エントリー後に想定外の方向に動いた時にためらいなく損切りができるようになり、自分のポートフォリオに含み益の銘柄が増えてくるようになると、いつ、どのように売却して利益を確定すれば良いのか悩むようになります。
上昇トレンドが停止するまで保有し続け、適切なタイミングで利確できるようになることは、エントリータイミングを見つけたり、確実に損切りができるようになることよりもはるかに難しいと思います。
私自身も日々のトレードで試行錯誤しながら改善している最中です。
この記事では、利益を伸ばしつつ、安定して利益を獲得できるトレーダーになるために私が実践している利確売りの判断方法をご紹介します。
利益確定の最適なタイミング
株を購入するときにはテクニカルとファンダメンタルズの両方を確認してエントリーのタイミングを決めますが、売りの際には決算発表で成長が鈍化したことが明らかになる前に下落を始めることがあるため、売りのタイミングについてはチャートと出来高を見て判断する必要があります。
ポイントとなるのは、獲得できる利益をできるだけ伸ばすために、上昇トレンドの最終段階を見極めて、下落に転じる前の上昇中に利益を確定することです。
利確売りを行うタイミングの基本的な考え方は以下の3点です。
- 上昇トレンドのペースが明らかに変化し、上昇のスピードが加速し始めたタイミングで利益を確定する。
- 上昇トレンドが終了する際に現れる最後の急上昇「クライマックストップ」で利益を確定する。
- 上昇の加速やクライマックストップが現れずに上昇が終了する場合には、上昇トレンドが終了したことが確定したタイミングで売却する。
「クライマックストップ」とは、以下のチャートのように上昇トレンドの天井付近で現れるチャートパターンで、1) 大きなギャップアップや 2) 出来高の急増を伴う大幅な上昇のことです。
利確売りの具体的な条件
私が実際に売却するかどうかを判断する際の具体的な条件と手順は以下の通りです。
- 相場全体が上昇している強気相場の場合は、20〜25%の含み益ができた時点で一部を売却します。仮に、上昇トレンドに移行できずに終了してしまう場合であっても確実に利益を残すために行います。
- 弱気相場の場合は、最初の利確の条件を含み益の条件は10〜15%に設定します。弱気相場では上昇が短期間で終わる可能性が高いためです。
- 最初の売りを行った後の残りのポジションについては、逆指値注文をトレイリングストップ注文に切り替えて推移を見守ります。トレイリングストップ注文は最初の利確のパーセンテージの半分を目安に設定します。(強気相場であれば10〜12%、弱気相場の場合は5〜8%)
- 上昇トレンドが始まってから、週足チャートでベースが3〜4回以上出現したら売るタイミングを探し始めます。
「ベース」とは以下のチャートのように、上昇トレンド中に現れる株価が停滞もしくは調整する期間のことです。
- ベースの回数が3〜4回以上出現した後に、以下のいずれかの条件に該当したら売り注文を実行します。
- 上昇トレンドのチャネルの上側のラインを超えて上昇したとき(上昇のペースが変化して加速し始めたとき)
- ギャップアップしてクライマックストップが発生したとき(天井をつけたとき)
- 出来高の増加を伴って、上昇トレンドを開始してから日足もしくは週足で最も大きな幅で下落したとき(上昇トレンドが終わったとき)
チャートの具体例
それでは、実際のチャートで具体的な例を確認してみましょう。掲載しているのはいずれも週足チャートです。
FTNT – Fortinet, Inc.
上昇トレンドのチャネルラインを上抜けたタイミングで利確する例です。
3つ目のベースの後に上昇のペースが加速し、チャネルラインを上抜けています。このタイミングで利確します。ここで利確し損ねた場合には、4つ目のベースの後の最初の下落時に利確します。
DDOG – Datadog, Inc.
クライマックストップ、もしくは上昇トレンドが終了して下落トレンドへ移行するタイミングで利確する例です。
4つ目のベースの後に上昇のスピードが加速して大きく上昇していますが、上昇の際に出来高の増加が見られなくなっています。最も大きく上昇した2日後にギャップアップして始まっており、このタイミングで利確できるのがベストです。
TSLA – Tesla, Inc.
2回のギャップアップが出現してクライマックストップとなったタイミングで利確する例です。
4つ目のベースの後に大きな幅のギャップアップが2回連続で発生し、かつ日中の上昇の幅も過去の上昇と比較して大きくなっています。このギャップアップしたいずれかの日に利確するのがベストです。
AR – Antero Resources Corporation
天井をつける手前で上昇トレンドが開始してから最も大きな上昇をしたタイミングで利確する例です。
4つ目のベースの後に最も大きな上昇が発生した後、2日連続で上ヒゲをつけて終了しています。このいずれかの日に利確するのがベストです。
ARは天然ガスの生産を行う銘柄ですが、エネルギーや資源銘柄の場合は先物価格が先に動いて連動することが多いため、先物価格を確認してタイミングを図ることも有効です。
最後に
この記事では、株式トレードで資産を確実に増やしていくために必須となる利確売りの具体的な方法をご紹介しました。皆さんがトレードを行なっていく上で少しでも参考になれば幸いです。
株式トレード、株式投資で資産を増やして経済的自立を獲得できるよう一緒に頑張っていきましょう。
参考書籍・動画
- 書籍
- 株式トレード 基本と原則 – マーク・ミネルヴィニ
- オニールの成長株発掘法 – ウィリアム・J・オニール
- ゾーン – 勝つ相場心理学入門 – マーク・ダグラス
- 動画
- How To Read Stock Charts: Counting Bases
-
- David Ryan’s Key Selling Strategy