スイングトレードにおける売買のタイミングを図る方法についていくつかの戦略を紹介します。これらの戦略は、技術的な分析やチャートパターンに基づいています。
1. 移動平均線の活用
移動平均線はトレンドの方向性を判断するために使用されます。一般的な戦略としては、短期の移動平均線(例えば20日移動平均線)が長期の移動平均線(例えば50日移動平均線)を上抜けると買い、下抜けると売りというものがあります。
2. RSI(相対力指数)
RSIは、価格の変動速度とその変動の強さを測定する指標です。通常、RSIが70を超えると「買われ過ぎ」、30を下回ると「売られ過ぎ」と判断されます。これに基づき、RSIが30を下回った時に買い、70を超えた時に売る戦略があります。
3. サポートとレジスタンス
サポートレベルは価格が下落した時に止まりやすいポイント、レジスタンスレベルは価格が上昇した時に止まりやすいポイントです。これらのレベルでの反発を狙って売買する方法です。
4. ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは価格の変動範囲を示すバンドです。価格がボリンジャーバンドの上限に達した時は「売り」、下限に達した時は「買い」とする戦略があります。
5. フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ・リトレースメントは、価格の戻りや反発のポイントを見つけるために使用されます。価格が主要なフィボナッチレベル(23.6%、38.2%、50%、61.8%)に近づいた時に売買する戦略です。
6. ブレイクアウト
価格が一定のレンジを超えた時(上抜け、下抜け)にエントリーする戦略です。特に高出来高を伴うブレイクアウトは信頼性が高いとされています。
上昇トレンドの銘柄数の推移から読み取れること
一年間という短い時間ではありますが、上昇トレンドの銘柄数の推移と自分のスイングトレードの結果を見比べながら分析した結果、一定の相関関係があることが見えてきました。
先のチャートで緑色で描かれている区間は、上昇トレンドの銘柄が増加傾向にあることを示しています。逆に、赤色で描かれている区間は上昇トレンドの銘柄が減少傾向にあることを示しています。上昇トレンドかどうかは、オレンジ色の10日移動平均線の傾きを元に判断しています。10日移動平均線が上方向を向いているときは上昇トレンド、下方向に向かっているときは下落トレンドと判断しています。
2024年8月時点で過去1年程度のチャートを分析して分かったことは以下の通りです。
- 上昇トレンドの緑色の区間では上昇の勢いが継続する銘柄が多く見られる。(新高値ブレイクアウトトレードの成功率が高まる傾向)
- 下落トレンドの赤色の区間では上昇が止まって反落する銘柄が多い。(新高値ブレイクアウトトレードで負ける確率が高くなる傾向)
- 上昇トレンドの銘柄の比率が10%近くまで下落すると相場全体が底を打って反転してくることが多い。(リバウンド狙いのスイングトレードの勝率が高まる傾向)
- 相場全体の上昇が続いて上昇トレンドの銘柄の比率が40%を超えてくると天井となり反落する銘柄が出始めることが多い。(利益が増えて気持ち良くなって逃げ遅れるとそれまでの利益が大きく減少)
スイングトレード・長期投資への活用方法
これらの4つの上昇トレンドの銘柄数の推移と株価との関係から読み取れたことを元に、スイングトレード、長期投資の戦略に活用する方法を以下に紹介します。
インデックスETFのスイングトレード
最初に、株価インデックスのETFを対象にスイングトレードを行う際に利用する方法を考えてみましょう。
基本的なトレードのステップは以下の4点です。
- 上昇トレンドの銘柄が増え始めたときに買う。
- 40%を超えて天井圏に突入したら一部を利確する。
- トレンドが下落に転換して上昇トレンドの銘柄数が減り始めるタイミングで残りポジションを売却する。
- 再び上昇トレンドの銘柄が減少から増加に転じるまで待つ。
具体的にはチャートの色が緑色に変わったタイミングで買い、30〜40%のオレンジ色の水平の点線に到達したら半分売り、赤色に変わったタイミングで残りを売ります。以下のチャートに買い(青矢印)と売り(赤矢印)のタイミングを記入してあります。
全米株式の全体をカバーしているVTIというETFで実際に売買のタイミングを確認すると全5回のトレードで、3勝2敗で勝率は60%という結果でした。
2023年から2024年にかけては強気相場で環境が非常に良い時期でたしので、うまく行って当然かもしれませんが、悪くないタイミングで買いと売りが実行できていると思います。
1回目の売りを30〜40%どの水準を買われ過ぎと判断するかは相場環境によって若干調整が必要かもしれません。
上記の戦略では、トレンドが完全に上昇に転換してから買い始めていますが、強気相場であれば10%以下まで低下した状態で反発し始めたところで買いを検討することもできると思います。弱気相場の場合には慎重に出動し始める方が安全だと思います。
直近の1年間のように右肩上がりに上昇しないような相場でも通用するのかどうかは今後検証していきたいと考えています。
インデックスETFの長期投資
次に長期投資でインデックスを積み立てていく基本的に売却は行わない方針の場合において、どのような活用ができるか見ていきましょう。
長期投資では、できるだけ低い価格になるタイミングで買い増しができれば最も効率的に資金を運用することができます。上昇トレンドの銘柄数が極端に減少するタイミングを見定めて、具体的には以下の2回に分けて買い増しを行うと良いでしょう。
- 上昇トレンドの銘柄数の割合が10%を割り込んだ後に、一番最初に下落から上昇に転換するタイミングで1回目の買い増しを行う。
- 2回目の買い増しは、スイングトレードのときと同様にトレンドが下落から上昇に完全に転換したタイミングで買い増しを行う。
以下のチャートの青い矢印が買い増しを実行するタイミングです。
実際にS&P500のインデックスのETF(SPY)で実際の買いのタイミングを確認すると、理想的とは言えないまでも比較的下落して安価になっているタイミングで買えていることが分かります。
一回目の買い増しは、急な下落からV字回復して上昇してしまうケースを取りこぼさないようにすることが目的です。
2023年から2024年にかけての強気相場であれば1のタイミングで買い出動するのは問題はなさそうですが、リスクを回避する必要がある弱気相場のときには2のタイミングでだけ買い増しする方が良いと思います。
2022年のような弱気相場のときには1の買いのタイミングについては実行せず、2のタイミングにだけ集中するなど少し戦略を調整する必要があるかもしれません。
今後、様々な相場環境にこの戦略を適用して試していきますので、また数年後に別の記事で弱気相場における活用方法も記事にしていきます。
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事では、インデックスETFのスイングトレード、インデックスETFの長期投資に上昇トレンドの銘柄の推移を利用する方法を紹介しました。
この記事で紹介した上昇トレンドの銘柄の推移を記録したチャートは日々データを更新していきますので、興味のある方は以下のリンクから確認してみてください。
今後も上昇トレンドの銘柄の推移を確認しながら、様々な相場環境で実際にトレードを続けていく予定です。
弱気相場になったときに今回紹介した戦略がどこまで通用するのか、弱気相場でも上昇トレンドの銘柄数の推移を活用する方法があるのか、後日、改めて記事を書きたいと思います。
今回の記事が皆さんのトレードや投資活動に少しでもお役に立てば幸いです。