。
S&P500は+0.13%と小幅な値動きです。3月後半から始まった上昇トレンドを維持しています。
ラッセル2000は-1.73%の下落です。金曜だけを見ると、雇用統計の発表を受けて株式指数の中では最も大きく上昇しています。
原油価格はOPEC+の減産の発表を受けて+6.31%の大きな上昇となりました。今後、73〜82のレンジをどちらにブレイクしていくかを観察していきたいと思います。
天然ガスは-9.25%の下落で2.0の水準まで戻ってきました。短い時間足で見ると、2.0を割り込んだところで強い買いが入って反発していますので、この水準を維持できるかを見ていきたいと思います。
金価格は+2.02%の上昇で終値で2000を超えてきました。上昇トレンドを継続しています。今後、2070の水準を超えて新高値を更新できるかに注目したいと思います。
銅価格は-1.93%の下落です。週後半に上昇して下ヒゲをつけて終えています。2023年初からの短期の下落トレンドをブレイクして上昇できるかを監視していきたいと思います。
小麦価格は-2.42%の下落です。670から710の範囲で横ばいの動きとなっています。
砂糖価格が+6.11%と先週に続き大きく上昇して高値をブレイクアウトしてきました。2023年に入ってから上昇局面で出来高の増加を伴っており、強い上昇トレンドに入っているように見えます。
鉄鋼価格は-1.45%の下落です。先週に続き下落していますが、下げ幅は小さくなってきています。
バルチック海運指数は+12.31%と大きく上昇しました。2022年12月の高値を超えて上昇を継続できるかを確認していきたいと思います。
セクター分析
セクターのパフォーマンスを確認すると、通信サービス、ヘルスケア、公益事業が上昇しています。最も大きく下落しているのは産業セクターです。一般消費財、素材セクターも下落しており、株式相場は、景気の低迷に備えた動きを始めているように見えます。
業種別に見ると、健康保険、インターネットコンテンツ、金、銀、製薬、石油ガス、公益事業が上位に位置しています。
重機、工具、海運などの産業分野の業種、アルミ、鉄鋼などの金属素材が大きく下落しています。
個別銘柄の動向
時価総額の大きな銘柄では、通信サービス(GOOGL)、ソフトウェア(ORCL、NOW)、製薬(JNJ、LLY、MRK)、健康保険(UNH)、医療機器(ABT)、石油ガス(XOM、COP)、金(NEM、AU)が上昇しています。
下落している銘柄は半導体(AMD、MU)、ソーラー(ENPH)、自動車(TSLA)、重機(DE、CAT)、金属素材(BHP、VALE、STLD、NUE)、肥料(NTR)です。
今週の戦略
GAFAMが引き続き株価指数の上昇を牽引している一方で、中小型の成長株や景気敏感株には下落している銘柄が多いです。株式相場全体としては上昇トレンドを維持しています。
3月以降の相場は、景気の見通しに関する経済指標、金融機関の信用不安に関する報道に反応して相場が動いている傾向が見られ、セクター・業種毎の明暗がはっきり分かれているのが分かります。
先週の株式相場は、ヘルスケア、公益事業が強い傾向となっており、金融を除いては弱気相場の後期のセクターの循環と一致する動きが見られます。
スイングトレードのポジションは、ヘルスケア、食品関連の銘柄の比重を高めて、上昇トレンドを維持している銘柄に絞り込んで保有を継続していきます。
今週は4/12にCPIの発表がありますので、発表後の相場の反応を見てポジションを調整していきたいと思います。
監視銘柄
監視銘柄は以下の通りです。力強く上昇しているヘルスケア銘柄(RCEL、RVNC、TMCI)、先週に良い決算を発表した食品銘柄(CAG、LW)を追加しています。
監視銘柄のチャートはこちら。
決算予定
今週はFRC、JPM、WFC等の銀行株、DAL、UNHの決算発表に注目したいと思います。
4/10
- PSMT
4/11
- ACI
- BUR
- KMX
4/12
- AGX
4/13
- DAL
- FAST
- FRC
- PGR
- WAFD
4/14
- JPM
- WFC
- UNH
- PNC