先週の米国相場は、12月のインフレ率が事前の予想に一致する結果となり、インフレが収束していくことを好感して株価指数は軒並み上昇しました。諸々のチャートを確認すると株価は短期的な上昇が続く可能性が高くなっています。
インフレ率が予想通り下落が進んでいるとは言え、まだ6.5%という非常に高い状態です。また家賃のインフレ率については引き続き上昇しています。一般的な家計に占める割合が高い家賃のインフレが沈静化するまでは消費に回るお金が減ることを意味します。2023年の前半は例年以上にインフレの影響を受けて耐久消費財(家電、自動車、家具)を中心に消費が落ち込むことが予想されます。今後、インフレ率の低下が進んで消費が戻ってくるかどうかは、家賃のインフレ率が下落に転じていくかどうかがポイントになりそうです。
注目されていたCPIの発表も終わり、今後は、先週から銀行株を皮切りに始まった決算発表に市場関係者の注目が集まります。今週は、MS、GS、IBKR、SCHW、NFLXなどの決算が予定されています。決算の結果と今後のガイダンスを確認して、これから上昇していく可能性の高い銘柄を発掘していきたいと思います。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
ナスダックの高値–安値銘柄数は57を超え、先週に続いてプラス圏を維持しています。この数字がプラスを2週間以上維持した2021年10月、2022年3月末、2022年7月にはいずれも20日から30日の期間に株価が上昇しましたので、今週もこのままプラス圏を維持できれば、今回も同様に短期的な上昇が続く可能性が高いです。
VIXは-13.25%と大幅に下落し、18.34まで低下しています。2021年10月から続いていた安値を切り上げながら上昇を続けてきた動きが終了して長期的なトレンドが転換しています。
米国債10年物の利回りは-1.49%下落しました。今週以降、2022年12月の安値を切り下げてさらに下落していくかどうかを確認していきたいと思います。チャートからは少し分かりにくいですが、3.40%の水準で反発して下ヒゲをつけて終えていますので、ここから上昇に転換する可能性も残っています。
ナスダックは+4.58%上昇し、2021年末から始まった下落トレンドのラインに到達しています。今週、この下落トレンドのラインを超えて上昇を継続できるかが重要なポイントになりそうです。
S&P500もナスダックと同様に上昇し+2.79%で終えています。2022年初から開始した下落トレンドのラインに到達しています。
ダウは+2.09%の上昇で12月の高値に近い水準まで戻ってきています。逆ヘッド・アンド・ショルダーのチャートパターンを形成しており、上昇が継続する可能性が高い値動きとなっています。
ラッセル2000は+5.31%上昇し、株価指数の中では最も強い動きを見せています。今週、12月の高値を更新して上昇していけるかがポイントになりそうです。
原油価格は+8.64%と力強い上昇となりました。小さなダブルボトムを形成しており、下落の勢いは弱まってきているように見えます。2022年11月から70から80の水準で上下を繰り返しており、短期的なレンジ相場に入っているとも言えそうです。今週以降に、このレンジをどちらにブレイクしていくのかを監視していきたいと思います。
天然ガスは-7.84%下落しました。2022年初の安値を割り込み、強い下落トレンドを継続しています。チャートを見る限り、今のところ下落が止まる兆候は見られません。過去に景気が低迷した際のチャートを確認すると、天然ガスの価格は2.0から2.5付近まで下落してから反転する傾向がありましたので、この水準をターゲットに下落を続ける可能性が高そうです。
金価格は+2.78%と強い上昇となりました。上昇トレンドのラインを大きく上抜けており、一旦、短期的には調整が入る可能性がありそうです。その後も上昇トレンドが続く場合、2070の水準をターゲットに上昇を継続していくものと思われます。
銅価格は+7.80%の上昇で強い動きとなっています。金と同様に上昇トレンドのラインを大きく上抜けて力強く上昇しています。2022年11月の高値を更新して上昇トレンドを継続しています。
小麦価格は+0.03%と小幅な値動きとなりました。下落トレンドのチャネルの範囲内で推移しています。下ヒゲをつけて小さなダブルボトムを形成しかけていますので、ここから反転上昇を始める可能性が出てきました。
セクター分析
先週はディフェンシブ以外のセクターがすべて上昇しました。特に一般消費財、情報技術、素材が強く上昇しています。
業種別に見ると、アルミ、銅、鉄などの金属素材、ソーラー、インターネット小売、旅行サービス、航空が力強く上昇しています。タバコ、飲料、製薬、防衛、パッケージ食品などのディフェンシブ系の業種のパフォーマンスが悪くなっています。
個別銘柄の動向
時価総額が大きな銘柄では、インタネット小売(AMZN)、半導体(NVDA、ASML)、検査機器(TMO、DHR)が大きく上昇しています。
製薬(JNJ、ABBV、PFE)、飲料(KO、PEP)、タバコ(PM、BTI)、航空・防衛(RTX、LMT、NOC)が下落しています。
先週は週間で10%以上の上昇が見られた銘柄は348件となり、先週の184件から大きく増加しました。バイオテクノロジー(CINC、SHC、ALBO、JANX)、ソフトウェア(COIN、DCT、AFRM)が力強く上昇しています。
今週の戦略
現在の米国相場は、先週のCPIが予想通りの結果となったことで、長期金利とVIXが低下し、株価が全体的に上昇する反応を見せています。週明けは一旦の調整が見られるかもしれませんが、短期的な上昇が続く可能性が高くなっています。
今後の数週間は、日々の決算を確認しながら力強くブレイクアウトする銘柄と上昇トレンドのセクターの銘柄を対象にエントリーしていきます。当面のトレード戦略は以下の通りです。
- 決算発表でポジティブなサプライズがあり、新高値を更新して上昇する銘柄に集中的に資金を投入してスイングトレード。
- まだ弱気相場が終了したわけではないので、10%〜20%で早めの利益確定を繰り返していく。
- S&P500の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合が増えて、買われ過ぎの水準(35から40)に到達したら一旦ポジションを縮小して様子見。
保有・監視銘柄
現在の保有銘柄は、FSLR、TITN、HEES、FCX、HEI、MOD です。
監視銘柄の中で今週注目しているのは、STRL、AGYS、ARRY、PIです。
保有・監視銘柄のチャートはこちら。
決算発表予定
今週は、GS、IBKR、SCHW、NFLX、SLBの決算に注目したいと思います。
1/17
- GS
- MS
- IBKR
- EDU
- HWC
- PRGS
- UAL
1/18
- SCHW
- AA
- PLD
1/19
- NFLX
- PG
1/20
- SLB