先週の米国相場は長期金利が大きく上昇し、株式指数は軒並み下落しました。特にエネルギー、素材、不動産などの景気に敏感なセクターが大きく下落しており、景気が弱くなることを折り込んだような相場の動きとなっています。
相場全体が売られ過ぎの状態にあり、今週は短期的には反発する動きが出てくる可能性が高くなっています。一方で長期的なトレンドを見ると、相場の転換を示す最初の兆候が出てきています。
今週は比較的短期の目線で先週の下落からの反発を狙ったスイングトレードの機会を探していきたいと思います。
それでは、チャートを確認しながら相場を振り返っていきましょう。
長期的な株式相場のトレンド
2024年の終わりも近づいてきましたので、たまには年単位の長めのトレンドを俯瞰してみたいと思います。
以下のチャートは上段にS&P500の価格、下段にマーケット・ブレスを記載しています。マーケット・ブレスは200日移動平均線を超えている銘柄の割合を計算したもので、S&P500の銘柄のうち何割が200日移動平均線を超えているか、つまり長期的な上昇トレンドを維持している銘柄がどれだけあるかを知ることができます。細かいノイズを取り除くために20日移動平均線、長期的な動向を見るために200日移動平均線をチャートにしています。
ピンク色の背景は、マーケット・ブレスの200日移動平均線が下向きになった区間、つまり相場全体が調整入りした区間を示しています。マーケット・ブレスは株価指数に先行して下落が始まることがあり、2021年には9月に相場の転換を示すシグナルが出て、2022年初に弱気相場入りとなりました。
先週の下落で調整入りの初期シグナル(ピンク色の背景)が出ています。現在は、一部の大型銘柄が株価指数を支えている状態となりつつあり、水面下ではその他の多くの銘柄が弱い動きを見せ始めています。
ここから相場の調整が始まるかどうかは予測はできませんし、比較的軽度な調整を経て再度上昇に転じていく可能性も残っています。今はどちらの方向に進む可能性も想定した上で、慎重に相場の動向を見ながら投資していく局面なのだと思います。
先週の振り返り
相場環境
米国債10年物の利回りは+3.02%の上昇でした。今年の7月高値の4.5%を超えてきました。週足で安値も切り上げており、中期的な上昇トレンドを形成しています。
VIXは+32.97%の上昇でした。先週は28近くまで急上昇した後に下落し、18台まで下がり、非常に大きな上ヒゲをつけています。今週の動きを見て、ここからさらに下落していくのか、もう一段の上昇があるのかを見定めていく必要がありそうです。
上昇トレンドの銘柄数の割合は先週に大きく下落して10%を下回り売られ過ぎの水準に入りました。過去1年を見るとこの水準からは反発する確率が高そうです。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートです。12月は22000まで上昇した後に下落して上ヒゲをつけている状態です。売り圧力が強いことを示しており、トレンドが転換するリスクも想定しておいた方が良さそうに見えます。
ナスダックの週足チャートです。先週は-2.17%の下落でした。高値をつけた後の最初の下落です。まだ上下のどちらの方向に進むのかは五分五分です。今週にどちらの方向に進むのかを確認する必要がありそうです。
ナスダックの高値-安値銘柄数は下落トレンドを継続し、マイナス圏には一いてます。反発の最初の兆候が見られます。まだトレンドが転換するかを見定めるにはもう少し時間がかかりそうです。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。12月は現時点で-4.64%の大きな下落となっており、11月の強い上昇をほぼ打ち消す動きとなっています。
ダウの週足チャートです。先週は-2.24%の大きな下落でした。3週連続の下落です。一時は20EMAを割り込むところまで下落し、その後は反発して下ヒゲをつけています。今週は一旦反発する可能性が高くなってきているように見えます。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。12月の現時点の騰落率は-1.67%の下落です。今のところは強い上昇トレンド中の一時的な調整レベルの下落に見えます。
S&P500の週足チャートです。先週は-1.95%の下落でした。20EMA付近まで下落した後に反発して下ヒゲをつけています。出来高が急増しています。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。12月の現時点の騰落率は-8.27%の大きな下落となっています。11月の強い上昇を完全に打ち消しており、ネガティブな値動きです。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は-4.52%の強い下落でした。サポートラインの2181まで下落した後に反発する動きが見られます。3週連続の強い下落となっており、一旦は反発する動きが出てくる可能性が高くなってきています。
コモディティ先物の分析
原油価格は-2.14%の下落でした。横ばいを続けており、短期的な上昇・下落のトレンドは明確になっていません。長期的には高値を切り下げているため、下目線で推移しています。
天然ガスは+14.27%の強い上昇で抵抗線の3.57を明確に超えてきました。上昇トレンドが継続する可能性が高まっています。
金は-1.15%の下落でした。20EMAまで下落したところで反発して下ヒゲをつけています。2600付近まで下がると買い手が優勢となるようです。
銅は-2.30%の下落でした。10月から始まった下落トレンドを継続しています。まだどちらの方向に進むのか定まっていない様子です。
セクター分析
先週はすべてのセクターが下落し、特に大きな下落となったのは素材、エネルギー、不動産です。景気に敏感なセクターの下落が大きいです。過去1ヶ月で見ると、エネルギーの下落が顕著で、一般消費財、情報技術、通信サービスが強いです。
業種別の週間パフォーマンスを確認すると、家電、デパート、高級品、靴などの消費関連の数少ない業種が上昇した一方で、その他の業種は大きく下落しました。特に下落が大きかったのは、石炭、トラック、石油ガス精製、木材、住宅建築です。長期金利の上昇を嫌気する動きのように見えます。
個別銘柄の動向
先週は相場全体が下落する中で、PLTR、AAPL、APP、ACN、PFE、BMY、BA、DRIなどの数少ない銘柄が上昇しています。
今週の戦略
相場全体が売られ過ぎの水準まで下落しましたので、反発が来ることを想定した平均回帰のスイングトレードの機会を探していきます。
スイング監視銘柄
先週の決算発表後に強い値動きが見られたACN、CCL、DRIを監視銘柄に追加しています。
監視銘柄のチャートはこちら。
高配当ポートフォリオ
長期保有のポートフォリオでは、大きく下落して売られすぎとなってい高配当銘柄が増えてきていますので、買い増しを進めていきたいと思います。
今週の買い増し候補はCVX、O、LMT、JNJ、PEP、TXN、UNHです。
今週の決算発表
今週は注目の決算発表はありません。