先週の米国相場は、イスラエル・ハマスの紛争の影響で原油、金、航空・防衛、サイバーセキュリティ関連の銘柄が上昇する一方で、航空、医療機器等の銘柄は下落しました。
先週発表されたPPI、CPIについては事前の予想より強い結果となりましたが、相場に大きな反応は見られませんでした。
VIXが急上昇したものの、株価指数についてはナスダック、ダウ、S&P500は上下しながらも最終的には大きな変動はありませんでした。ラッセル2000だけは下落を続けています。50日移動平均線を超えている銘柄の割合を確認すると、短期的な下落から反発を開始する動きが出てきていてます。長期金利は上昇トレンドは維持しつつも一旦は上昇が止まる動きとなっています。
今週は2023年Q3の決算シーズンが本格的に始まり、多くの銘柄の決算発表が予定されています。
それでは、チャートを確認しながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
投資家心理は、強気派が30.1%から40.0%に増加し、弱気派が41.6%から36.5%に減少し、強気派が優勢な状態に逆転しています。イスラエル-ハマスの紛争で中東情勢が危うい状況であっても6ヶ月先には株式相場は上昇すると考える投資家が多いようです。
米国債10年物の利回りは-4.02%の下落でした。上昇が続いてきた長期利回りが下落に転じる可能性が出てきています。ただし、まだ2023年5月から始まった上昇トレンドは崩れていません。
VIXは+10%と大きな上昇となりました。大きな下ヒゲをつけており、まだここから上昇する可能性も残っています。
ナスダックの分析
ナスダックの月足チャートです。先週から大きな動きはありません。
ナスダックの週足チャートです。先週は週明けに上昇した後に下落し、-0.13%の小幅な下落で終えています。7月から始まった短期の下落トレンドラインに触れたところで売られて下落しています。
ナスダックの高値-安値銘柄数は安値を切り下げて下落トレンドを継続しています。まだ反転する兆候は見られません。
ナスダックの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は、前週からやや下落しているもののMACDに反転の最初の兆候が見られます。
ダウの分析
ダウの月足チャートです。先週から大きな動きはありません。
ダウの週足チャートです。先週は+0.58%の上昇でした。週の後半に下落して上ヒゲをつけて終えています。7月から始まった短期の下落トレンドを継続していますが、一旦下落が止まり反転しようとする動きが見られます。
ダウの銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は、大きく上昇し下落トレンドから反転を始めています。株価指数の中では最も上昇を開始する可能性が高そうに見えます。
S&P500の分析
S&P500の月足チャートです。先週から大きな動きはありません。
S&P500の週足チャートです。先週は+0.23%と小幅な上昇でした。他の指数と同様に週の後半に下落して上ヒゲをつけています。
S&P500の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は下落から上昇に転換する動きを始めています。
ラッセル2000の分析
ラッセル2000の月足チャートです。株価指数の中で最も弱い動きとなっており、10月の下げ幅は-3.91%まで拡大しています。1638~2007のレンジの下限に近づいています。1683を下抜けた場合、ここから大きな下落がありそうなチャートです。
ラッセル2000の週足チャートです。先週は-1.87%の下落でした。7月末から始まった短期の下落トレンドを継続しています。1687または1638の水準で買い手が現れて反発する動きが見られるかを注意して観察していきたいと思います。
ラッセル2000の銘柄のうち50日移動平均線を超えている銘柄の割合は下落が止まりかけています。MACDに上昇を開始する際の初期の兆候が見られます。
商品先物の分析
原油は+5.97%と前週の大きな下落から反発してきました。イスラエル-ハマスの紛争の影響を受けて上昇しています。中東情勢が悪化する場合はさらに上昇、沈静化する場合は上昇の勢いがなくなる可能性があります。しばらくの間はニュースに反応して不安定な動きを続けそうです。
天然ガスは-3.06%の下落でした。前週の力強い上昇から一旦調整している状況のように見えます。
金は+5.22%と非常に強い上昇でした。5月から始まった下落トレンドからは抜けられていません。短期的にはやや買われ過ぎに見えますが、中期的には上目線で推移する可能性が高そうです。
銅は-1.56%の下落でした。2023年1月から始まった下落トレンドを継続しています。
小麦は+2.02%の上昇でした。536の水準で買い手が優勢となって下落が止まる動きが見られます。短期的には上昇に転じる可能性が出てきました。
セクター分析
先週はエネルギー、公益事業が強く、一般消費財、情報技術が弱い動きとなりました。特にエネルギーの上昇が強い一週間でした。
業種別に見ると、石油ガス関連、金、銀などの貴金属、航空・防衛が強く上昇し、株式相場は戦争が始まったときの典型的な反応をしています。一方で弱い動きを見せているのは、航空、医療機器、自動車パーツ等です。
個別銘柄の動向
ソフトウェア(ADBE、VMW、PANW、CRWD、PLTR)、半導体(AVGO、LRCX、KLAC)、製薬・バイオ(LLY、NVO、AMGN)、健康保険(UNH、CI)、軍事(LMT、GD、NOC、LHX、RTX)、石油ガス(SHEL、EQNR、PBR、COP、EOG、LNG、SLB、HAL)、金(GFI、AU、HMY)が強い上昇となっています。セクター全体で弱い動きとなっているのは、医療機器(ABT、MDT、BSX、ISRG)、検査機器(TMO、DHR)、航空(DAL、AAL、UAL)です。
今週の戦略
先週の株式相場は、イスラエル・ハマス紛争の影響で石油ガス、金、軍事が強い上昇となった一方で、その他のセクターには大きく下落している銘柄も多く見られます。
今週も戦争の状況次第で上昇と下落の両方のシナリオが考えられますが、株価指数のチャートなどからは短期の下落から反転する兆候が出始めています。また、投資家心理も弱気から強気に転換しつつあります。
先週は、パフォーマンスが悪い一部の銘柄を手仕舞いしてスイングトレードのポジションを縮小しています。今週は保有している残りの銘柄に対して、イスラエル・ハマス紛争の状況および相場の状況を観察しながら買い増しするかどうかを検討して行きたいと思います。
今週は2023年Q3の決算発表が本格的に始まります。決算でポジティブなサプライズがあり年末から年明けに向けて上昇する可能性のある銘柄の選定を進めたいと思います。
監視銘柄
今週注目しているのはCRWD、PANW、RELY、SMCI、TSLA、WFRDです。
監視銘柄のチャートはこちら。
今週の決算予定
今週はBAC、JNJ、NFLX、TSLA、TSMの決算に注目です。
10/16
- SCHW
10/17
- ACI
- BAC
- BK
- GS
- JNJ
- LMT
- IBKR
- JBHT
- OMC
- UAL
10/18
- ABT
- ALLY
- ASML
- CFG
- ELV
- FHN
- MS
- PG
- DFS
- EFX
- LBRT
- LVS
- NFLX
- PPG
- STLD
- TSLA
- ZION
10/19
- AAL
- BMI
- BX
- FCX
- FITB
- GPC
- IRDM
- SNA
- T
- TSM
- UNP
- WSO
- CSX
- ISRG
- WAL
- WDFC
10/20
- ALV
- AXP
- IPG
- SLB