先週の米国相場は、CPI、FOMCの2つのイベントを終えて、週間では長期金利と株価指数は下落、エネルギー価格は上昇という結果になりました。S&P500、ナスダック、ダウ共に短期の下落トレンドに入っていますので、今後の数週間は下目線で推移していく可能性が高そうです。
11月のインフレの数字は、モノの価格は順調に下落を継続している一方で、サービス価格と家賃はまだ上昇が止まっていません。インフレ率も下落傾向とはいえ、まだ7.1%という高い数字です。一般家庭の支出の多くを占める家賃が上昇したままで、インフレも沈静化には遠い状況では消費に向かうお金の量は回復しずらいです。
このような背景を反映してか、先週の米国株式は、自動車、家電、コンピューターなどの耐久消費財、またそれらの材料となる金属素材、半導体などの銘柄を中心に株価が下落しています。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
ナスダックの高値–安値銘柄数は下落の勢いを強めており、-136まで下がりました。売られる銘柄の方が多い状況となっており、売り手の勢いが止まるまで今後の数週間は下落方向で推移する可能性が高そうです。
VIXは週の前半のCPI発表前後に大きく上昇するもFOMC議長会見の後に下落し、最終的には-0.83%と小幅な下落で終えています。12月から始まった上昇トレンドを維持しています。
米国債10年利回りは-2.62%下落し、3.5%付近にとどまっています。10月から始まった下落トレンドのチャネルの範囲で推移しています。
ナスダックは-2.88%下落し、短期の上昇トレンドのサポートラインを割り込み、下落トレンドに転換しています。10月の安値をターゲットに下落が進む可能性の高い動きとなっています。
S&P500は-2.20%の下落で、ナスダックと同様に短期の上昇トレンドのサポートラインを割り込んでいます。
ダウは-1.79%の下落となり、先週から始まった短期の下落トレンドを継続しています。2022年に始まった長期の下落トレンドのチャネルの上限のラインまで戻してきており、今週は一旦の反発があるかもしれません。
原油価格は+4.19%と反発して上昇しています。大きな流れとしては、6月に開始した下落トレンドを継続しています。
天然ガスは+5.68%と大きく反発して上昇しました。不安定な動きで方向性は読みづらいですが、2週間連続で下ヒゲをつけて上昇していますので、短期的には上方向に推移する可能性が高そうです。
金価格は-0.58%と小幅な動きとなっています。10月後半から始まった上昇トレンドを維持しています。
銅価格は-3.02%下落しています。11月以降は3.5から4.0のレンジ内で横ばいの動きとなっています。
小麦は+2.62%の上昇となりました。10月から続いている下落トレンドのチャネルの範囲で推移しています。
セクター分析
先週はエネルギーのセクター以外は下落し、特に一般消費財、素材の下落幅が大きくなっています。公益、ヘルスケア、ディフェンシブの下げ幅が比較的小さいです。
業種別に見ると、石油ガス装置・サービス・採掘・精製が強いです。住宅建築も強い動きとなっています。長期金利の下落と共に住宅ローンの30年金利が11月のピークの7.08%から6.31%まで急速に下落してきていることに反応して上昇しているものと思われます。
その他には教育サービス、ホームセンターが上昇しています。
下落幅の大きい業種は、自動車、紙製品、デパート、エンターテインメントです。鉄、アルミなどの金属素材も弱い動きです。
個別銘柄の動向
全体的な傾向としては、セクター・業種で強い傾向となっていた、石油ガス(HAL、SLB、HP、PTEN、PBF、EOG、EQT、AR)、住宅建築(DHI、LEN、PHM)に上昇している銘柄が多いです。
その他には、ソフトウェア(AGYS、MDB 、OKTA 、CFLT、DOCU、DDOG、BOX、FOUR)、バイオテクノロジー(BIVI、DYN、ETNB、CLDX、KDNY)の小型株に上昇銘柄が多く見られます。
大きく下落しているのは、自動車(TSLA)、家電(AAPL)、エンターテインメント(NFLX)です。
先週は週間で10%以上の上昇が見られた銘柄は、54件となり先週の22件から増加しています。最も大きく上昇した銘柄は製薬のCOSMで6418%という良く分からない上昇率です。買収報道のあった通信機器のMAXR、ソフトウェアのCOUPも大きく上昇しました。
先週に引き続きバイオテクノロジー(BIVI、RNA、DYN、ETNB、CLDX)、ソフトウェア(AGYS、DOCU、SMAR)が強い傾向です。上位の銘柄の中に過去にランキングに登場することのなかった銅(IE)が入ってきています。
今週の戦略
すべての指数が短期的な下落トレンドに入っていますので、ポジションサイズと銘柄数は少ない状態でキャッシュ保有率を高めて次の上昇の波を待ちたいと思います。
S&P500銘柄の50日移動平均線を超えている銘柄の割合を確認すると、現在は周期的な下落の最中にあります。今後の数週間は7月もしくは10月の水準に達するまでは売り手が優勢となり、下落していく銘柄の方が多くなる確率が高いです。上昇に転じるタイミングは、2022年の過去のトレンドの周期と同様の動きになるのであれば、今から1〜2ヶ月後(1月後半以降)になると思われます。
今は株価指数が下落していく中で上昇していく強い動きの先導株を見つける良い機会です。日々の上昇銘柄、高値更新銘柄を確認して監視銘柄をアップデートしていきたいと思います。
保有・監視銘柄
保有銘柄
- TGLS
- ALNY
- KDNY
- TH
- MODN
監視銘柄
監視銘柄にソフトウェア関連の銘柄(AGYS、BOX、FOUR)を追加しています。
保有・監視銘柄のチャートはこちら。
決算予定
今週はFDX、NKE、MU、TTCの決算に注目したいと思います。
12/19
- HEI
12/20
- FDX
- NKE
- GIS
12/21
- TTC
- MU
- CTAS
- CCL
12/22
- PAYX