はじめに
主要指数が高値圏を推移する一方、個別株の値動きは強弱がはっきり分かれる状況です。米10年債利回りのブレイク方向が見えるまでは、市場全体が慎重姿勢を崩しにくいでしょう。
6/24〜6/28 週の米国株相場を 20 枚超のチャートで点検し、先週の戦略を振り返りながら、今週のトレード戦略を整理しました。忙しい兼業投資家の方が短時間で全体像を掴めるよう、必要なポイントを簡潔にまとめています。
先週の振り返り
| 先週立てた作戦 | 実際の値動き | 評価 / 修正点 |
|---|---|---|
| ① 10 年債利回り 4.50 % を超えたらハイベータ比率を下げ、防御を厚く | 4.45 % で失速し横ばい | 正解◎ まだ「利回り天井」確定せず、防御厚め継続 |
| ② Breadth が改善しないかぎり指数追いかけは控えめ | Uptrend 比率(移動平均線上にある銘柄の割合) 15 %→12 %に悪化 | 正解○ 個別株を絞ったのは吉 |
| ③ エネルギー、資源株は短期リバウンド狙い | 原油 +7 %、URA +20 % | 大当たり 継続して“スパイス枠”に |
→ 全体としては “買い過ぎず守り過ぎず” がフィット。今週もこのスタンスを微調整しながら継続します。
マクロ・指数の読み
● 米10年債利回り(US10Y・週足)
- 4.20 %〜4.50 %の 三角持ち合い先端。
- 上抜け ⇒ 4.60–4.80 %、ハイテク逆風。
- 下抜け ⇒ 4.12 %割れで 緩和期待リスクオン。
今週の分岐点は 4.30 %台半ばの実体抜け。耐久財受注や PCE コアで流れが決まる可能性があります。
● VIX
- 20〜23 に張り付く「不安だけどパニックではない」ゾーン。
- 23 を超えたらインデックスの短期調整警戒、18 割れなら再び勢いづくシナリオ。
● Market Breadth(市場全体の値上がり・値下がりの広がり) & Uptrend 比率(移動平均線上にある銘柄の割合)
- 8 日 MA が再び 0.5 割れ、上昇銘柄比率は 15 % → 12 % 台へ低下。
- 指数の見た目ほど地合いは良くない。押し目買いは絞り込みが必須。
マーケット・ブレス(200日移動平均線を上回っている銘柄の割合)
上昇トレンド銘柄比率(20日、50日、200日移動平均を上回っている銘柄の割合)

● 株価指数(週足)
| 指数 | コメント | 戦術スタンス |
|---|---|---|
| NASDAQ100 | 史上高値 22,139 まで約 +2 %。出来高細り。 | 押し目(21,200〜)待ちで乗る。ブレイク追随は薄く。 |
| S&P500 | 6,000 の大台挑戦中。20 週線(20 週移動平均)5,890 が防衛線。 | 6,130 突破なら指数 ETF を薄く増し。割れなら様子見。 |
| Dow | 42,400 の壁で伸び悩み。 | ディフェンシブ分散先として継続保有。 |
| Russell2000 | 2,130(200 週線)が頭。 | ブレイクまでは触らない。 |
コモディティ・テーマ株
| 商品/テーマ | 状況 | 注目レンジ | 取る戦略 |
|---|---|---|---|
| WTI 原油 | 2 週で 60→74 $ の急騰。200 週線奪還。 | 72–76.7 $ | エネルギー大型株・O&G 掘削サービスに短期ロング余地。 |
| 天然ガス | 3.85 $、200 週線を背に反発。 | 3.68 $ support / 4.59 $ resist | ETF(UNG/NATGAS)でスイング。 |
| 金 | 3,400 $ 近辺で一服も 8 週線上。 | 3,205 $ サポート | ポートのリスクヘッジ、下げ止まりを拾う。 |
| 銅 | 4.85 $前後で横。 | 4.46 $割れ注意 | ブレイク待ち。資本財・鉱山株で連動狙い。 |
| ウラン(URA) | “31.7 $” を上抜け 38 $台、出来高急増。 | 押し目 34 $付近 | 既に利が乗った人は 5MA(5週移動平均)トレーリング、未保有は 35 $以下押し限定。 |
WTI原油
ウランETF

セクター/業種ローテーション
1 週パフォーマンスでは エネルギーが首位、テックは小幅マイナス、ディフェンシブが下位。業種別では
- Grocery / Farm などディフェンシブ消費が堅調
- Capital Markets、Uranium、Oil & Gas に資金流入
- 医薬・ソーラー・広告 周辺が弱い
⇒ 「資源+防衛的消費」対「グロース+医療」のミックス相場。過度な一点集中は避けたいところです。
兼業投資家向け・今週の実践アクション
| 曜日 | マクロ & イベント | 具体的トレードプラン |
|---|---|---|
| 月〜火 | 10Y の方向確認/VIX20の攻防 | ・利回り上昇→半導体 ETF を 1/3 利確・下落→FANG(Meta, Amazon, Netflix, Alphabet)+MSFT 押し目拾い |
| 水 | Micron (MU)、FedEx (FDX) 決算 | MU 良決算&ガイダンスなら半導体バリューチェーンで当日 ORB(Opening Range Breakout)短期勝負 |
| 木 | Nike (NKE) 決算、PCE コア | ・コンシューマー堅調示せば Russell ミニロング・PCE がインフレ鎮静 → 金利低下で REIT ウオッチ |
| 金 | 6月末最終集中日(月末の金曜に集中し易い) | 週次損益 +3 % 超なら週末フルクローズでポジション軽量化 |

共通ルール
- 1 日あたり新規エントリーは最大 5 銘柄(自動売買枠含む)
- ORB(Opening Range Breakout:寄り付き後5〜15分の高値・安値レンジを上抜け/下抜けで仕掛ける短期手法):+3 % で半利確、前日安値割れで撤退
- VIX 23 超で S&P500 ショート ETF(SH)でヘッジ
まとめ 〜 今週の “ちょうどいい” ポジション構成
- コア (60 %) — QQQ/SPY をやや減らし VOO ベースで守りを固める
- シクリカル (20 %) — XLE/EOG/CVX など原油連動をスイング
- テーマ (10 %) — URA・天然ガス ETF でトレンドフォロー
- ヘッジ (10 %) — GLD + SH(条件付き)
高値警戒と押し目拾いの“二刀流”で、今週の相場に臨みましょう。必要に応じてポジション比率を機動的に調整し、市場の変化に柔軟に対応してください。良い一週間を!

