先週の米国相場では、原油価格と長期金利が反発し、それに伴って石油株と金融株が上昇しました。決算が予想を大きく上回ったナイキ(NKE)も上昇を牽引しています。国別に見るとブラジル、コロンビア、メキシコなどの中南米が強く、金利上昇に伴って日本の銀行株の上昇も目立っています。
一方、マイクロン・テクノロジー(MU)の決算で2023年前半の半導体の厳しい出荷見通しが発表されたことをきっかけに半導体銘柄を中心に下落が進みました。景気の影響を受けやすい自動車メーカーについてもTSLAを筆頭に大幅な下落が続いています。
先週は11月のPCEが発表されました。コンセンサス予想と一致する結果でインフレはピークアウトして下落に向かっていることが改めて示される結果となりました。まだPCEは5.5%、コアPCEは4.7%でFRBが目標としている2%の水準までは遠い道のりですが、確実に下落トレンドが始まっています。
それでは、チャートを見ながら先週の相場を振り返っていきましょう。
先週の振り返り
相場環境
ナスダックの高値–安値銘柄数はマイナス圏で推移しています。先週は急激に下げるような兆候は見られず、何とか踏みとどまっています。
VIXは-7.82%と下落してきました。2022年のこれまでのVIXの動きを振り返ってみると、4月、8月の上昇時には下落トレンドが終わって上昇し始めた後に一度下落してから反発して急騰する動きとなっていました。今回も同様のパターンとなるのか、今週以降の数週間の動きを注意して見ていきたいと思います。
米国債10年物の利回りは+7.48%と大きく上昇してきました。大きな陽線で10月から始まった短期の下落トレンドが終了しています。短期的には上昇する可能性が高いチャートとなっています。
ナスダックは-2.13%と3週連続で下落しています。週後半に若干反発して小さな下ヒゲを付けて終えていますが、上昇した日も出来高は小さく力強さはありませんので、反発するとしても短期的なものとやり当面は下目線で推移していく可能性が高いです。
S&P500は-0.02%と小幅な動きです。週後半に上昇して下ヒゲを付けて終えていますので、短期的には反発してきそうなチャートになっています。ナスダックと同様に上昇時に出来高の増加はなく力強さは見られません。
ダウは+0.96%と上昇して終えています。2022年初からの下落トレンドのチャネルの上側のラインをサポートに反発してきました。ダウが3指数の中でも最も強い動きになっています。短期的には34500ポイントをターゲットに上昇が継続する可能性がありそうです。
原油価格は+6.61%上昇しました。6月から始まった下落トレンドのチャネルの範囲で推移していますが、一旦、83前後まで上昇する可能性はありそうです。
天然ガスは-23.05%と非常に大きな下落となり、先週の予想とはまったく反対の動きとなりました。4.79付近でサポートされているようにも見えますので、短期的には反発してくるかもしれません。その後は8月から始まった下落トレンドを継続していく動きとなる可能性が高そうです。
金価格は+0.22%と3週連続で横ばいの動きとなっています。1835の水準を超えて上昇継続していけるか、今後の数週間の動向を注視していきたいと思います。
銅価格は+1.26%と小幅に上昇して終えています。売りと買いが拮抗していてまだ方向性が定まっていないように見えます。
小麦価格は+2.99%と2週連続で上昇してきました。まだ10月から始まった下落トレンドのチャネルの範囲で推移しています。今後の数週間で下落トレンドをブレイクして反発上昇していくかを確認していきたいと思います。
セクター分析
先週は原油価格の上昇を反映して、エネルギーが上昇、長期金利の上昇と共に金融が上昇しました。一般消費財、情報技術が大きく下落しています。
業種別に見てみると、靴、石油ガス、ウラン、石炭が良いパフォーマンスとなっています。
大きく下落しているのは、自動車、住宅ローン、半導体装置、ソーラーです。特に自動車の下落幅の大きさが目立ちます。
個別銘柄の動向
石油ガス(CVX、COP、SLB、HAL)、靴(NKE、CROX)、銀行(DB、BBD、MUFG、SMFG、MFG)が上昇している一方で、半導体(NVDA、GFS)、半導体装置(AMAT、LRCX)、自動車(TSLA、GM、F)が大きく下落しています。
国別に見るとブラジル、コロンビア、メキシコなどの中南米、南アフリカ、ルクセンブルグに上昇している銘柄が多く見られます。その中でもブラジル(PBR、SBS、ASAI)は業種に関わらず全面高となっているのと、日本の銀行(MUFG、SMFG、MFG)の上昇が目立っています。
先週は週間で10%以上の上昇が見られた銘柄は、54件と先週と同数で推移しています。バイオテクノロジー(MDGL、VRNA、ALT、ORMP、ATXS)、石油ガス(NINE、VIST、TGS、PBR、OII、ACDC、KLXE、TDW)が力強く上昇しています。
今週の戦略
S&P500銘柄の50日移動平均線を超えている銘柄の割合は、12月頭の買われ過ぎの水準から大きく下落してきました。米国の株式相場は統計的に年末年始に上昇する傾向がありますので、今週から来週にかけては短期的には上昇する可能性がありそうです。
ただし、今はまだ弱気相場が終わったわけではなく、売られ過ぎの水準まで下がっているわけではありませんので、ロングのポジションを増やすのはまだ早いと考えています。
ロングのポジションは最低限のサイズに留めて引き続き監視銘柄を中心に値動きを観察していきます。ポジションサイズを増やすのは、売られ過ぎの水準まで下がって反発してくるタイミングまで待ちたいと思います。
保有・監視銘柄
力強く新高値を更新している石油ガス装置の銘柄(ACDC、GLP、PBT、TDW、NINE、VIST、WFRD)を監視対象に加えています。
保有銘柄
- AGYS ソフトウェア
- ALNY バイオテクノロジー
- GLP 石油ガス中流
- KDNY バイオテクノロジー
- NINE 石油ガス装置・サービス
保有・監視銘柄のチャートはこちら。
今週の決算予定
今週はCALMの決算に注目したいと思います。
12/28
- CALM